中国江南の水郷古鎮「西塘」をゆく(その1)
夜になるとあちこちに居酒屋が出現する、夕方を過ぎると観光地から生活地に変貌
宏福路は中国の普通の街
今回、羽田-虹橋線が就航したのをきっかけに上海に行こうと思い立ったのですが、上海に食事以外の目的が無いだけに、近郊の水郷古鎮を尋ねることにしました。本当は紹興まで足を延ばして紹興酒を飲んできたかったのですが、さすがに3泊4日では忙しすぎるので断念。選んだのは「西塘」です。
江蘇省南部、上海市、浙江省北部の太湖周辺一帯は、河川が縦横無尽に交差し、典型的な江南地方の水郷風景をなす古鎮が分布しており、特に有名なのは、「周荘」「同里」「用直」「南潯」「西塘」「烏鎮」の6つ。
水郷古鎮の入口
さてさて、虹橋空港に降り立ってびっくりしたのは、まず、両替する銀行がないこと!
国際線が浦東に移ってしまったにしても、何にもないとは・・・。個人旅行者びっくり!(ツアーの人やANAの無料送迎バスに乗る人は添乗員さんに連れて行って貰っているようですが)。
結局、クレジットカードを使ってATMで1,000元のみをキャッシングしましたが、後で書きますけど、これもあっという間に使い切ってしまって・・・物価の高さにもびっくり。中国、マジで急成長中?!
空港の外に出てタクシーのなが~い列に並び待つこと5分ほど(列は長いが流れも速い)。乗車しようと「西塘」と書いた紙を運転手に見せると「知らないよ~」と困った顔をした。
西塘水郷から民家を望む
「何?西塘?おおーい西塘までの行き方知ってるか?」←中国語。あたしの憶測です。
終いには交通整理を投げ出して、メモを持ってあらゆる人に聞いて回ってくれた。
「あたしが行くわ!」
環秀橋
「西塘だよ?わかる?シータァン?!」
「大丈夫よ。シータァンでしょ?」
「タクシー代はいくらかかるの?」
「メーター、メーター。安心して」
馬桶(マートン):おトイレ
さて、水郷古鎮の入り口から大駐車場を抜け中を覗いてみたのだが、やる気なさげな小姐達が座っているだけでなんだかよくわからない。テーマパークみたいな感じに入場料を払うのか?
この時点で空港で降ろした1000元はほとんど使い切っていたのもあり、翌日は土曜日なこともあり、とにかく両替できる銀行を探すことにした。
入ったばかりですぐに出てきた我々を訝しげに見送る係員のおじさんの横をすり抜け、とにかく町中らしき方向へ向かってみた。南苑路を東に向かった感じである。
三輪車(サイクルリキシャみたいなの)の客引きを断り(だって、中国語わかんない)、バイクで寄ってきた客引きを断り(後で気づいたが宿の客引きだったらしい)しながら歩きつつ、公安に立ち寄り筆談で道を聞く。
「両替したい。銀行知ってますか?」「銀行?中国銀行?」「はい。どっちの方向?あっち?」「まっすぐ行って左!待って紙に書くから」
身振り手振り、筆談で小姐とこんなやりとりをし、紙に道路名を書いてくれた。
「南苑路-宏福路-郵電路(○×病院の前)」
こう言うとき日本人は便利だ。英語が通じない中国の町では漢字で何とかやり通せる。
「今来た道をまっすぐ歩いて行って、宏福路で左に曲がって、郵電路まで行くと右側に中国銀行がある。目の前に大きな病院があるのが目印。」ということだそうだ。
トイレ・シャワールーム
「何を言ってるかわかんないよう~」
明らかに中国人ではなく言葉も通じないのに動じることもなく、にこにこしながらひたすら中国語で話を続けている。そして、5分ほど経った頃、すーーっと一枚のホテルカードを出した。・・・宿の客引きかいっ。
おばちゃんの宿は西塘水郷古鎮のど真ん中。それもどうもおばちゃんの家が民宿になっているらしい。中国銀行で両替をしている間もずーーーっと待っていて、ガイドブックの写真を指さしては「ここは私の家から近い」とか、「こんな雰囲気のところだ」といい続いている(あくまでも予想)。
「わかった。とりあえず、"観房間"」
紙に書いて渡すと、おばちゃんはさらにはち切れんばかりの笑顔になった。
両替が終わると、おばちゃんの案内で古鎮の中の狭い路地を歩いていった。「西園」という有名な庭園の横を通り抜け、環秀橋を渡って水路を跨ぐ。ずらーーっと長屋のように繋がった木造家屋の一番端がおばちゃんの宿だった。
熱いお湯も出る!
入り口の小さな手書きの看板には「空調完備。シャワーは独立」の文字。入ってみると昔から大事に使っていると見える古びた小さな木机の前に男性が座っていた。恐らく旦那さんだ。
部屋の写真は右の写真の通り。綺麗な部屋に雰囲気のある木製の家具。テレビとエアコンがあるのが今風で、きっとないとお客さんが来ないのだろう。そして、中国ではお約束。お湯入りのポットを「はいっ」と渡される。
西塘はどちらかというと外国人観光客よりも中国人の国内旅行者が圧倒的だそうだ。宿帳にはずらーーーーと中国の住所ばかりが書き連ねてあり、外国人の名前など1人もない。
客引きの人たちも話しながらついてくるだけでなかなかカードを出さなかったし、客引きすることが違法なのか、はたまた外人泊めても大丈夫なのかしらん?なんて思いながらのチェックインでした。(ま、だめなら宿帳に書かせるわけないか)