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ホーム > 歴史・国際関係 > 中国分裂七つの理由 宮崎正広

中国分裂七つの理由 宮崎正広


中国の事情通で知られる著者が現在の中国を分析した本。
政府は一党独裁だが、地域によって置かれている立場がいかに違うかがわかる。



この本のレビュー

広大な国土を持つ中国。日本は一般的に「中国人」とひとくくりで見てしまいがちですが、
多種多様な言語、文化を持つ民族で成り立っており、そしてそれを共産党一党で
共産党の考え方の元で国家運営をしていく上で、様々な問題があるようだ。
著者は中国は過去に見ても分裂と統合を繰り返してきた歴史があり、
且つ、現在抱えている様々な事情を鑑みると、7つの地域に分裂する可能性があるという。
というか、そういう仮説を先に立てて、地域ごとの細かい事情を分析している本です。

ただ、この著者の場合、通常新聞でも使わないような難しい漢字を使ったり、
その7つの地域を細かく分析するが故にすごくマニアックな文章が連なる章もあり、
世界経済言語や中国政府の政治家の名前などが既に頭に入っている人でないと
読みにくい箇所が多々出てきて、そう言うところはながし読みになった。
(中国をよく知る人には気にならないのかも知れないけども。)

中国東北地方に旅行に行くので、特に東北地方の人の気質が知りたかったけども、
東北地方に関しては、満州帝国の歴史背景と現在のロシア国境付近の開発のことなど
くらいしか書かれていなくて、その辺りはすこし期待はずれ。

ただ台湾の件については、日本在住で台湾の独立を訴えている人たちの本を読んだ後で、
例えば金美齢さんなどは平易な言葉で今の日本人にわかりやすく訴える文章を書く人だが、
「国民党が政府与党になったことで台湾人が独立を望まない、私は台湾に捨てられたから
 日本人になる決心をした」ということを言っていたんですね。

この本では、台湾が民主化を達成してからどのように政治が変わっていったかが書かれているので、
その辺りがうまく繋がって良く理解できた。

そして逆にチベット問題は、結構知ってたなぁ。
たぶん関心を持ってニュースを聞いていたんだと思う。

でもウイグル問題はイスラム教武装勢力が中国に宣戦布告しているとまではしらず、
日本のメディアが中国に気を遣っているのか、単に情報を集め切れていないのか、
いずれにせよひとくくりに「華人」とターゲットに報復をしようとしているようなので、
多くの善良な市民が巻き込まれる可能性があり、ハラハラしながら読んでいた。

歴史的にも今も、未来も日本が絶対につきあって行かなければならない国なので、
日本人は日々関心を持っていないといけないなぁとおもう。
そして、選挙の時とか目の前の自分の生活だけを見てノリで投票したりするのが
いかに怖いことかを思い知った。友愛なんてとんでもないです。

中国はここまで多様性のある民族を抱えていて、ひとつにまとめようということ自体が
無理があるのかもしれないと改めて感じた。
そして、達成できるかどうかや周辺諸国にとって良いか悪いかははともかくとして、
中国政府は独自の長期的ビジョンを持って突き進んでいるところは侮れないと思った。

対する日本は一体将来の日本をどうしていきたいのか、国民も政府も曖昧なままで、
そういった時に大震災に見舞われてしまい、現在は本当に危機的な状況だと思います。

今日本が震災対応に追われている隙を狙って、周辺各国はアリとあらゆる施策をしてくるはず。
子供手当がどうのとかもめてる場合じゃないんじゃないか?ってつくづく感じた。
長期的なビジョンを持って日本をどうするのかを真剣に考えないと沈没しそう。
日本には国をどうするかというビジョンや目標があまりにもなさ過ぎるんだな。と。

そして、私は希望的観測で台湾で尖閣諸島の領有権を主張しているのは国民党では?と思っていたのですが、親日的な民進党議員であっても、「尖閣諸島は台湾の領土」と主張するとのこと。
台湾は親日的だからなんでも日本の味方だろう。という思いこみで見ていたのだから、おめでたい。

結局、領土問題には常に利権がからみ、ガス、石油、鉱物などが採掘できるところばかり。
チベットだって、ウイグルだって、元はといえばそれです。
尖閣諸島周辺に資源などなければよかったのに・・・と今更ゆってもしょうがないですが、
ニュースでは流れない中国の現状がいろいろ知れてためになりました。
ちょっとまだ私の知識量では完全には理解できてませんが。

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