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ホーム > 歴史・国際関係 > 漫画 台湾二二八事件 阮美しゅ/張瑞廷

漫画 台湾二二八事件 阮美しゅ/張瑞廷


第二次世界大戦後台湾で起こった二二八事件の真相をわかりやすく
漫画と文章で綴った一冊。負の歴史の隠蔽を無くすためにも読みたい。

この本のレビュー

228事件といえば、「あれ?なんか聞いたことある。」と思う人は多いはず。
それは勿論、学校の歴史の授業で習ったからには他ならないが、
だからといって内容を正しく知る人はすくないのではないだろうか?
だって学校の歴史の授業って「何年何月にこれこれこういう事柄がありました。」と
どの事象についてもさらっと終わってしまうから。
長い長い歴史を人類の発祥、北京原人がどうのっていう話から始めるんだから、
ひとつひとつの話題が薄くて当たり前。
しかも古代からやるもんだから、近代に入る頃には時間が足りなくなって、
最後の方はほんとにささっとテキトウに終わってしまう。
特に昭和は歴史と現代がかぶってよくわからないままに終わった記憶がある。
だから、228事件についても、やったけどなんだったっけ~?って感じで。記憶が曖昧だった。
この本は私のような人が読むと大変わかりやすくてよいです。

私は旅行系の本や自分の旅行体験をとおして、台湾が親日でいてくれることを知っていました。
その親日の理由に「日本統治時代は差別も受けてたし不満もあったけど、日本統治が終わって中国が来たらもっとひどかった。」っていう言葉を聞いたことがあります。
それを聞いてイメージしたのは、差別や重税、重労働を強いられたりといった
近代国家ならではの差別的扱いなどでした。

だって、太平洋戦争が終わった後です。
日本が植民地化した朝鮮などに行った行為以上のことがあるとは思えません。

ところが、この本をぱらぱらっとめくってびっくりしました。
何もしてない民衆を拉致、殺害したり、築き上げた財産を略奪したりと、
日本の植民地支配がなくなって自由になった万歳!だったハズなのに、
中国から流れてきた外省人による弾圧はすさまじい物があり、
さらに驚くべきことは、事件が収束した後にも40年ものあいだ戒厳令が続いたことです。
戦争が終わったのが1945年です。228事件が1947年。
40年後、ってことは1987年?ええ?!つい最近じゃないですか。

この前読んだ日本で開業している台湾人の医師による著書
「台湾でも学校では反日教育が行われている」という言葉に繋がりました。

この本の中で印象に残ったことが3つあります。
ひとつは「犬去って豚来る。」という当時の台湾人の気持ちを表した言葉。
犬は日本人、豚は中国外省人です。

犬はキャンキャンほえてうるさいけど家を守ってくれる。
豚はガツガツ食って寝るだけの怠け者。
しかも寝るだけならいいけど、暴行、略奪などのひどい仕打ちがあったわけです。

二つ目は、アメリカ人ジョージ・カーの「中国の弾圧はジャップよりひどい!」っていう言葉。
かつての日本人はJAPと侮蔑の言葉で呼ばれ、アメリカ在住の日本人は苦労を強いられました。
その時代背景が頭にぱっと思い浮かぶと同時に、この「ジャップよりひでー」って言葉は、
世界中にセンセーションを巻き起こしたであろうことが容易に浮かぶ。

三つ目は、この本の著者によるあとがきの言葉です。

彼女の父親は228事件をきっかけに突然外省人に連れ去られ殺されました。
父親は数々の会社を経営し、成功していましたが、財産を全部取られました。
経済界で成功している人や医師や教師などの教養のある人を根絶やしにしたほうが、
支配しやすくなるからでしょう。
そして、どうして父は殺されたのか、その真相を究明すべく奮闘してきました。

-印象に残ったあとがきの言葉を抜粋-
 歴史が人間社会になんらかの働きがあるとすれば、真実を知ったうえで
 わだかまりを捨て、同じ過ちを繰り返さないように人々に諭すことだ。

これは我々日本人にも深く心に突き刺さる言葉です。
辛い思いをされたかたからこういう言葉をもらえると救われます。

私たちはしばしば第二次世界大戦のことで外国人からちくっと嫌みを言われる。
確かに日本が戦争をしかけたことで多くの人が犠牲になったし、
いまでも辛い心を背負って生きておられるかたもいる。

しかし、一方でその国の教育方針や立場によって、教え方には偏りがある。
さらに今回の私のように中途半端な知識だと真実がどんどんねじ曲がっていく。
間違ったことは間違ったことだと認めるが、事実と違うことで攻められるほどイヤなことはない。

日本の歴史教科書の記述内容について、しばしば韓国や中国から抗議されるが、
一方で、台湾では中国に配慮して228事件の記述が教科書から消えたそうだ。
南京大虐殺では日本軍が30万人の一般市民を殺したと教えられ、
かつて日本の首相が中国に謝罪した瞬間、テレビが一斉に消えたそうである。
(この前の中国の民主化運動家がノーベル賞を受賞した時と同じだ。)

自分の悪事が公になることは確かに恥ずかしいし、怖いこと。
またはっきりと物をいう性格の中国や韓国、朝鮮の人に対して、日本人は曖昧です。
だから争いごとを避けるべくぼやっと濁すのは日本人の国民性故です。
そのことで多くの人を傷つけたことは、日本人として申し訳ないとは思います。
ただ、その気持ちがあるのであれば、自国の過ちも責任を持って認めてほしい。

この台湾の228事件を初め、チベットやウイグルへの侵略もしかり、
最近のインドネシアや日本の領海での漁船の浸入、毒餃子事件の犯人ねつ造疑惑。

日本よ、こんな中国とつきあえるか?」の林建良氏は、中国に言っても無駄だといいます。
日本人は、中国人は話してわかる相手ではないことをいい加減認識しろ。といいます。
そういう考え方こそ日本人的であり、台湾人的だっていうことです。

まず我々がしなければならないことは、真実が何かを正しく知ること。
ニュースを毎日見たって真実は流れてきません。
国際関係を気にして無難なことしか言わないからです。

本も著者の思想が全面に出るので、解釈の違い、書き方は様々ですが、
だからこそ多くの情報を得ることは大事だなぁと思います。

漫画としての完成度、228事件を語る本としての完成度は中途半端なことと
(漫画というよりイラストに注釈がはいっている感じ。)
日本人には台湾の人の名前が覚えにくく、しばしば混乱してしまいますが、
重苦しい事件をいきなり難しい活字で読むよりも入りやすくてよく理解できます。
この本を読んだ後、著者が書いたドキュメンタリーを読むとよいです。


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