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またナンパから逃亡も、それでもわんだふるアムリトサル!

アムリトサルの道すがら
当時男性はヘルメット着用義務あり。
髪が乱れるから女性は義務なし。
当然ターバンのスィク男性も着用不要。

シムラ出発の朝、午前8時前に駅に着いた私はすぐさま待合室に滑り込み、 目立たないように静かに端っこにおさまる。ああ、早く列車来ないかなぁ。
ホームに入ってきた列車には始発駅のハズなのにすでに人が乗っていて、 いい席はみーんな取られてしまっている。車両一つ一つ、のぞき込む度に先に乗り込んでいる若い男とバチッと目が合う。

窓際はあきらめかなととぼとぼホームを歩いていると、列車の中のご婦人から声がかかった。

「アナタ!この車両に乗りなさいよ!」

その車両だけ何故かガラガラに空いていて、乗客はそのご婦人ただ1人。 そうこれが噂に聞くレディースコンパートメントだったのだ。

「ここに座んなさい」

向かい合わせになった1人掛けのベンチを指さして言う。 言われるままにザックを網棚に乗せ、どかっとその席に座り込んだ。

インド旅行は面白い。だが、時にすごく疲れる。顔立ちが違う我々はとても目立つのだ。
日本人は、日本で外国人を見ても遠巻きにちらちらと眺めるだけだったりするが、インド人は違う人が多い。
好奇心が旺盛というか、積極的というか、言葉がわからなかろうが何だろうがかまわず話しかけてくる。特に男性がそうである。
何処に住んでいるか、学生か、働いているか、家族構成に父親の職業などなど。初めて会った人間に向かい、根ほり葉ほりいろんなことを聞いてくる。

ひとり旅をしていると、そうやって相手にしてくれることは嬉しい時もあるのだが、旅行者っていうのは勝手なモノで、急にほうっておいてもらいたくなるのだ。
のんびりした山から下りてきたばかりの私は、シムラでこゆいインド人男性にばかり会い、ちょっと疲れてしまった。

ところが、男性と違ってインドの女性は実に控えめ。 「外人女がいるなぁ」と思ってはいただろうが、特にいろいろ詮索されるわけでもなく、ただ列車にがたごと揺られていた。そして、この車両に乗っている限り痴漢やナンパもあり得ない。女性専用車両なんて楽なんだ。
日本では女性専用車両を批難する向きもあるようだが、こういうときは非常にありがたい。
だからあまりにリラックスしすぎて、ほとんど寝ていた。わざわざこの列車に乗るためにシムラまで来たっていうのに・・・。


到着予定時間に遅れること1時間。トイトレインは麓のカルカの駅に着いた。

カルカ駅で2時間ほど時間をつぶし、アムリトサル行きの特急列車に乗り換える。列車の切符はシムラで予約しておいたのだが、アムリトサルには日が変わらないうちに到着するため、二等で行く限り特に予約をしなくても良かったようだ。

アムリトサル到着は夜の12時近かった。私の様にカルカからアムリトサルまで一気に行くような人は少なく、主要駅に着く度に乗客が入れ替わった。アムリトサルが近づくにつれて、ターバンを頭に巻いたスィク教徒の人口密度が高くなり、否応にも気分が盛り上がる。

最終的に、私の周りにいたのはデリーから来た家族連れで、小さな子供が寝台によじ登ったりお菓子を振り回しながら走り回ったり、きゃいきゃいはしゃいでいた。いつまで経っても疲れを見せないそのパワーに、インドの子供は夜更かしだなぁと妙に感心したモノだ。

その兄貴だろうか。デリーの大学に通っているという青年が、わざわざ席を移動してきてやたらと話しかけてくる。
両親や兄弟たちと旅している割にまとわりつき方がめんどくさい。無視するわけにも行かず、適当に相づちをうつ度に「グゥッド!」「オーケェ~」と大げさに反応し、そして何を言っても人の目を見ながらやたらと褒めちぎるのだ。なーにがびゅーてぃほーだ!気持ち悪い。 (自分が美人ではないことくらい百も承知である。)

「アムリトサルについたらどうするの?明日会わない?」

家族連れだから油断をしていたが、此奴もナンパだった。

「友達と待ち合わせしているから」という下手なウソもまじめに受け取る。
「友達は日本人?女の子?」その子も一緒でいいじゃんとかいう。空気を読んでくれ。
結局、要領が悪く、うまくあしらえなかった私は宿泊するホテルを知られてしまった。 青年はアムリトサルに住んでいる友達と一緒に朝迎えに来るつもりである。

翌朝、普段の私には考えられないくらいくらい早起きをし、さっさと宿をチェックアウトした。シムラから引き続き逃げ通し。

グルラムダスサライ
【グルラムダスサライ】
黄金寺院の巡礼宿。
宿をさっさとチェックアウトした私はオートリキシャを捕まえ、グルラムダスサライに向かった。
グルサムダスサライは、スィク教の総本山黄金寺院の真ん前(敷地内ともいう)にある巡礼宿。異教徒である我々外国人も無料で泊めて貰える。
スィク教徒だけでなく、ヒンドゥ教徒のインド人の間でも有名な様だ。

黄金寺院は「不死の池」と言われる四角い池で囲まれている。

「子供の頃、足が悪かったの。だからお母さんに連れられて黄金寺院の池に行ったよ。」

そういう彼はヒンズー教徒で、そのときにこの巡礼宿に泊まったと言う。

「無料だから行ってみなよ」って言われ、スィク教徒じゃないインド人も平気で利用する気軽さに興味をそそられていた。

外国人は有無を言わさずドミトリーというのに一瞬ためらったが、昨日の宿に比べたら身の安全は保障される。
まともにドミトリーに泊まるのはこれが初めてのこと。緊張するなぁ。

ドミの部屋 宿帳にサインをした後、自分で好きな「場所」を選ぶ。 ベッドがないので、床にだーっとひいてある煎餅布団の上が唯一の自分のスペース。つまり雑魚寝なの。
荷物が置いてある布団はすでに先客がいるということ。私は入り口に近く壁側の布団を選んだ。なんだか、合宿みたいだ。

部屋の入り口のすぐ横に窓がひとつだけと、あとはモノ入れやハンガー用のフックが壁に埋め込まれているだけ。他に窓がないから、風通しはあまり良くない。そして、例のごとく天井には巨大なファンがぶら下がっていて、暖かい空気をぐるぐるとかき回していた。
一晩中ファンを回しっぱなしにしても汗ばむくらいなので、夏はむしろ部屋の外にある布団を取るほうが賢明である(蚊は大量発生しそうだが)。部屋の外の寝床といっても中庭との間に壁があるのでそこそこの安全性は確保される。まあ、相部屋の外国人が一番あぶないっちゃー危ないかもですが。

アムリトサルは、パキスタンへ抜ける国境の町なので、アジアを縦断する旅人が必ず通過する。無料で泊まれるこの巡礼宿はそんな旅人のたまり場にもなっていた。その宿泊客のほとんどが白人なため、日本人はどうも所在なさげに縮こまっていた。目立たないので、日本人に気づいた時には立ち去る時だったりして、すれ違ってばっかり。
3ヶ月前にカンボジアの首都プノンペンのキャピトルホテルにいた兄さんに会ったのはびっくりしたが、この人はカンボジアでラリっていたので、さすがに声をかける気にはなれなかった。

無事宿を移ったところで、早速アムリトサルの町をぶらついていた。
「アムリトサルはスィク教の聖地だから、ターバンを巻いている人で溢れ帰っているだろう」という私の勝手な思いこみはまたもや大はずれ。
確かにスィク教徒らしき人は多い。ターバンを巻いた男はわんさかいる。黄金寺院の周りなど、それこそターバンで溢れている。
だけど、それでも町を歩いてみれば、半数以上は普通の格好をしたインド人である。そうか、そういうモノなんだ・・・。 がっかりすると言うより、自分の思いこみの激しさに笑ってしまいそうだ。

そして、アムリトサルの人々の親切さ、人なつっこさにはものすごく驚いた。道を歩いてりゃ呼び止められ、チャイを一杯なんて言うのは普通。じっと地図とにらめっこしていたら、通りかかったリキシャのお客がわざわざリキシャを止めて降りてきて、道を教えてくれたりした。ええ~、あ、ありがとうございます~。客引きでない純粋な親切なので感激もひとしおである。

そして、たまたま道ですれ違ったベスパに乗った少年に、「お願いだ、僕と一緒に話をしてくれよ」って懇願されたときには激しく動揺した。実は昼間に私を見かけたのだがそのときはとても急いでいたそうで、「あああっ日本人がいる!!」と「はろ~!」とこちらに一声かけて走り去ったらしいが(確かにそんなバイクがいたのは憶えている)、再び私を見かけて飛んできたという。

「僕の事憶えてる?昼間会ったでしょう?」「お願いだよ。そうだ!ソフティは好き?甘くて冷たくっておいしくて僕は大好きだ!一緒にソフティを食べながら話そうよ!」

いつもは暇なハズの私はこのとき人と約束をしていてとても急いでいた。

「人と約束してるの。遅刻しちゃうから」といって少年と別れたが、数分後に諦めきれずにベスパで追って来た。
「お願いだよ。5分だけでいいからっ!」って、泣きそうな顔をして言う。・・・何故そこまで?

そして、子供に道ばたで出会えば必ず「ハロー」と握手を求めてくる。 「そんなことは何処に行ってもあるだろう?」とお思いでしょうが、その数が尋常じゃないのである。 どいつも此奴も必ずで、それもものすごい笑顔付き。笑顔で挨拶、笑顔で握手を交わして、去っていく。
外人を見つけたらそうしなさいって学校で習ってるんかねぇ?

とにかく観光客をひっかけようっていう意味もなく、近づいてくる人ばかりなのには驚いた。

チャイ屋 インドもいろいろ。痴漢やナンパに嫌気がさしていた私の心はアムリトサルであっさり楽しく、爽快な気分になった。外国人もそこそこやってくる町なのにぜーんぜんすれてない。

スィク教徒は恋愛が自由だからかなぁ? 今まで「彼氏いる?」っていう質問はナンパ目的がほとんどだったのに、アムリトサルでのその問いは、「俺には彼女いるよー。とってもキュート!」って自分の彼女自慢に持っていかれたくらいだ。

午後になって、念願の黄金寺院(ゴールデンテンプル)へ。
黄金寺院はその名の通り、金でできた金ぴかの寺。寺院へと渡る橋の灯籠に至っては銀(と金)でできている。
そして、寺院と不死の池を囲む壁(城壁じゃないし、なんて言うのでしょう?)と床は大理石。 白大理石を基調にし、ところどころ黒大理石で模様を作り上げていて、「実はいい材料使ってんだぜ」っていうさりげなく豪華なところがいい。
金色のお寺が真ん中にこじんまりと建っているのがいい。金ぴかでも上品。金閣も真っ青。

というわけで、午後一杯、そして、晩御飯の後もずーっと寝る直前までこの寺院の雰囲気に浸っていた。
マナリでNさん、Kさんと別れて以来、初めてリラックスした場所でした。


スィク教徒の聖地 黄金寺院

巡礼のスィク教徒たち

巡礼者 黄金寺院は当然ながらスィク教の教えに習い、煙草の持ち込み厳禁。 髪の毛は布で覆い、足を清めてから中に入る。
いつも旅の時にはバンダナを欠かせないくせに今回は忘れてしまった。 でも、予想通り寺院の周りにある売店で売っていました。
化繊を真っ赤に絞り染めした大判のスカーフを購入。
でも、このスカーフをしたら農作業のおばはんみたいになってしまうし、綿じゃないから風呂敷くらいにしか他に使い道がないよ。
 金が惜しくてハンカチでムリムリに覆うインド人観光客や、Tシャツを頭にぐるぐる巻きにする欧米人もいたけど、あなたはどれを選びます?

黄金寺院に続く橋

橋と黄金寺院 黄金寺院へと続く橋を渡っていると否応なしに気分は盛り上がる。
橋は右側通行。 寺院の中で僧が聖歌を歌っているが、数時間に及ぶその歌が終わったちょうどそのときにこの橋を渡ると、ボランティアの人たちが池の水をばしゃばしゃとかけ掃除をするので、びしゃびしゃに濡れます。 (橋だけじゃなく、寺院中を掃除しますけど)。
次々に後ろから参拝の人が来て行列ができているので、立ち止まったりすると大迷惑。

クローズアップ黄金寺院

黄金寺院 ライトアップ黄金寺院 黄金寺院は夜になるとライトアップされる。 参拝する信者のために、夜の11時くらいまで聖典の読み上げ(聖歌)が行われるので、チョビットしかアムリトサルに滞在できない旅人も寄り道するといいでしょう。
夕涼みに来ている人たちも多く(私含む)、スピーカーから流れるパンジャビー語を聞きながら池辺に座っているのも気持ちいいのです。

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