ラン航空の用意したトランジットホテルエンバシー スイーツ LAX インターナショナル エアポート サウス
チェックアウトし、ホテルのシャトルバスで空港に向かった。

目指すは大韓航空のカウンター。まだ短かった列に並び、順番を待つ。
「こちらへどうぞ」
切れ長の目で色白の典型的な韓国美人のアガシ(おねーさん)に呼ばれ、カウンターに向かった。

「あの~、チェックイン出来ますかね?」

昨日パスポート、マイレージカードと共におそるおそるラン航空からもらった紙切れを出す。
アガシはパスポートを見ながらキーボードで名前をたたき込むと、
表情を全く変えることなく受話器を手にし、誰かを呼んだ。
そして、その間にマイレージ番号をカタカタと打ち始める。全く時間を無駄にしない仕事っぷりだ。

1分もしないうちにカウンターには30過ぎくらいの若い男性がやってきた。
画面を見せながら彼に何かぼそっと報告するアガシ。
客に聞こえない様な小さな声でやりとりをする辺りもなんかこれまでと違うと思った瞬間である。

男性は画面を確認した後、こちらに向き直り「今日のフライトに変更になった理由はなんですか?」と聞いてきた。
「え?そこに書いてあるとおりラパスとリマ間のフライトがキャンセルになったから」

彼は立場で言うと主任っていうところだろうか。
マジメで人が良さそうな人で、少々とまどった様な表情をしたもののそれ以上何も聞かなかった。
そして、画面を見ながらなにやらメモを書き始めてこういった。

「いいですか。このチケットを変更するには210ドルの変更手数料が必要です。
 このメモをラン航空のカウンターに持っていって、彼らにこの番号に電話するよう伝えてください。」

やっぱり。だから昨日、「本当にこれで乗れるのか?」奴らに聞いたんだよ。あたしは。
だってFIXチケットって知ってたからラパスで文句いったんだもん。あいつら意味わかってたのか?

「アメリカンに乗らなかった彼らが悪い。だから彼らが手数料を払うべき」ってアンタ。


☆エンバシースイーツサウス☆
鞍馬しースイーツの吹き抜け
エンバシースイーツサウス。
ロの字型の形状に建っていて
真ん中が中庭の様な構造

キッチンスペース
簡易キッチンと居間。
テレビは2台設置されている。

(写真がないと寂しいので・・・。
 内容とは関係なし。)
ラン航空のカウンターに行くと、搭乗まで3時間あるにもかかわらず、
既にチェックインを受け付けていた。
まだお客がまばらなのもあり、昨日の下っ端社員も暇そうにだべっている。

「はろー。ハイこれ。大韓航空から。」

下っ端はそのメモを受け取ると上司らしきおっさんに回す。
そして、さらにそこいらにいた職員が束になって状況を話し始め、
「わかった。じゃあ、あたしが行くわ」と一人の女性が前へでてきた。

「ほら、ついてきて。大韓航空まで行くから。」
どこまでも電話が嫌いな航空会社である(←これは嫌み)。

カツカツカツ。と偉そうに赤いハイヒールのかかとをならしながら歩く彼女。
カウンターで作業をしていた大韓航空の主任はその姿にすぐに気づき、
じーーっとこちらを見つめて待ちかまえていた。

「今回の件について詳しい状況を説明して頂けますか?」

主任の言葉を受け、ランのおばはんはだだだーーとまくし立て始めた。

「ラパスのフライトが○○でキャンセルになったわけ。
 ・・・(中略) ・・・
 ロスからAAの航空券を出したのにこの人が乗らなかった
 だからロスのホテル代や食事まで出したのよ。」

聞き捨てならない台詞である。
はじめは黙って聞いていた私もいい加減ブチっと切れた。

「ちょっと!乗らなかったんじゃなくて乗れなかったのよ!
 ロビーにはふつーに入れたから5時間もずっと待ってたのに。
 だいたい何度電話しても出なかったのはそっちでしょ!」

「電話って?マネージャーに?!」
「あったり前でしょ。でも誰も出なかったじゃない。」

おばはんは「そんなの知らないわ。」って顔をしてしらばっくれる。
ああ、そうでしょうよ。留守電に入っていたメッセージもマネージャーではないあなたが聞くこともないでしょうし。

話が切れたのを見計らい二人の女のやりとりを黙って見ていた大韓の主任がぼそっと口を挟む。

「彼女は変更手数料はあなたが払うべきだと言っています。」
いやです!ラン航空の責任です。」
「確かに私たちも悪いところはあるわ。でも、セパレートチケットだからいけないんでしょ。
 だからこっちが責任とることじゃないのよ。」

言わせてもらうが、セパレートチケットにも関わらず航空券を出したのはあんたんところのスタッフなわけ。
それを言うならラパスで断らないといけないんですよ。あんたらの会社の教育不足なんですよ。
あなたたちが問題が起こるたびにその場をやり過ごすべくテキトーな処理をするからこうなったの。
あなたのせいじゃないかもしれませんが、組織の一員なら組織としての責任をきちんと自覚してくれよ・・・。

普段話しているブロークンイングリッシュも、こういう状況では超超ブロークンイングリッシュになる。
頭の中を駆けめぐる複雑な日本語や精神論を英語で表現など出来るわけもない。
終いには「言ってる意味がわからない。あなたはわかる?」などと言われる始末。く、くやし~。

「僕にはわかります。・・・状況はわかったんでいいです。ありがとう」
「そう。じゃ、戻るわ。」

私が正しいのよとでもいいたげな表情で、カツカツカツと再び歩き出したおばはん。
あー、もうあの真っ赤な制服!後ろ姿見てるだけでも腹立つ~。


「ちょっと待っててください」
大韓航空の主任はその場を離れると、マネージャーらしき女性に状況を説明し始めた。
そして、5分ほど長々と話し込んだ後、カウンターに戻り、こういった。

「今回は事情が事情なので変更手数料は結構です。無料で搭乗券を出します。」

そう言いながらパスポートを受け取った主任は、カタカタとキーボードをたたき始めた。
なんか、ラン航空を見た後だっただけに大韓航空のスマートな態度にただただ感激。
落ち着いた態度で冷静に状況を理解し、マネージャーを説得してきてくれた彼は仏様の様だ。

「はい。搭乗券。○番ゲートに11:10から搭乗開始です。」
「荷物は・・・成田空港にあるみたいです。成田に着いたらアメリカン航空で受け取ってください」

「でも憶えておいてくださいね。チケットがセパレートだと別々の航空券扱いになって
 航空会社はその先のフライトの保証はしなくてもいいんです。次は気を付けてくださいね。」

「はい。わかりました。本当にありがとう!」

本当に本当にありがとう!
深々と頭を下げ、「今度こそ日本に帰れる!」と喜びをかみしめながらゲートに向かった。

ラン航空のトラブルを通じた反省とリスク回避を考える。教訓:安さにこだわりすぎるな。

ロサンゼルスから成田までの大韓航空のフライトは超快適だった。

びっくりしたのは、エコノミーの一番前の座席だったこと。
ビジネスクラスとの境でもあるこの席は、足下のスペースが広く快適なのである。
機内サービスもラン航空とは雲泥の差で、アテンダントの丁寧な態度を見ているだけでホッとする。
今まで当たり前だと思ってたけどアジアの航空会社ってレベル高かったんだなぁ・・・。

無事に成田に着き、入国審査を済ませると、バゲージクレームを目指した。

「昨日荷物だけアメリカン航空で先に届いているはずなんですけど、どこに行けばいいですか?」
「え?お客様は、今の大韓航空で帰ってこられたんですよね?」
「そうです。でも問題があって荷物だけ先に昨日着いてるはずなんです。」

こんな状況はなかなかないらしく、成田の大韓航空の地上係員もとまどいを見せた。
ひとしきり事情を説明すると、彼はバゲージタグを片手にアメリカン航空に問い合わせた。

「申し訳ございません。荷物がこちらに届くまで20分ほどかかりますがお待ち頂いてもよろしいですか?」
「え?第2ターミナルまで取りに行かなくていいの?届けてくれるんですか?待ちます。待ちます!」

手ぶらで税関を抜けシャトルバスで第二ターミナルに行かなきゃならないと思ってた。
ひえ~、そんなことまでしてくれるんだ。

いすに座って待つこと10分。荷物カウンターに先ほどの男性スタッフがいなくなっていた。
そして、荷物を受け取った大韓航空のお客はすべて去り、隣のグアム線のターンテーブルが回り始めたその時、
そのターンテーブルの向こうを滑るように駆け抜ける男性が目に入った。

「お待たせしました~!」

さっきの彼だ。カートに乗った我々の荷物を載せ、ものすごい勢いで走ってきてくれたのである。

「これでそろっていますか?中身も確認してください」
「あ、ありがとうございます~。確かにこれです。大丈夫です。」

ああ、もう、韓国に足を向けて寝られないかも。あ、ありがとう~。 \(*T▽T*)/

荷物検査をちゃんとするために届けてくれたんだろうけど、それよりスタッフの質が違いすぎる。
日本のシステムも捨てたもんじゃないわ~とただただ感動してしまいましたよ。

「どちらに行かれたんですか?荷物は全部おそろいですか?」
「ペルーです。はい。そろってます。」

なんの問題もなく税関はスルー。やっと帰ってきたよ~。・・・2日遅れの便で。

まとめ:トラブルを通して学んだあれこれ


今まで海外旅行をしてきて、予定通りに帰国できなかったのはこれで2回目である。
1回目はエアインディアのエンジン故障によるキャンセルで、2日遅れて日本に帰ってきた。
そして今回。ラパス-リマという南米の首都を結ぶ1本の路線のキャンセルが思わぬ結果を招いた。

今回、旅行代理店を通さずにラン航空で直接航空券を買った理由は単に安かったから。

南米に強いとある旅行代理店に聞いたところ、ラパス-リマ間はオープンジョーでは取り扱ってくれず、
ロス-リマの往復+ラパス-リマの片道というチケットになってしまい、代金が3万円以上高かった。
それがなぜかラン航空のシステムではオープンジョー扱いの上にオンライン割引が効いたのだ。

そして最近は航空会社が旅行代理店に卸すチケットも航空会社の正規割引と同じな上に、
我々は旅行代理店に発券手数料がプラスされた料金を支払うことになる。

でも、もし成田-ロス、ロス-リマ/ラパスというチケットをケチらずに同じ旅行代理店に依頼していたら
代理店は二つの予約を一続きの旅行をして予約をまとめてくれたのである。

去年、ロス経由で中米に行ったとき、アメリカ線と別に手配を考えていたメキシパス。
「うちでも手配出来ます。ロス便とあわせて発券しちゃいたいんで早めに路線決めてもらえませんか?」

メヒカーナ航空に直接電話で問い合わせて買おうとしていた矢先に代理店に言われた台詞。
結局、代理店に頼んだ両航空券は、シンガポール航空とメヒカーナ航空の予約が1枚になっていた。

1年経った今になって、その意味をようやく理解した。
「セパレートチケットだからいけないのよ!」っていうラン航空の捨てぜりふはこれに繋がるのである。


今回のトラブルはラン航空の一方的なフライトキャンセルから始まってずるずると繋がった訳ですが、
私はごね得といいますか、追加料金なしに無事に日本に帰って来れたけど、
この経験を通して自分でも出来る限りのリスク回避策を施す必要があるとつくづく思った。
例えば、航空券を買うとき、次のようなことに注意してみてはいかがでしょうか?

■乗り継ぎ便がいくつあっても必ず1枚の航空券で発券する。
旅行代理店で手配すればまとめてくれる。発券手数料はこのために払うと思えば惜しくない。
渡航先で国内線に乗り継ぐ場合も同じようにしてもらった方が安心。

■バラバラに手配するときは絶対オープンチケットにする。
最近は変更時に手数料を払うFIX/OPENが主流。問題が起こらなければお金は払わなくてよい。
マイレージプログラムの特典航空券と組み合わせるなどするときに注意されたし。

■海外旅行傷害保険に入って、不意の事故に備える。
誰が悪いと言い合っても飛行機は飛ばない。航空会社に遅延証明を出させ、新しい航空券を買って
とっとと帰国する
。日本に帰って保険会社に返金してもらえばよい。(保険会社の規約は事前に要確認)

■利用者の評判も参考にサービスレベルなどを確かめて航空会社を選ぶ。
評判が悪いところはトラブルシューティングの教育も不十分だと痛感。いざというときどうにもならない。

私は今回のことを通じて大韓航空にものすごく好感を持ったし、ラン航空が大嫌いになった。

「申し訳ありません。私どもの手違いでして、ロスから先の航空券は本来は出せないんです」
ってひと言言うだけでこちらの態度も変わるんですよ。新人じゃあるまいし、あんなおばさんがあの態度だもん。

ラン航空の飛行機
ラン航空
今回の件は、10年前の私なら怒り狂って大げんかしてますが、
私も大人になったようで。
ラン航空ってビジネスマナーの基本すら教えられないんだなぁと
組織のレベルの低さにただ、ただあきれて終わった。
ああ、こいつらに言っても無駄だな~ってね。

社員一人一人のそういう態度がパブリックリレーションに跳ね返るんですよ。
私はこれから声を大にして言いますよ。あそこはやめとけって。
そして、これからは自然と大韓航空を選び、お金を落とすでしょう。

あー、あんな会社つぶれてなくなってほしい!とほんっとに切に願いますが、
でも、「チリでは唯一まともな会社」という旅行者の声もあるので、南米の民族性というか、
あれが当たり前なのかなぁと思ったりもした出来事でした。

ま、次に南米行くときは、高くてもアメリカの航空会社で乗り継ぐかヴアリクブラジルあたりを使ってみよっと。

ランは絶対イヤだ。ランは。二度と乗るか~!