オビンの伝言 中村ふじえ
日本統治時代の台湾において霧社事件を経験し、生き抜いた女性の人生。
教科書では1行の記述で終わってしまう歴史の裏側を考えさせられる。
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この本のレビュー
霧社事件といえば、日本が台湾を統治した時代に原住民族が武装蜂起したものとして、歴史の教科書にほんの1~2行ほどでかかれている。
最も大きな現地人の反乱というかかれ方で終わっているのだが、
その反乱がなぜ起こったのかということについてはあまり触れられない。
その霧社事件を目撃し、生き残った女性オビンさんへのインタビューを通して、
深く語られてこなかった事件の真相を知ることができる。
この本を読むきっかけになったのは2011年に台湾で公開された映画
「セデック・バレ」が2013年に日本で公開されたこと。
史実を元にしたフィクションであるが、まれに見る歴史超大作で、
どこまでが真実で、どこまでがフィクションなのかと思い、
当時のことを記した本として、これを読んでみた。
霧社事件では多くのセデック族(本ではタイヤル族)がなくなっているため、
細かいところは脚色がはいっていると思われるが、
日本の警察に勤めていたセデック族の花岡一郎、二郎の存在や、
その二人が家族と共に日本の装束を着て自殺したことなど、
まさに史実を元に脚色してあって(台詞などは脚色。だって誰も見てないから。)
身震いするものがあった。
映画はセデック族が超かっこよく描かれていますが、まああそこまで
かっこよくて派手な戦闘シーンはあくまでも映画ってかんじですけど、
霧社事件の時、日本が原住民族を利用して、互いに戦うようにし向けたことで、
その後の中華民国時代にもそのしこりを残してしまったという、
後の残酷な歴史もまざまざと語られている。
ただ、オビンさんの生涯を語る上で、時々、背景に中国のことも入ってくるが、
たとえば南京事件などは日本も確かに虐殺には関わっているが、
それ以上に内戦でなくなった人まで日本のせいにされているともきくので、
この本で、"その頃南京では日本が2ヶ月に渡ってどうのこうの"とかかれていたりするのが違和感があった。
時系列を整理するのにわかりやすい例えかもしんないけど、
南京のこととかもこの方はしっかり調べた上で書いてるのかなぁと。
歴史問題についてはいつも中国と朝鮮半島のことばっかりで、
あるいみ台湾とは国交がないので、触れずに来たのかもしれないけど、
その辺りは日本統治の後の台湾の歴史も多いに関係しているのかもしれない。
ともあれ、台湾の歴史超大作のセデックバレと併せて読むといいですよ。
あの映画、頭目とかかっこよすぎるけど。
映画は2013年に全国のミニシアターで次々と公開され、
10月には日本語版のBlue RayとDVDが発売されました。
特典映像DVDつきの豪華版は数に限りがあるのでお早めに!私豪華版買いました。
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