親切なおばさんのアドバイスに従いタクシーとバスを乗り継いで、ラキラキの町までやってきた。
タブアの町で長いことバスが来るのを待ったので、結局ラウトカで2時間後に出てくるバスと同じだったっぽかったけど。
あそこでおばさんに一緒にバスを待たれるプレッシャーを考えたらこれで良かったのである。

バスを降りると群がってきたタクシードライバーの中から1人のインド系青年を選び、町はずれのホテルに向かった。
町の中心には数件のショップがあるのみで、宿泊施設はないのである。

「オッケー、ラキラキホテルね。ところで明日はどこまで行くの?ナナヌイラ?」

観光資源の余りないこの町は、大抵の観光客はナナヌイラ島に渡るのだと思われる。

「たぶんそうだと思う。明日の朝、島の宿に電話してから決める。」

何も考えずにそう答えた。しかし、このときはこれが翌日のトラブルの引き金になるとは思いもしなかった。

ラキラキの町
【ラキラキの町】
チャイマサラ
【インド系はチャイを飲む】
翌朝、ホテルから、ナナヌイラ島のロッジに電話をかけた。

「昨日電話した者ですが、今日はそちらに泊まれますか?」

昨日、空港で電話をかけたとき、なぜかはわからないが、当日の朝にもう一度電話をするよう言われていた。
電話に出た女性と、宿泊人数、宿泊日数、島からの迎えの船の時間などを告げると、彼女は思いも寄らないことを言う。

「あなた島に来る前に買い物するでしょ?ちょうど買い出しを頼んだから、ピックアップするように言っておくわ」

ラッキー。町から埠頭までって結構距離あるもの。タクシー代浮いたかも♪
それに島生活用の食材や水を大量に買わないといけなかったし。

基本的に島のロッジはキッチン付きで、宿泊客は自分で自分の食事を作って食べる。
宿で食事を作ってもらうことも出来るが、高いし、それほど美味くないのは想像に難くない。
肉を焼いたり、野菜をゆでたりする程度なら、自分で作った方が美味いに決まってる。

「OK。じゃあ、日本人女性の○○を拾うよう言っておくわ。11:00にNewWorldスーパーマーケットね」

電話を終えると、荷造りをすべくそそくさと部屋へ戻った。

宿をチェックアウトし、「さあ、歩くか、タクシー呼ぶか」とフロントに相談しかけた時、「ハロー、マダム」 と、背後から聞き覚えのある声がした。

立っていたのは昨日の運転手。頼んでもいないのに勝手に迎えに来ているではないか。

「ナナヌイラに行く前に買い出しするんでしょ。町を経由して埠頭まで10ドルでどう?」

迎えに来てくださったことは非常に助かる。しかし、私、約束してないよね?

「ま、いっか。あとで考えよ。町まで乗っけて欲しいし。」

そんな軽い気持ちで、車に乗ってしまったのが大間違い。
この後、スーパーで鉢合わせした迎えの男とこのタクシードライバーが大げんかを始め、やれ、オレが先に雇われただの、俺はナナヌイラのロッジから頼まれただの大声でまくし立てるわ、私の荷物を奪い合って、二台の車のトランクを行ったり来たりするわ、その辺にいる人を捕まえて自分の正当性を主張しまくるわ、二人ともどこからどう見てもインド人そのもの。インド系三世くらいになっても、根本的な気質は変わらないみたいだ。

もはや収集がつかなくなり、スーパーのレジのおばさんまで出てきて、私を説得にかかった

「あんたは宿からここまでのタクシー代F$1.5を払って宿の迎えの車に乗りなさい。それでいいのよ」

あれ?昨日、2.5ドル払ったなぁ。って、この際、それはどっちでもいいっ。

「あいつは一体いくらで君を送るって言ってるんだ?10ドル?じゃあ、こっちは8ドルだ!」

宿の買い出しのお金貰ってるんじゃないの~?タクシー代二重に取ろうとしている君こそずるいじゃないか。

「彼も8ドルでいいって言ってるし、めんどいから向こうに乗るよ。」
「じゃあ、俺は7ドルでいい。」

気がついたら値段交渉になっており、送迎君と揉めてるうちに再びレジのおばさんが仲裁に入り、
私は宿の主人に利用されているんだか、迎えの運転手に利用されているんだかさっぱりわからなくなった。

最終的には流れで、宿からの迎えの車に乗った。
タクシードライバーは、「せっかく掴んだ客なのに・・・」と言わんばかりで、宿の刺客を泣きそうな目で睨み付けていた。
思わず、気の毒になってタクシー代を弾んでしまったよ。

観光客や人口の多いアジアでは、供給過剰で客の奪い合いになるが、こういう小さな島の中にある小さな町だと客自体が少なくい。
私1人が、ドライバーの一日の収入を左右するほどの死活問題に発展するのかも。

最初に「宿からの迎えが来るから」ときちんと言わなかったのがトラブルの元だった。
曖昧にしてるとろくなことが無い。気をつけよう。