インドを泣かしているステッカー
独立記念日の記念ステッカー
インドを泣かすとは・・・。
「パキスタンはね、インドよりも断然便利ですよ。」

そう言うのは、ニューデリー在住の知人の知人M氏である。

「去年、ラダック行けなかったでしょ?あそこの道はホント崖崩れが多いんです。でも、パキスタンは日本の援助で道路綺麗に整備しちゃってますからね。快適ですよ。フンザなんてバスであっという間です」

インドとパキスタンの国境を陸路で越えた場合、まず最初にパキスタン第二の町ラホールに向かうことになる。

しかし、このラホールの町。旅人の間ではことさら悪評高い
ラホール駅前のとある安宿は、別名で「泥棒宿」と言われ、鍵をかけようがなにをしようが、宿の従業員がグルになって金目のモノを盗みとると言う。
扉の鍵を厳重にかけて安心したのもつかの間、寝ている隙に天井から進入した男に襲われたという日本人美青年の噂があるのもラホールである。(パキスタンは同性愛者が多いとききます。)

「昔はYMCAがあったんですよ。あそこは唯一安心できたのに潰れちゃいましたからね。ラホールは通過したほうがいいです、絶対。」

「夕方だろうと大丈夫です。道路が整ってるから早い。デリーからラワルピンディまで1日で行けますよ」

日没後に見知らぬ町をうろつくのは気が引ける。かといって、泥棒に遭うのはもっとイヤ。
ここは一つM氏の言葉に従い一気にラワルピンディまで勝負に出るほかあるまい。ラホールも結構見たい場所はあるんだけどな~。

国境を抜けると、目の前に1台のバスが止まっていた。

「ねえ、これラホール行く?」
「行くよ、行くよ。乗ってな、すぐ出るから。」

後部ドアのステップを1歩上がり中を見やる。んん?このバスなんで車体のど真ん中に壁があるんだろう?
気を取り直して今度は前の入り口から覗いてみる。内部構造は何処にでもある普通のバスなのだが車体を分断するようにど真ん中に壁がある。そして、その車体を分断している壁にはドアがついている。

「ほら、乗ってなよ。ラホールだろ?」

一人ぽつんと座席に座り、窓の外を眺めていると、ポツポツと乗客がバスに近づいて来た。

「この人は前から。あの人は後ろか。あれ?連れなのに別々・・・あ、そうか。男女別なんだ~」

初めてイスラム国家を意識した瞬間だった。こりゃラクだ。ローカルバスが最初から男女別なのか。

バス前方半分エリアの唯一の男性はドライバー。そして、たまに女性の乗客があると、真ん中のドアをばんっと開けて車掌がバス代を徴収に来る。 車掌も男だから、用が済んだらさっさと後部に戻る。
さっきの変なドアは車掌専用の出入り口であった。

ラホールまでの道すがら、たびたびバスは止まったけれど、乗ってくるのはほとんど男で、後ろはぎゅうぎゅう前はがら空き。
女性はほぼ全員座っていられました。やっぱりイスラム圏では女性の外出は少ないのですね。

洗車中のバス
NewKhanRoadRunnersのバス。
サービスに手を抜かない。
デラックスバス
Daewoo社のデラックスバス。
同区間で値段は3倍。
ミニバス1ミニバス2
フライングコーチ。荷物は上へ
小一時間ほどでラホールへたどり着くと、探すまでもなく、あっという間にラワルピンディ行きのバスに乗せられた。

パキスタンは道路が整っているのもホントだが、民間のバス会社がとても多く、各社の客引きがすっとんで来てバスまで案内してくれる。
フライングコーチと呼ばれるマイクロバスくらいの大きさのミニバスから、エアコンのがんがん効いた大型バスまで、様々な種類のバスがあり、快適さはお金を出せば出すほどアップ。スピードを求めるならダントツでミニバスである。乗客が少ない分、フットワークが軽く、猛スピードでかっとんで行くからだ。

大型バスにも、G1ロードと呼ばれるバイパスの様な道路をかっ飛ばすものから、高速道路をぶっ飛ぶものまで様々(結局飛ばすことには変わりない)
一般的に、バスターミナルから乗降できるのはG1ロードを走るバスで、高速道路を走るような高級なバスはその会社専用のバス乗り場が別にある場合が多い(そして、乗り場は遠い)。

さて、私がこのとき乗ったのは、普通の民間長距離バスで、ラワルピンディまで120ルピー。
女で一人なので、一番前の一人座席が指定席になった。この国で隣の座席に男が来ることは皆無に等しい。
痴漢の心配がないのはとても楽だ。

さて、さらにラワルピンディ(面倒なので、今後ピンディに略)についた後の話。ピンディからギルギットまでのバスはミニバスだった。

先に「ミニバスはフットワークがいいから早い!」と書いたが、この区間だけはお勧めしない。
この区間は、パキスタンの首都イスラマバードから北上し、中国に抜けていく、有名なカラコルムハイウェイを通るルートである。

道路が整っていることが利点になるのは、日本のように安全運転を心がける運転手がいる場合と、道路が平らでまっすぐな場合に限られる。

インダス川沿いに繰り返される細かいカーブの連続に、体は右に左に激しく揺さぶられ、まともに座っていられない。
夜行バスだったので車内で寝るわけだけども、窓際の席だったのも運の尽きというか。
一晩中頭をがんがん窓に打ち続けることになり、朝になるころには大きなこぶができていた
さらに隣はイスラマバードの大学生の兄ちゃんで、一晩中話を止めない上に唯一寝ていられる休憩時間に寝てたらわざわざ起こされる。

ミニバスの場合、補助席までフルに客が乗るので、一人座席でもあまり意味はなかったりする。

「だったら昼間に乗ればいいんじゃないの?」とお思いでしょう?

夏のパキスタンは山間部でも気温が40度近くまで上がり、熱風吹き荒れてます。
窓を開ければ吹き付ける風はドライヤーさながら。かといって、締めれば高温サウナ。昼間は移動したくないのだ。

ちなみにピンディ-ギルギット間をバスで登る場合、旅行当時のお勧めはSILK ROUTE TRANSPORT社のバスだったが、一番前に座ったという日本人女性曰く、車に酔ったパキスタン人が吐きにくるので寝てられなかったそうである。

そう。エアコンが効いているバスは窓が開かないのであった。

「まさか、無視する訳にもいかないしさ。入れ替わり立ち替わり来る人の背中さすってたよ。」

大きくて、飛ばせるエンジン積んでるエアコンバスの場合、後ろに乗るのが鉄則か?

ところで、冒頭に出てきたM氏であるが、背が高く、がっしりしていて、とても男らしい方である。

「パキスタンってインドに比べると痴漢が少なそうじゃないですか。逆に男性の方が痴漢に遭うとかなんとか。あれって、ホントですか?」

「向こうの人って、日本人と違ってフレンドリーだし、いちいちオーバーアクションなんですよ。別れ際に「気をつけてな」って言いながらハグしたりね。ただ、そういうケのある人は抱きついた後、いつまで経っても離れませんね。」

これを愛情表現ととるべきか身の危険ととるべきか判断に迷うとろだが、この話を聞いて男に襲われる美少年の噂に真実みを帯びたのは確か。
ガイドブックにも「必要以上に体をすり寄せる人がいたら気をつけよう」なんて書いてありますが、 男性の方が痴漢遭遇率が高いのだろうか?
いや、でも、痴漢に遭ったという男性にはとりあえず会わなかったので、誤解はしないで下さいね、念のため。

M氏も若い頃はよくそういう人に出会ったという。・・・ということは若い日本人が人気?!