犠牲祭06年その1
【ルクソールのとある街角で出会った少年とうしさん(の首と皮と内臓)】

まず前置き犠牲祭とはなんぞや???

犠牲祭(イードル・アドハー)とは、イスラム教の巡礼月(第12月)の10日に、巡礼が無事終わったことを神様に感謝して、羊や牛を神様に捧げます。羊や牛などが犠牲になるので犠牲祭と呼ばれるわけです。  これは巡礼者だけでなくて故郷にいる人々も同じように羊などを買って屠り(ほふり)、みんなで食べたり、近所の人に配ったり、貧しい人に配ったりします。
2006年末から2007年始にかけてのエジプト旅行は、ちょうど犠牲祭が重なりました。
エジプトは他のイスラム国家と同じように通常は西暦を使いますが、イスラムの行事にはイスラム歴を使います。
イスラム歴は西暦より10日ほど短いため、毎年季節に関係なく祝日が移動していくわけですが、今回の場合、西暦の年末年始の時期に犠牲祭が重なるという運がいいんだか悪いんだかという状況になり、結果的に犠牲祭の雰囲気を体験できました。

わたしがエジプトに入国したのは2006年12月26日(火)。
カイロの空港に昼に到着したのにもかかわらずなぜか入国審査で別審査にされてしまい、カイロ市内に到着したのは夕方で、 その後、アッパーエジプト方面に向かう列車やバスのチケットの確保に飛び回りました。

犠牲祭06年その10
カイロの住宅街で見た羊。
カイロは大都会なのでホテル周辺に住宅街はありません。 かといって住宅街をあてどもなくうろうろするわけにはいかないので、手頃な大きさの町で、かつ観光地であるルクソールあたりまで南下したかったのです。
ルクソールだったら旅行者が宿泊するホテルは住宅街の中にあるし、町中が休みになったとしても旅行者向けのレストランはあるし、問題ないと判断しまして。犠牲祭の後は3日くらいお休みが続くっていうしことごとくシャッターが閉まっていると言うし。水もお菓子も買えなかったら困る。(大げさ。)

結果は惨敗。

観光のピークシーズンなだけに、日本で代理店に問い合わせた時に「とれるかどうかはわからないが、予約してほしいんだったらとにかく一日でも早く依頼を!」とまで言われたが、観光客が乗れる列車は便数が限られるとはいえ、普通はみなさん飛行機で移動だろと高をくくっていたわけです。それに現地人が乗れる電車はたっくさんあるし、関係ないだろうと。
結果的にまったくだめで、ワゴンリーも寝台も1等も2等もすべてが年明け3日まで席なし。夜行バスも12/30カイロ発ならなんとか・・・という状況。

12/30は2006年の犠牲祭当日だったのです。

このままカイロに30日までいるのも嫌だし、かといって観光客に慣れてない田舎町はなぁと悩んだ末、だめ元でバスの便が多いスエズに移動。 とれなきゃ運河沿いに地中海まででてぐるっと回れるかなと。

さんざん悩んだ割にはスエズに出たらあっさりバスに乗り継げ、犠牲祭当日ををルクソールで迎えることになりました。
犠牲祭06年その9 犠牲祭06年その8
♪かわいい子羊~。うられてゆーくーよぉ~。カイロで目撃した羊いっぱい。

犠牲祭06年その7
ルクソールの肉屋の羊たち。
カイロからスエズ経由でルクソールに到着したのは12月29日の明け方。
凍え死にそうだったバスではろくに寝られず、すぐにホテルに飛び込み爆睡した。

町を探索する前に改めてフロントの兄ちゃんに確認。

「ねぇ、イードル・アドハー(犠牲祭)って何日?」

「は?なに?」

「イードル・アドハー」

「???」

「えーと、こうやってメェーって鳴くやつとかモォーを殺して食べるでしょ。町のあちこちに羊がいるじゃん。今。」

「・・・?その本にアラビア語で書いてないの?」


アラビア語の単語の発音が悪いらしくて通じない。
おまけにガイドブックには犠牲祭だけアラビア語の表記がないし。

「イードル・アドハーだよ、イードル・アドハー」

イントネーションを変えてみたり、カタカナ読みで言ってみたり、自分の首をすぱっと切るゼスチャーをしたり、あらゆる説明を試みたところでようやく兄ちゃんがこういった。

「・・・ああ、イドゥル・アドハーか!!明日。明日だよ!6時からだよ。」

本には記載のしようがない巻き舌でしかもイントネーションも発声も速度も全く違って・・・これじゃあ通じない。

「それに明日はフェスティバルだよ。川の向こう岸ではらくだに乗れるし。それからえーと、そう、ロバにも乗れるよ」
ようやく犠牲祭の確実な情報を得られてほっとしつつ、犠牲祭前日のルクソールの町を歩いてみた。

ルクソールの軽食屋 ルクソールは、カイロの町とはうってかわって、本当に小さいまちだった。
ホテルの前の幹線道路には、乗り合いのマイクロバスやタクシーが行き交いクラクションと排気ガスがもうもう。その道路を挟んでこじんまりとした雑貨屋、肉屋、洋服やなどが並んでいてにぎやかだ。
ところが、一歩中に入るといきなりしずかな住宅街。人の姿もほとんどなく、時々、バルコニーからひょっこり顔をだしたおばちゃんが、ヨーグルトの入っていた巨大なバケツをするするするっと階下におろす光景なんかが目に入る。
お使いを頼んでいるんですね。おじちゃんや子供がバケツからお金を受け取って物を買いに行きました。
そして、買ってきた物をちゃんとバケツに入れていました。

この光景はエジプトにいる間何度も見ました。人を介さず階下の雑貨屋にアパートの上から直接声をかけて買い物している主婦もいました。
なんだかほのぼのした光景です。

八百屋 駅前広場に出ると目の前にばばーんとルクソール神殿がそびえたちなかなか衝撃的。
ルクソールは町並みも全体的に地味だし、高い建物も少ないので、この神殿が結構立派に見えて、いかにもエジプトって感じ。外国人受けしそうな町だ。
神殿に近づくと、観光バスや観光馬車が一杯で、土産物を売るスークがずらーーーっと立ち並び、外国人がわんさか現れた。
でもちょこっと道を外れるとやっぱりフツーの商店街になって、八百屋も御茶屋も酒屋もあって・・・季節柄、やっぱり羊がたくさんつながれています。
犠牲祭の雰囲気といかにもエジプトって雰囲気を楽しめて大正解。
ルクソールを選んで正解だったかも。