第1話 入国で勝手にてんやわんや [ハバナ]
カンクンの空港からキューバの国営航空クバーナに乗っていざ出陣!
クバーナは、S氏の予告通りのある意味とっても素晴らしい航空会社でありました。
無事ハバナの空港に降り立て、日本にも戻って来れたのでよしとしますが、今まで乗った航空会社の中で最強だったかも・・・。安全をお金で買うつもりなら、メヒカーナに乗るとか、日本からカナダ経由で行くとかしたほうがよろしいかと思います。(日本からだとバンクーバー経由が最も効率がよい。アメリカ通らなくていいし)
※クバーナについては別ページで詳しく書いたのでここでは略します。
さてさて。久しぶりに入国に気合いが入っている私。ここまで緊張するのは初めてインドに行ったとき以来の様な気がする。あのときに比べれば、ホテルも迎えも手配済みの今の状況は比べ物にならないくらい楽なはずなのに、「日本の常識は通じません!」と言い切られたのが妙に引っかかる。
そんな状態だったので、いろんなことにいちいち過剰に反応していた。
イミグレーションにたどり着くと、入国カウンターが一つ一つパーティションで区切られた個室になっていた。ガラス張りになっているとはいえ狭い空間に役人と二人きり?!ええ~っ、緊張するっ。。
なるべく雰囲気が柔らかそうな女性のブースを選び、「はろ~」なんてにこやかに挨拶しながら扉を開ける。
ちらりと一瞥をくれる彼女におずおずとパスポート、ツーリストカードを差し出しながらも、視線はパスポートから離さない。カウンターをじーーとのぞき込みながら、呪文のように憶えたスペイン語で「パスポートにスタンプを押さないで!」と懇願する私。
だって、スペイン語で言えって言われたんだもん。
「馬鹿ね。押さないわよ」
あまりにマジな私の形相に肩をすくめて笑うおねーさん。ツーリストカードにぽんっとはんこを押し、出口の扉の鍵を解除。ブーーッというブザー音の後、カチッと鍵が解除。いや~、問題が起こったら、このガラス張りの小さな個室に軟禁されるのだなぁ。周りの視線を感じながら。コワイコワイ。
その後はロストバゲージなどもなく、順調に入国。
迎えを捜してキョロキョロと周りを伺っていると、「ハーイ!」と近づく男が一人。会社名の入ったボードも持っていなけりゃ、名札もついていない。
「あの、私、タクシーいらないんで」
客引きと勘違いして振り切ろうとしたが、実は彼が旅行会社の係員であった。確かにボードを持って立ってはいなかったが、名簿を片手に自分の客と思われる外国人に片っ端から声をかけている。なんだよ、脅かしすぎだよ。S氏!
男に送迎のバウチャーを渡すと、彼の了解の元で両替に行った。そして、男のところに戻ろうとしたところで、今度は運転手らしき服装のスキンヘッドの男が当然の様な顔をして近寄ってくる。
「あの、私迎えいるんで」
これまた振り切ろうとしたら、そいつは私が係に渡した送迎のバウチャーを持っていて、「どこまで行くの?ハバナビエハ?」などとのたまう。
「え?あ、あの。あっちは?」
「○×さんだろ?ついてきな」
ついて行った先にあったのは赤い車体の古びたセダン。どう考えても普通のタクシーだ。
あ、あの。他のツアー客は?迎えの車は?そしてあなたは誰?迎えの人だったらなんで私の行き先しらんのだ!
とまどいながらも結局親父に流されてしまった。
乗車している間、じーーっと黙りこくり、このままどこかに連れて行かれるのでは?と疑心暗鬼になっていた私。
携帯電話で話す彼の口から「プラザホテル」という単語が聞き取れると、仲間を呼んでるのでは?とぴくっと反応。
明るい日差しとサルサが奏でる陽気で爽やかな雰囲気に飲まれまいと、ぎろっと周りを凝視する。
都会であるはずのハバナがなぜここまで牧歌的なのだ?違うところに向かってないか??
小一時間ほどでハバナビエハの中心にある、プラザホテルにたどり着いた。
お礼を言い、チップの要求から逃れるべく足早に去ろうとする私。「じゃ」と笑顔で挨拶した親父の目線の先には、若い綺麗な女性が一人立っていた。勝手に強盗仲間でも呼んでるのでは?と想像していたが、娘と待ち合わせしていただけだった。
- 空港に着いたら送迎の係は自分で探すこと。
- 他のツアー客がそろってから大型バスで町まで移動するので空港でひたすら待つこと。
- 迎えは来ない場合があるのでその時は自力で移動すること。
すべてが違ってびっくりでしたよ、Sさん。緊張に使ったエネルギーを返してくれ(笑)
きちんと説明がなくてざっくばらんなのは確かに日本と違ってましたが。
どうもツアー客が少ないシーズンなので、個別にタクシーに乗せていたみたいです。
現在、キューバ政府は外貨獲得のために観光客誘致に力を入れているので、少しずつ外国人相手のサービス産業が変わりつつあるのでしょうな。きっと。