あしたから中国で社長をやってください。 五十嵐らん
農業系企業の中国支社長、後にコンサルタントとして中国と深く関わってきた著者の
中国滞在の顛末を綴ったエッセイ。文体は読みやすくバランスが取れた論調です。
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この本のレビュー
東大で博士号をとった後、日系アメリカ人が経営する会社の中国支社長として中国に乗り込んだ女性が中国と関わってきた経緯から中国感を語った本。
もともと中国に滞在していた頃に書いていたブログが書籍化されたことがある人で、
その後、コンサルタントとして独立して今でも中国と関わったビジネスをされています。
日本で出版されている中国に関する本は、日本人が「え?」とびっくりするような生活習慣や
考え方を前向きにとらえ、中国人とよくつきあっていく方法を指南した物や、
中国の悪しきところを列挙して、関わるな!という論調で書かれた物など、
いささか極端なところがありますが、この著者の本は日本人としての視点で
割と冷静に、かつ口語体でわかりやすく書かれています。
多くの中国関係の書籍は中国沿岸部に進出している関係者が多いのですが、
この方は雲南省で、しかも農民と一緒に仕事をしてきたひとなので、
そういったいわゆる中国国内での貧困層に近い人たちの考え方や
生活習慣を知った上での意見なので、なるほどなと思わせるところがあった。
残留農薬の問題などはしばしば中国関連のニュースでも話題になりますが、
例えば農薬の使用量が過剰なうらに「農薬のパッケージが読めない」という問題があったり、
中国に関してはあれだけ発展を強調されて報道されるのにまだ文盲がいるのかとか、
教育格差のすさまじさを改めて感じたりした。
著者の体験を例にして語っているので、日頃ニュースなどで見聞きしていたものと
それらがリンクするので、より具体的に理解できます。
また、衛星観念に関するギャップについてもかたっておられましたが、
かつて中国を旅行した人から見聞きしたようなことがまだあるのだなぁと。
そういえば私もこの前、客家円楼のとあるお宅に泊めて貰いましたが、
その親父の子供が使っているであろう部屋に案内されて、「どう?」っていわれて驚いた。
時間も時間だったし、民泊体験をしたかっただけなので、「ま、いっか」と思いましたが、
日本人ならあの部屋にお客さんを招くことには抵抗があるだろう。
少なくともきちんと片付けて、シーツを交換して、布団はほして・・・と徹底的に
片付けた部屋でないと見られたら恥ずかしいと思いますからね。
そういう感覚が根本から違うんだなぁと思いました。
夜はマートンつかえって言われたけど、それは別にいいんだけども、
あのマートン、何日分の小便が溜まっていたんだろう・・・。
と、本の感想ではないのでこれ以上はおいときますが。
いろいろと例示をしながら中国生活を語ったエッセイなのでわかりやすいです。
中国に赴任する予定の人はいろんな視点の本を読んでおくと覚悟ができていいかも。
彼女の言うように、期待しすぎず、先入観もなく、行く方が乗り切れるかもしれません。
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タグ :
中国
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