早朝のアイ島の桟橋からグヌンアピを望む
【夜明け前アイ島の桟橋からグヌンアピを望む】

アイ島の朝は早い。電気がないこの島では夜明け前後から徐々に人々の活動が始まる。
まず、夜中に漁に出ていたお父さんが帰ってくる。
沖に浮かべた小さな小屋付きの筏に明かりを灯し、その周りで一晩中魚を捕っている男たち。
昨晩は7艘のシーカヤックがランプの小さな明かりを頼りにぼやっと浮かんでいた。
そして、夜明け前後、妻と子供がお父さんを迎えに海岸に立つ。
舟から降ろされた魚を眺める限り、大漁とはいかなかったようだが、家族が食べるには充分に見える。

そして、私もまだ夜が明けやらぬ5時すぎに、目覚ましのベルでむっくりと起き出した。
ランプの明かりを頼りに顔を洗い、テラスに干した水着やタオルを取り込んでパッキングを始めた。
バンダ島行きのボートは夜明け前から積み荷を載せ始め、出航するのはだいたい午前7時前後。
国内でも時差のあるインドネシアでは、マルク諸島周辺は日本の沖縄辺りと緯度が同じで、
つまり、日本が冬の今の季節、夜明けが遅い。
朝食に準備されたキャッサバ芋いりパンケーキを食べ始めたのは6時前。
徐々に空が明るみ始め、ようやくランプの明かりに頼らずに動けるようになってきた。

漁師さんは夜明けと共に帰宅していたが、他の人たちはそれと入れ替わるように活動を始める。
農家は収穫した野菜を出荷するため、ボート乗り場に運び始めた。
収穫はさすがに前日のうちの気がするが、朝どれだとすると、真っ暗闇の中での農作業である。
空芯菜などの葉野菜も根っこ付きで出荷していたのはその方が枯れにくいからかと思った。

ボートの船員は野菜や工芸品などをボートに積み始め、出航に向けて準備を進める。
島から出る必要のない住民たちは、この頃に薪をくべ、芋をすりおろし、家族の朝食の準備を始めている。

キャッサバ芋のパンケーキ
キャッサバ芋のパンケーキ
マルクは芋などの澱粉を
主食にする食習慣がある。
宿代の精算も終え、バンダ行きの船着き場に向かって歩み始めると、
ようやくアイ島の東に浮かぶグヌンアピのむこうから太陽の光が漏れ始めた。
積み荷が整い、出航準備が完了する頃にはすっかり視界が開けていた。

7時前にアイ島を出航した舟がバンダに着くのは8時前後。
出荷した農作物は朝のうちにバンダの市場に並ぶ。
もしこの日に飛行機の便があれば、そのまま乗り継げる時間だし、
違う島行きの舟に乗り換えることもできる。

乗客も積み荷も降ろして空になった舟には、再びバンダで仕入れた品物や バンダからアイ島に向かう乗客を乗せ始める。
10時前後に注文の品物の仕入れが終わったところでアイ島に向けて出航。
「実に良くできたシステムだなぁ。」と改めて感心してしまった。

「せっかくのバカンス!こんなにあくせくしたくない!」
という外国人は行きはローカルボート、帰りはボートをチャーターしておいて出発を遅らせるみたい。
この場合、シュノーケリングしながら徐々にバンダに戻るなんてこともできます。
ただ、全財産全てを積んでのシュノーケリングになるので、 信頼できる舟を手配しないといけません。
舟はバンダからの往復料金分必要になるので、バンダでシェアする人を見つけておくか、
バンダからアイ島に来る舟がある時に便乗するなんていう手もあるでしょう。
だからやっぱり、バンダ島にいるうちにデルフィカやムティアラなどに頼むことになると思います。

漁を終えて帰宅する漁師さん
漁を終えて戻ったお父ちゃん。
お疲れ様。
ボートを頼めばアイ島の裏側のポイントにも悠々いけるし、
グヌンアピ周辺のポイントに寄りながら帰ってくることもできる。
チャーターするのだからその辺り、自由に交渉すればよいのです。
事前に頼むのは天気の心配が少ない乾期がベターだとは思いますけどね。
(インドネシアの離島で使える携帯電話を持っていれば別です。)

ともあれ、我々日本人は日本からの時差が全くないので、
体内時計は日本時間のまま。あまり早起きもきつくはないです。
それより島の人たちの生活時間をそっと眺めているのが興味深いし、
ちょっと違う文化や生活にお邪魔させてもらうのが心地よいのです。

電気は夜だけ。水は電気が通じた時間にポンプでくみ上げ桶に貯める。煮炊きは薪。
酒もペットボトルの水もなく、島で採れたモノを中心に整えられた食卓。
昼も夜もやけに静かなのは、住民が少ないからだけでなく、テレビの音がないからだった。
日中は大人も子供も薄暗い家の中を出て、軒下で昼寝をしたり、元気に外で友達と遊んでいた。
南国では暑い日中、テレビの前でごろりと転がっている大人をよくみかけるけど、この島ではあり得ない。

かといって昔からの伝統的な生活をかたくなに守っているわけでもない。
明かりがないと不便な夜の間だけ発電所を稼働するし、電話は携帯電話を使う。
小さな島が何百とあるインドネシアで都市と同じインフラを整えるのは大変なこと。
中にはもっと便利な生活を望んでいる人もいるかもしれないけど、このくらいがバランスが取れたところなのかも。

一日中電気が付くのは当たり前、水道管をひねれば水が出て、水どころかお湯さえでる。
さらにその水がそのまま飲めてしまうのだから日本はスゴイ。
ガスや電気で火をたき食事を整えるのも、のんびりと湯船に浸かるのも、電脳ライフも自由自在。
でも、それってあれば便利だけどなくても生きていける。アイ島のシンプルライフに触れてそう気づいた。

ところでアイ島はマンディの水も塩水だという話を聞いていたけど、実際にはそれほどべたつくこともなく。
行ったのが雨期だったので貯めた雨水が充分あったんだと思います。
旅先でも日本並みの生活が送りたい場合、バンダ諸島を旅程に組み込むのは得策ではありません。
でも、それを補って余りある美しい海や汚染のない空気、のんびりとした心地よい雰囲気があります。
日本から行くのはかなり大変だけど、旅先として強くオススメします。

アイ島写真館 その3 アイ島の島の恵みをふんだんに使った食生活

メインはやっぱり魚。毎日たっぷり魚をいただきました。

揚げ魚のニンニク醤油ソース
宿で出た食事は朝食はパンやパンケーキと紅茶でシンプル。
昼と夜は基本的に魚でした。初日の昼はミーゴレンだったけど、たぶん急に客がきたので急場しのぎだったのでしょう。
味つけはニンニクと醤油ベースのことがおおく、それに唐辛子が入ったりナツメグで香り付けしてあったり。 気を遣ってか魚の種類と調理法を変えてくれていました。
デザートのバナナは一房でーんとくれたけど、さすがに滞在中に食べ切れませんでした。

揚げ魚(カジキ?)のピリ辛ニンニク醤油ソース白身魚のナツメグソイソースタフ・ゴレン・サンバルバナナ

バンダ諸島の名物料理ケナリを使った料理。

アイ島の飼い牛
バンダ諸島はケナリというアーモンドのような形をしたナッツを使った料理が名物。 味はカシューナッツとアーモンドの間くらいな感じ。淡泊ですが油分が結構ある。
このナッツをすり潰して唐辛子、ニンニク、塩胡椒で味つけしたソースを 揚げ茄子にかけて食べるのがむちゃくちゃうまいです。 ガドガドもピーナツではなくケナリで作るのがバンダ流。
家で食べるだけでなく特産品として麻袋に入れてボートで出荷していました。
バンダ島ではお土産用に小分けした物が売られてます(500gくらいで200円。)

野菜だけでなく魚料理にも使うそうですが私は滞在中食べる機会がなかった。

揚げ茄子のケナリソース:テロンゴレンサウスケナリ揚げ茄子のケナリソース(デルフィカ)ケナリのガドガドケナリを干しているところ

バンダ諸島特産のナツメグ。このお陰で西洋人がやってきたと・・・。

アイ島のナツメグの木
ナツメグはかつて世界でここでしか取れず、「増産してくれ!」とお願いを島民が「イヤ」って断ったので、 攻め込まれてしまいました。原住民は虐殺され、今の住民は他島から連れてこられた 他民族なのだそうです。
現在でもナツメグの生産は盛んで島の主要産業です。
中の種子は肉料理などに使われるスパイスになりますが、アイ島ではスープや魚料理にも入っていました。 外側の果肉は砂糖漬けにしますが、ナツメグ特有の香りとえぐみは残ったまま。 濃い紅茶に合います。

生のナツメグナツメグの実を割ったところナツメグの果肉を干しているところナツメグ入りのスープ

さよならアイ島。荷物と一緒に舟でバンダに帰ります。

バンダ島に帰る舟の船尾:荷物がいっぱい
アイ島からバンダ島へのローカルボートは毎日3艘あります。
3艘あると聞き、最初は「1日3便」と勘違いしてしまいましたが、毎朝この3艘が同時にアイ島を出発します。
帰りは仕入れが終わった順なので、 多少の前後ができますが、ほぼ10時~11時の間にはバンダ島を出て、 舟は昼までにはアイ島に戻ります。
だから船頭さんたちの仕事は午前中で終わり。昼間島を散歩していると 仕事を終えた船頭さんがサッパリマンディしてテラスでくつろいでいたりする。
しかし、アイ島からバンダにいく人は一杯いるのに、アイ島に戻る人はとても少なかった。 ちょうどバンダにアンボン方面行きのペルニ船が到着する日だったので、 アンボンやスラウェシに向かう人も荷物もあったのかもしれません。

屋根の上に乗った乗客競争するかのように同時に3艘が走り出す一日中海に浮いている夜の漁に使う筏宿のテラスから見えたペルニ船
左から、屋根の上に乗る乗客、バンダ行きのボート、夜の漁で使う筏、アンボンからバンダに向かうペルニ船。

▼ インドネシア バンダ島旅行に行きたくなったら・・・物価の目安にどうぞ。

旅行時期:2010.12月~2011年1月
100インドネシアルピア=約1円


■宿泊:グリーンココナッツ 150,000ルピア/人(3食付)

■成田-ジャカルタ航空券 直行便で58,000円~。(参考:海外格安航空券の検索・予約 YAZIKITA)
 ジャカルタ-アンボン航空券 片道9,000円~30,000円(予約クラスによる。)
 アンボン-バンダ航空券 片道 250,000ルピア+諸税70,000ルピア=282,000ルピア

 アンボンは国際空港なのに外国からの直行便がないと現地人が嘆いていました。
 2011年1月現在、駐機場を一生懸命増やしているので将来的にシンガポールあたりから来るかも?
 ジャカルタ、マカッサルなどを経由してアンボンまで来ることになります。
 ガルーダインドネシア航空の他、ライオンエアなどの格安航空会社の便もあるが時間が悪いです。

私はエイビーロードで金額をざっくり把握、アタリをを付け、個別の代理店に問い合わせます。