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ブルネイでバドミントンばかりしていたら、なぜか王様と知り合いになった


ブルネイダルサラームに駐在していた元外交官(経産省所属)のブルネイ滞在記。
通り一遍のことしか知らなかったブルネイの素顔が垣間見れて興味深い。

この本のレビュー

経済産業省の役人で、外交官としてブルネイダルサラームの大使館勤務になった著者が、
ブルネイでの駐在生活を「バドミントン」で切り開いていく姿を描いた滞在記。

ブルネイには行ったことがなく、資源が豊富だから税金を払わなくていいとか、
国民の大半が公務員だとか、遊園地がただ(いまは違うみたい)だとか、
日本とは違う世界を旅人の目から語った話しか聞いたことがなかった。
小さな国だし、駐在しているビジネスマンも少ないこともあったと思う。

まず、外交官=外務省の官僚という思い込みがあったのですが、
「ああそうか。外務省だけで外交は成り立つわけがないのか。」というのを初めて認識したりして、 知らなかったことを知ることができたのもとっかかりとしてよかったです。

ただ、結構、実名が出てくるし、写真もでてくるので「いいのか?」と思ったり。
(勿論、本人の許可を得ての顔出しでしょうけど。)

インドネシアの小さな離島に行ったとき、夜にご飯を食べに食堂に向かっていたら
お世話になっていた兄さんにばったり会って、「何やってんの?」と覗いたら
バドミントンをやっていました。
人口が3桁行くか行かないかくらいの小さな島で、娯楽はバドミントンか。
と思って帰国したら、インドネシアはバドミントンの競合でびっくり。

「うちのおじさんはインドネシアのナショナルチームにいたんだよ。

そのときにこう言われたんですよ。お遊びのバドミントンではなく競技のバドミントンだったの。

この本を読んで「ブルネイもそうなのか~」と思うと同時に、
日本では部活、実業団といった人しか縁のない競技なのに、
バドミントンクラブがあって、大人も本格的に取り組んでいるのに驚いた。
それも一般人だけでなく、役人、政治家、ロイヤルファミリーに至るまで。

日本では、草野球とかママさんバレーとか、草サッカーとかそんな感じの集まりが、
バドミントンに当たる感じ。仕事が終わったらバドミントンをしに競技場に集まる。

日本、中国、韓国などのお酒を飲む文化のある国での外交は「ご飯を食べに行く。」
「飲みに行く。」といった手段があるが、お酒を飲まないお国柄。
それをバドミントンという彼らの文化に入り込んで、成果を上げていった著者の姿は
なかなかにすごいところがある。
ある意味、役人でこれは出る杭を打たれてしまうのでは・・・とも思ったりしますが。

ただ、お子さんがほとんど外国で育ってしまい、日本語教育などには苦労されたようです。
ご家族をほったらかしで仕事ばっかりしていたようで、ご家族から愛想を尽かされて しまうのではないかとハラハラしてしまうところもありました。
これ、奥さんの視点がないので、もし奥さんや子供の視点だったらお父さんけちょんけちょんにけなされそう。
結局、ご自分のやりがいとご家族の生活を考えたあげく、経済産業省を退職して、
民間人としてブルネイに舞い戻ったらしい。

日本とブルネイの架け橋になるべく、いまでも奮闘してらっしゃるのでしょう。
本当にブルネイに関する知識がゼロだったので、非常に楽しんで読めました。


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