福建省客家土楼:田螺坑土楼群景区に裏口入場。
【展望台から眺めた田螺坑の土楼】
高頭の承啓楼に1泊し、田螺坑の土楼群に行くことにした。
2泊することも考えたのだが、新たな公安に会うたびにいちいちチケットの提示を求めるのでかなりうざったい。
また、入場券には発行期日が印字されているため、果たして前日日付のチケットでも大丈夫かわからず。
さらに世界遺産に登録されたお陰か、田舎なのに都会の廈門よりも物価が高いという現象がおきていて、
もう一泊すると、廈門に帰るための中国元(現金)が足りなくなる可能性があった。
おまけにこういっちゃなんだが、泊めていただいたお部屋はあんまし綺麗じゃないですしね。
どーしてももう一泊したくなったら田螺坑で泊まろうと決め、「ごめん。」とお断り申し上げた。
田螺坑は梅の花に例えられている山中の土楼群。
1つの方楼と4つの円楼がぎゅっと固まって建つ様が梅の花に見えるのでこう言われています。
高頭の土楼群はまわりに町があるため、高台から写真を撮っても普通の民家が映りこんでしまいますが、
田螺坑の土楼群は緑に囲まれていて、絵的に非常に美しい。
なので、客家円楼を紹介する観光パンフレットなどには大抵この土楼群の写真が使われています。
また、主な観光バスツアーは、永定土楼民族文化村か、田螺坑のいずれかを回るプランが多く、
いわばこの辺りで2番目くらいにメジャーな土楼群です。
高頭発着のバス時刻表
田螺坑土楼群観光巡回バス
田螺坑土楼群入口。
狭くて車はほとんどおけない。
田螺坑観光は廈門-高頭を結ぶ幹線道路にある書洋鎮が拠点です。
書洋鎮で遺跡群の観光チケットを購入し、そこからバスで行くのが一般的。
バスといっても観光バスで、しかも書洋鎮でしかチケットが買えません。
このバスには乗らなかったので仕組みはわかりませんが、 田螺坑で見た観光客の多くは展望台で写真をとってすぐに引き返したので、 もしかしたら自由に乗り降り出来ないのかもしれません。 (だとしたら便利なようで不便です。)
さて私は幹線道路に立ち書洋鎮を通る路線バスを拾うつもりでした。
しかし宿のご主人が盛んにバイクや車での移動を薦めてきます。
もともと高頭発で書洋鎮を通るバスには間に合いそうになかったので、
片道だけ田螺坑までのバイクをお願いすることにしました。
「田螺坑までの道は大変だから車の方がいいよ!」と言い張りますが、
当然ですが、車だと料金が跳ね上がります。
「バイクで田螺坑までの片道。」と言い張って渋々了承させました。
高頭を出発してしばらくの間、行きに通った山道を下っていきました。
そして途中で幅の狭い脇道にそれて走っていきます。
田螺坑の土楼観光の拠点である書洋鎮よりずっと手前です。
さらにしばらく走ると、道の脇に1台のバイクが停まっており、
「一人ここで乗り換えて。」という。
「大丈夫。お金取らないから。」ってなんで?
2台のバイクに分乗すると、そのまま田螺坑までまっしくら。
途中にある観光名所など目もくれない。(恐らく裕福楼付近。)
そして、田螺坑の土楼群が見える展望台にバイクを停めると、
向かいの店のおじさんになにやら書いてもらい、こちらに差し出した。
紙には「入場料を一人100元ください。」と書いてある。
「え?今?彼に払うの?」「そう」
突然の申し出に少々面食らってしまった。
つまりはこういうことである。
田螺坑の土楼は元々永定県に在住していた黄一族が建てた物で、 移住当初は2つしかなかったそうである。
現在の形になったのは20世紀に入ってからで、比較的新しい土楼なのだ。
土楼の増築は一族が私財で行っていたのだが、地方政府が観光のためにいろいろと口をだした。
他地域の土楼と比べるとわかるが、田螺坑の土楼は内部に小屋がほとんどなくスッキリしている。
中で家畜を飼うなとか、観光のために小屋を建てるなとか言われたんだそうだ。
住民たちは、多少生活はしづらくなるが、観光客が来て自分たちも潤うならと条件を飲んだのだが、
蓋を開けてみると住民に支払われる金は700円/年程度。(←観光客が政府に払う入場料は1300円/回)
しかも大半の観光客は村の上の展望台までバスで来て、写真を撮ったら帰ってしまう。
「金をくれないならせめて公衆トイレなどのインフラを整えて欲しい」などという要望も聞き入れられず、
住民と相当もめたそう。
怒り心頭の住民が「条件を飲むまで立てこもるぞ!」と宣言すると、秩序を乱した罪で逮捕されたそうで、
なんとも中国らしいエピソードである。(参照:感動中国! 谷崎光著)
結局、真っ向から対立してもらちがあかないと悟った住民は自分たちで入場料を取るようになったのだそうだ。
その金額も政府が取るのと同じ100元。ただし、当然だがチケットは発行されない。
村の入口や道路の料金所はチェックされるわけでもなく、バイクタクシーにまたがったままスルー。
どういう分配かは知らないが、支払った100元がそれぞれの口止め料や村の収入に回るのだろう。
田螺坑の村は高頭の承啓楼の様に公安がうろうろしているわけでもなく、全くのノーマークでした。
土楼群を見下ろせる展望台まで上っていくと、展望台のすぐ外に公安の事務所があり、
正規のルートでやってくる観光客のチケットをその場でチェックしていました。
建物の陰にこっそり隠れていたのは言うまでもありません。(さらに100元とられたらたまらん。)
しばらく展望台付近で観察していたのですが、5分と開けずに観光バスが展望台に着くのに、
9割以上の観光客は写真を撮るだけで村の中には入らなかった。
村の中に入るのは個人旅行で来た組だけで、村人の言い分がよくわかる光景だった。
その後、しばらく村を散策し、廈門行きの路線バスにのるべくバス停に向かいました。
洪坑や高頭の土楼に比べて村内を歩く観光客が少ないので、泊まるならこちらの方が静かでよい気がします。
緑に囲まれた環境もよく、清々しい気持ちになれます。
そして、さすがに20世紀に建てられた新しい土楼なだけにトイレやシャワーの専用部屋が内部にあるのですよ。
承啓楼の江さんちなんて、シャワーは台所に無理矢理つけてあったんですよ~。
シャワータンクのすぐ横に調理台があって、まな板に川魚が放置してあったんですよ。
(↑どこまでも日本人と衛生観念が違いますね。)
安宿などでトイレにシャワーが設置されているとこはよくありますが、そもそも古い土楼はトイレが内部にないので、
水ひけるばしょといえば台所しかないのですわな。
さすがに夜は化粧を落としたかったので顔を洗わせてもらいましたが、髪などを洗う気にはなれず。
でも田螺坑の土楼なら、シャワー専用ブースがあったし、夜中にトイレに行くこともできるわけです。
古くて立派な土楼に泊まるか、ある程度のインフラを望むか、ご検討の上でご宿泊ください。
2泊することも考えたのだが、新たな公安に会うたびにいちいちチケットの提示を求めるのでかなりうざったい。
また、入場券には発行期日が印字されているため、果たして前日日付のチケットでも大丈夫かわからず。
さらに世界遺産に登録されたお陰か、田舎なのに都会の廈門よりも物価が高いという現象がおきていて、
もう一泊すると、廈門に帰るための中国元(現金)が足りなくなる可能性があった。
おまけにこういっちゃなんだが、泊めていただいたお部屋はあんまし綺麗じゃないですしね。
どーしてももう一泊したくなったら田螺坑で泊まろうと決め、「ごめん。」とお断り申し上げた。
田螺坑は梅の花に例えられている山中の土楼群。
1つの方楼と4つの円楼がぎゅっと固まって建つ様が梅の花に見えるのでこう言われています。
高頭の土楼群はまわりに町があるため、高台から写真を撮っても普通の民家が映りこんでしまいますが、
田螺坑の土楼群は緑に囲まれていて、絵的に非常に美しい。
なので、客家円楼を紹介する観光パンフレットなどには大抵この土楼群の写真が使われています。
また、主な観光バスツアーは、永定土楼民族文化村か、田螺坑のいずれかを回るプランが多く、
いわばこの辺りで2番目くらいにメジャーな土楼群です。
高頭発着のバス時刻表
田螺坑土楼群観光巡回バス
田螺坑土楼群入口。
狭くて車はほとんどおけない。
書洋鎮で遺跡群の観光チケットを購入し、そこからバスで行くのが一般的。
バスといっても観光バスで、しかも書洋鎮でしかチケットが買えません。
このバスには乗らなかったので仕組みはわかりませんが、 田螺坑で見た観光客の多くは展望台で写真をとってすぐに引き返したので、 もしかしたら自由に乗り降り出来ないのかもしれません。 (だとしたら便利なようで不便です。)
さて私は幹線道路に立ち書洋鎮を通る路線バスを拾うつもりでした。
しかし宿のご主人が盛んにバイクや車での移動を薦めてきます。
もともと高頭発で書洋鎮を通るバスには間に合いそうになかったので、
片道だけ田螺坑までのバイクをお願いすることにしました。
「田螺坑までの道は大変だから車の方がいいよ!」と言い張りますが、
当然ですが、車だと料金が跳ね上がります。
「バイクで田螺坑までの片道。」と言い張って渋々了承させました。
高頭を出発してしばらくの間、行きに通った山道を下っていきました。
そして途中で幅の狭い脇道にそれて走っていきます。
田螺坑の土楼観光の拠点である書洋鎮よりずっと手前です。
さらにしばらく走ると、道の脇に1台のバイクが停まっており、
「一人ここで乗り換えて。」という。
「大丈夫。お金取らないから。」ってなんで?
2台のバイクに分乗すると、そのまま田螺坑までまっしくら。
途中にある観光名所など目もくれない。(恐らく裕福楼付近。)
そして、田螺坑の土楼群が見える展望台にバイクを停めると、
向かいの店のおじさんになにやら書いてもらい、こちらに差し出した。
紙には「入場料を一人100元ください。」と書いてある。
「え?今?彼に払うの?」「そう」
突然の申し出に少々面食らってしまった。
つまりはこういうことである。
田螺坑の土楼は元々永定県に在住していた黄一族が建てた物で、 移住当初は2つしかなかったそうである。
現在の形になったのは20世紀に入ってからで、比較的新しい土楼なのだ。
土楼の増築は一族が私財で行っていたのだが、地方政府が観光のためにいろいろと口をだした。
他地域の土楼と比べるとわかるが、田螺坑の土楼は内部に小屋がほとんどなくスッキリしている。
中で家畜を飼うなとか、観光のために小屋を建てるなとか言われたんだそうだ。
住民たちは、多少生活はしづらくなるが、観光客が来て自分たちも潤うならと条件を飲んだのだが、
蓋を開けてみると住民に支払われる金は700円/年程度。(←観光客が政府に払う入場料は1300円/回)
しかも大半の観光客は村の上の展望台までバスで来て、写真を撮ったら帰ってしまう。
「金をくれないならせめて公衆トイレなどのインフラを整えて欲しい」などという要望も聞き入れられず、
住民と相当もめたそう。
怒り心頭の住民が「条件を飲むまで立てこもるぞ!」と宣言すると、秩序を乱した罪で逮捕されたそうで、
なんとも中国らしいエピソードである。(参照:感動中国! 谷崎光著)
結局、真っ向から対立してもらちがあかないと悟った住民は自分たちで入場料を取るようになったのだそうだ。
その金額も政府が取るのと同じ100元。ただし、当然だがチケットは発行されない。
村の入口や道路の料金所はチェックされるわけでもなく、バイクタクシーにまたがったままスルー。
どういう分配かは知らないが、支払った100元がそれぞれの口止め料や村の収入に回るのだろう。
田螺坑の村は高頭の承啓楼の様に公安がうろうろしているわけでもなく、全くのノーマークでした。
土楼群を見下ろせる展望台まで上っていくと、展望台のすぐ外に公安の事務所があり、
正規のルートでやってくる観光客のチケットをその場でチェックしていました。
建物の陰にこっそり隠れていたのは言うまでもありません。(さらに100元とられたらたまらん。)
しばらく展望台付近で観察していたのですが、5分と開けずに観光バスが展望台に着くのに、
9割以上の観光客は写真を撮るだけで村の中には入らなかった。
村の中に入るのは個人旅行で来た組だけで、村人の言い分がよくわかる光景だった。
その後、しばらく村を散策し、廈門行きの路線バスにのるべくバス停に向かいました。
洪坑や高頭の土楼に比べて村内を歩く観光客が少ないので、泊まるならこちらの方が静かでよい気がします。
緑に囲まれた環境もよく、清々しい気持ちになれます。
そして、さすがに20世紀に建てられた新しい土楼なだけにトイレやシャワーの専用部屋が内部にあるのですよ。
承啓楼の江さんちなんて、シャワーは台所に無理矢理つけてあったんですよ~。
シャワータンクのすぐ横に調理台があって、まな板に川魚が放置してあったんですよ。
(↑どこまでも日本人と衛生観念が違いますね。)
安宿などでトイレにシャワーが設置されているとこはよくありますが、そもそも古い土楼はトイレが内部にないので、
水ひけるばしょといえば台所しかないのですわな。
さすがに夜は化粧を落としたかったので顔を洗わせてもらいましたが、髪などを洗う気にはなれず。
でも田螺坑の土楼なら、シャワー専用ブースがあったし、夜中にトイレに行くこともできるわけです。
古くて立派な土楼に泊まるか、ある程度のインフラを望むか、ご検討の上でご宿泊ください。
田螺坑土楼群景区 写真館
田螺坑土楼群
田螺坑の土楼群を見下ろす展望台から取った写真。
展望台は斜面に沿って2階だて構造になっており、下の階の手すりに立ち、
上の階からカメラを構えるとちょうど円楼をバックに写真に収まることができます。
(入場券を持っていなかったので上の階にはあがりませんでしたが。)
次々にやってくる観光客の記念撮影光景をしばらく眺めていましたが、 1時間の間に日本人は1組だけ。欧米人も2組程度。 ほとんどが中国人観光客でした。
←この写真のみ、クリックで拡大します。
(入場券を持っていなかったので上の階にはあがりませんでしたが。)
次々にやってくる観光客の記念撮影光景をしばらく眺めていましたが、 1時間の間に日本人は1組だけ。欧米人も2組程度。 ほとんどが中国人観光客でした。
←この写真のみ、クリックで拡大します。
円楼の内部構造
円楼の内部はこのような感じです。洪坑や高頭の円楼は中庭も細かい小部屋に別れていましたが、スッキリした物です。テントが張ってあったり、テーブルとイスを出して食事を提供している他は、せいぜい井戸や水道がある程度。
階段の脇にあるドネーションボックスに5元入れると上に上がってもよいそうですが、あがったところで中庭に何もないという・・・。
右下は餅を作るための杵と臼みたいです。客家の人って年中行事にいろんな餅をたべますもんね。 これで親戚の人数分作るのかな。
階段の脇にあるドネーションボックスに5元入れると上に上がってもよいそうですが、あがったところで中庭に何もないという・・・。
右下は餅を作るための杵と臼みたいです。客家の人って年中行事にいろんな餅をたべますもんね。 これで親戚の人数分作るのかな。
田螺坑は内部にトイレ完備の土楼もある
村内の宿案内に「室内にシャワーとトイレ有り!」と書いてあるのも見かけました。 新しい建物ならではの利点ですね。清潔に保たれていましたよ。
敷地の内外で加工される乾燥野菜など。
田螺坑でも狭い敷地内に所狭しと加工品づくりをしておりました。
茸は秋、春は菜っぱを乾燥させて保存しておくのかもしれませんね。
住民たちの食材としてだけでなく、観光客にも売ってくれるのですが、 真っ赤な色の茸など、食べたことがないのでさすがに躊躇する。
こちらの村でも美味しい鉄観音茶を買うこともできます。
住民たちの食材としてだけでなく、観光客にも売ってくれるのですが、 真っ赤な色の茸など、食べたことがないのでさすがに躊躇する。
こちらの村でも美味しい鉄観音茶を買うこともできます。
中国 福建省に行きたくなったら・・・物価の目安にどうぞ。
旅行時期:2012年3月
1元=約13円
1元=約13円
■交通:バイクタクシー 高頭-田螺坑 120元、バス 田螺坑-廈門 43元
■観光:田螺坑村 100元
■成田-大連航空券 直行便で50,000円前後~。
日本企業が進出しているためANAの直行便があります。ビジネス路線なので座席は取りやすい。
中国の他の都市や台湾、香港からの便も多いですが、経由するメリットはあまりないと思うので、直行便がベスト。 時間がある旅行者は台北から金門島に飛んで船で廈門入りもできる。
旅程を立てるために参考になる本やウェブサイト
客家円楼 1週間で円楼を見に行く (旅行人ウルトラガイド) [ 岡田健太郎 ]内容は古いので円楼の入場料や宿泊代などは参考にならないが、周辺の様子や交通手段などの参考になる。 地球の歩き方D05と合わせて利用して、後は現地で確認を。世界遺産になったのでかなり政府の手が入ってます。廈門はガイドブックの情報では足りないのでネットや観光局を併用したほうがよいです。