パンダは日本に必要ですか? マイケル・ユー
パンダに代表される中国のソフト戦略についてを分析した本。
高額のレンタル費でパンダを招聘したことに疑問を持つ人が読むと納得。
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この本のレビュー
上野動物園に再びパンダがやってくることに喜んだ関東の人間は多いことだと思う。マスコミも東京都も、市民もみんなが手放しにパンダが来ることを喜んでいたのだが。
その裏にあるお金のことが報じられると、にわかに信じがたいものがありました。
パンダはお金をだして中国から譲ってもらったモノではなく、レンタルだということ。
そしてその高額のレンタル費は果たしてどうなのか?という疑問です。
確かにパンダがなくなった後の上野動物園は入場者数が減りつつあり、
活気がなく、東京都民や東京近郊のこどもたちにとっては残念な話だったかもしれません。
でもその裏側を知るにつれ、果たしてその税金の使い方は妥当なモノかと首をかしげていた。
そのもやもやっとした疑問が「やっぱりなぁ」と少しだけわかった。
絶滅危惧種と言われているパンダをこうかつに利用することで、
パンダの研究のために世界各国からお金を引っ張るやり方もさることながら、
パンダという愛らしいキャラクターを使って国のイメージアップをねらう戦略。
日本はこういうのがほんと下手だよなぁとしみじみおもう。
またチベット人が「パンダは中国のモノではなくてチベットの動物だ!」といいますが、
なぜそうなのかもわかります。中国は昔から獣は食べ物としか考えてこなかったからです。
ありそうな話だなぁっておもった。
パンダにまつわるソフト戦略は前半のみ。
そのほか、キング牧師の記念館の彫像やアフリカへの経済支援のことなどにふれます。
アフリカや東南アジアへのODAは日本の方が金額的にも期間的にも力をいれてきましたが、
中国のやり方は金額が小さい割に実に効果的なやり方で追随しています。
それも先進各国から援助を受けつつのことです。
日本もようやく中国へのODAはやめるべきだという方向にいきましたが、
利用されるだけ利用されて、ほんとに気がつくの遅かったよねぇ。
そして、発展途上国では中国の戦略的なやり方で好感度も驚異的なスピードであがっているらしい。
このあたりのことについては記事の量がそれほど多くないので満足できる内容でもないのですが、
長年、我々の税金が外国に投入されているというのに、その効果が弱くなっているのは 危機感を憶える。
中国が悪い!というのではなく、中国は駆け引きがとてもうまい。
日本はここしばらく政治も経済も混乱ばっかりで、下手するとアジアの情勢ががらりと変わる。
いささか物足りないところがありますが、参考になる本でした。
ちなみに私はパンダは日本にいなくてもいいと思うほうです。
たしかにパンダはかわいいけど、それが金額に見合う効果があるかどうかは疑問。
それより旭山動物園みたいに、珍しい動物はいなくても効果的に展示してお客を呼び込むなど、
動物だのみではない経営を目指した方が、よいと思います。
だって、レンタルは動物が死んじゃったら終わりだけど、経営努力したノウハウは残るのです。
しかもパンダは子供が生まれてもそれは中国に返さないといけないんですからね。
そういう仕組みをちゃんと知った上で都民が望んでいるのか、どうなのかなぁと思った。
タグ :
中国
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