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「反日」に狂う中国「友好」とおもねる日本 金文学


親日派中国人による苛立ちの日本叱咤論。
近代の日本と中国の関係に頭が混乱している人こそ読んで欲しい辛口意見です。

この本のレビュー

中国の東北地方に生まれ中国育ちの朝鮮族出身で現在は日本で教鞭を執る著者。
この著者の本は、年代順に立て続けに3冊読んだが、今まで読んだ本は、
どちらかというと、周辺国の韓国や中国を激烈に批判する内容で、日本については
甘く書かれていた部分が否めないが、今回は「日本人もしっかりしろ!」という視点が加わり、
大変読みやすくわかりやすい文章のため、近代史と今の周辺国との関係を自分なりに
解釈をしながら読み解くことができた。
ただ、依然としてニュースを見て感じた「なぜ?」が払拭はされていないのだが。

我々の親世代は第二次世界大戦は日本が悪いことをしたと一方的に言う人が多く、
かといって我々はどう学校で習ったかと言えば、全然近代史を勉強した記憶がない。
学生の頃の教科書をひっくり返してみても詳細な記述もないわけで、
だからやたらに中国や韓国に攻められることが意味がわかんなかったわけです。

中国の近代の指導者たちがどういう考え方を持っていたかなどということが
いろいろと順を追って理解出来て、面白く読めました。

日本では毛沢東は中国共産党の統一国家を作り、チベットや東トルキスタンを
攻め入った「悪」の人と捉える人が多いのですが、
一方で、「日本が中国に攻めてきてくれたことを感謝する」ようなことも発言してるそうで、
「あれ?だったら今の反日って一体なに?」って思うわけです。

日本では日本近代史や東アジア史を研究している人やジャーナリストくらいしか
こういうことに興味を持ったり、勉強をしたりしないと思うのですが、
結局、今の世の中、日本人が生きていくのに中国と関わらないのは不可能なことで、
その辺り、誰もがよく知っておく必要があると思いました。
少なくとも、学校の先生は子供に教えてくださいよ、って思います。

まあ日本の場合、国家としての姿勢が曖昧なので、子供に教えにくいところもありそうで、
だから触れずに終わられてしまったのかもしれませんが。先生の個人的な思想まで入ってきそうだし。
そう言う意味では反日を強烈なまでに国民に教育出来た共産党はすげーとも思う。

この前、ハルビンや長春など中国の東北地方、いわゆる旧満州国に行きました。
長春には江沢民氏時代に「日本人が戦争でいかに中国国民を苦しめたか」をテーマにした
博物館があるのですが、それに矛盾するかのように日本が建てた建築物は未だに残ってます。

実利主義の中国なので、使える物は使うのかもしれませんけども、
でも建設途中だった新宮殿を中国が引き継いで完成させたりしたのは不思議だった。
そして未だに病院などとして使われている古い建物はともかくとして、
旅順の慰霊碑などは日露戦争で戦死した日本軍の兵士の御霊を祀ってあるわけで、
まー、残しておけば日本人観光客がやってくるという考え方もありますが、
そもそもが旅順は最近まで外国人が入ってはいけない場所だったわけです。
だから観光客の落とす外貨目当てとも思えないし、なんで残ってるのかなぁって。

ハルビンなどはロシア風の立派な教会が沢山残っていて、
よく文化大革命で壊されなかったなぁとびっくりしました。
「第二次世界大戦の後ってロシアが南下してきたから手を出せなかったのかな?」
と心の中で結論をだしていましたが、この本を読んで必ずしもそれだけではなさそうだなと。

戦後、中国の国民党と共産党は旧満州国に日本人が残していった遺産を巡って
激しく取り合いをしたそうで。
しかも昨今の強力なまでの歴史歪曲による反日はやっぱし江沢民時代なんすね~。

中国の東北地方といえば、極寒だし、辺鄙なところだし、
しかもそもそもが元々漢族ではなくて、満州族が住んでいた地方です。
うっちゃられてしまいそうな田舎なんだけど、現在でも中国30省の中で常に上位に食い込むそうで、
中国経済のことをよく知らなかった私にしてはびっくりだった。
筆者も学生時代に初めて長春に来た時、近代都市っぷりに驚いたそうだ。

日本人が中国に侵略戦争をしかけたことは事実としてちゃんと受け止めるにしても、
そのこと全てを間違っていたと考えるのはナンセンスだ。
結果的に良い方向に進んだこともあることをきちんとお互いに認識しないと、
今後の日中関係がうまくいくはずがないと、中国、日本の両方を叱咤しています。
でも残念ながら中国では出版禁止となった本です。

ワケわからん感想になりましたが、少しずつ頭の中で考えていた
「なぜ」のパズルが解けてきました。

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