脱・中国論 加藤嘉一
高校卒業後、北京大学に留学から始まり、中国にどっぷりつかりながら中国で言論活動を行っている著者が見た現在の中国。一つの参考にはなる。
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この本のレビュー
日本の高校卒業後、北京大学に国費留学し、そのまま中国に残って言論活動をしている著者。日本人が中国とうまく付き合うための56のテーゼ と題し、webで連載された物を書籍化したもの。
以前、彼が中国を拠点として活動するに至った背景などを描いた「われ日本海の橋にならん」を読んだけど、それに比べると少々難しめ。
というのも中国でのビジネスを考えているビジネスマンを念頭に書かれているからです。
ちょっと古い本だったのと、中国の政治闘争などは興味がないので、そういうところを読み飛ばしつつ読んでみました。
難解だと感じるのは、彼が自分の意見を蕩々と語っている箇所が結構多く、
中国をよく知る人にはわかるかも知れないが、よくわからないところもあるだろなと。
(実際私もそうだったし。)だからもうちょっと具体例が多いと読みやすい。
ただ、他の方の著書を読んで、「中国人とつきあうには一緒に酒を飲め。」と言われても日本の飲み会のようなものを想像しますけど、日本とは全く異なる位置づけなのだなというのがよくわかりました。
あー、私の知人も行くたびにべろんべろんになって帰ってきたけども、
べろんべろんになるまで飲むので気に入られてたよなぁ。
「酒豪の女性が酒の席にいるとよい。」とかなるほどって感じですわ。
私は酒に弱いので残念ですけど、強かったら参加したいくらいです。
それと時々文章が上から目線に感じますが、これは仕方ないと思います。
北京大学の学生はエリート意識が強すぎて使い切れないから
日本企業が中国人を雇うなら一つ下のランクの大学の優秀な人材を採れ。
というようなことをゆっていますが、彼自身も北京大学出身ですから、
それを肌で感じたと言うこともあるでしょうし、実際自分も北京大学を卒業したことが
彼自身の自信でもあり誇りでもあるんだろうなと。
こういう感じの文章を「上から」と感じる人もいるだろうし、納得して読む人もいるだろう。
私はその中間くらいで、要するに自分がそういうエリートにまみれて一生懸命勉強した経験がないからよくわからないけど、たぶんそうなんだろなという視点を交えて読みました。
これは自分がエリートではないからそう感じてしまうのは当たり前だと。
日本の東大がどうかは知りませんけど、東大卒業した教授とか見てるとわかりますし。
(教授のプロフィールを見ればわかりますけど、東大の大学院で学位を取った先生は東大の学位のことから書き始めますが、東大を卒業して院に進んで学位をとった先生は学部卒業からわざわざ書くんですよ。)
今こうやって自信満々ともとれる文章を書けるのは彼自身がものすごく中国で
努力と苦労を重ねているんだろうなと言うことは感じましたけど、
どちらかというと中国よりに感じる文章にも取れるのは本のテーマがテーマだからかも。
ブランド大学をでたり、留学して奮闘して今も活躍しているビジネスマンなどには共感できる部分も多かろうし、中国とビジネスをしていこうと考えている企業関係者には役に立つ視点がたくさんあると思います。
ただ普通に隣国として興味があるものにとっては多少難解で面白くないところもある。
台湾を中国として書いているのも中国にどっぷり浸かった人の視点かなぁ。
台湾の歴史をよーく知れば別に中国の一部とは思わないと思うんだが。
台湾には漢人が来る前から原住民族が住んでいたこととか、そういうことは
よく知らないんですかね。この方は。
馬総統が再選したのも国民党が支持されているとは思わないのだけども。
そういうのを読んでいると、ああ大陸寄りの考え方をする方だなと。
週刊誌も最初のうちはすごく持ち上げていたけど、最近は、
「加藤氏は中国で日本の悪口ばかり言う二枚舌だ」とか書き始めているし、
彼がどういう方なのかはよくわからないです。
(マスコミは最初は持ち上げておいて、後で徹底的に落とすのが常みたいですけど。)
でもこういう方ってすごく日本にとっては貴重な存在なので、活躍を期待します。
ユニクロが世界同一賃金を発表したとき日本でいろいろ反響がありましたけど、
この本を読んで、中国で勝つための戦略でもあったんだろうと妙に納得した。
中国では日本企業は転職のためのステップアップに使われるとしばしば言われますし。
あの社長さんはあまり好きではありませんが、それ故にユニクロで買い物は滅多にしませんけど、
(やっぱり服は好きなメーカーのほうが着ていてテンション上がる。)
経営者としてのカリスマ性はすごいですね。
自分が大好きなブランドかどうかはおいといて、活躍は注目してしまいます。
タグ :
中国
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