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ホーム > 歴史・国際関係 > 日本よ、こんな中国とつきあえるか? 林建良

日本よ、こんな中国とつきあえるか? 林建良


戦後世代の台湾人から見た日本と中国。
これまで日本人が目をそらしてきた様々な問題を鋭い考察で指摘していて、一読に値する。
平和ボケから脱却するきっかけになるかも。

この本のレビュー

日本で取り上げられる台湾といえばほんの少し歴史の教科書に出てくる蒋介石くらい。
日本が侵略して支配した国のひとつであり、昔の日本は戦争で悪いことしたと ただ贖罪意識も大きい。
そしてテレビを見ているとよくわかるが、台湾を取り上げる番組というと、
なぜかグルメとか紀行物お気楽なものばかりのような気がする。

しかし私のような戦後の平和ボケお気楽世代の感覚でも台湾は国交はないんだけども
それでも台湾を中国のひとつとは思ってないし、独立国家のような目で見ている人が多い。

中国を初めて旅した時に「中国以外にどの国に行ったか」と聞かれた。
「インドとか、タイ、台湾・・・」と台湾の名前を口にした途端に言われたのがこの台詞。
「台湾は中国の中の都市だから数にカウントできないね。他には?」
この時、「え?」とびっくりしたことをきっかけに台湾のことを考えるようになった。

私の初めての訪中の翌年1999年9月に台湾に大地震が起こった。
日本は国連人道問題調整事務所の要請を受け過去最大規模の国際緊急援助隊を派遣した。
この後、もともと親日的な人が多かった台湾の人たちは日本にますます好意的になった気がした。

そして、私が台湾に行った時、台湾人からもらった親切は日本で受ける親切と似ていた。
見返りを要求しない、無償の親切を何度も受けることが多かった。
例えば夜中に町に到着し方向感覚がわからずに困っていたら、家族を迎えにきていた女性が
私と友人を車に乗せて一緒にホテルを探してくれた。
「日本で同じ状況に遭遇したら同じように行動できるだろうか」と感動と驚嘆を持って
つぶやいた友人の言葉は今でもこころにのこっている。

また、私の恩師は研究活動において各国の研究者との交流も多い。
恩師は日本人のだれから見ても人柄が良く人気があり、
人望のない人物からのいわれのないねたみの対象にされるような人である。

いつの間にやら海外をほっつき歩くことがライフワークのようになりつつある私とは
会うたびにお互いの旅行話からその国に対する考えなどが話題になるのだが、
人のことなど悪く言わない恩師がオブラートに包みながら中国は苦手という。

恩師の研究分野はアジアの中では日本が群を抜いている。
だから各国の研究者から教えを請いたいとかデータをくれとか言われ続ける。
そして、そういうきっかけで知り合った台湾の研究者とは今でも交流が続いており、
年末が近づくとクリスマスカードが送られてくるし、用事がなくても突然
「どうしてますか?元気?」とメールがきたりするのだそうだ。

引退してなお忙しそうに飛び回っている恩師だが、最近では数日の休みが取れると
きまって奥さんと連れだって台湾に行く。
英語もぺらぺらで英語圏への旅だって楽勝なのに言葉の通じない台湾に行く。
町の看板が繁体字で読みやすいこと、食べ物が美味しいこともしかり、
なにより台湾人の文化は日本に似たところもあり居心地がいいという。

恩師が台湾人と対比しているのが中国の研究者。
一方的に情報を得るだけえたら、もう用はないとばかりにあっさり音信不通になる。
ストレートに物を言わない人だけにかなりえぐいことされてるんだろうなぁと想像した。

このように個人レベルの体験を見聞きしたりしてもなんとなく台湾が親日国と思っていたが、
尖閣諸島問題では台湾も中国と同様に領土問題をふっかけてくるようになった。
また私の友人にも台湾を中国と同様に敵視する発言をする人もいる。
中国だって個人レベルの交流ではうまくいってたりするけど、国家問題になるとねじれるし、
それは台湾に関しても同じことなのかと思っていたのだが、この本を読んで少し
今まで持っていた疑問が氷解した気がした。(前置き長い・・・。)

中国があれほど騒ぐ背景に台湾は中国の一部だった歴史的事実でもあるのかと思ったが、
台湾はあくまでも台湾であるということだ。

蒋介石が中国で負けて台湾に逃れてきて、実質台湾を支配してきたことや、
台湾人が中国支配に反発してきたことは知っていたが、
今の台湾は中国から流れてくる人民が台湾人化して中華系住民が増えているという。
細かいことまではわからないが、もしや尖閣諸島問題を主張しているのは
台湾の親中派の政党なのでは?と思ったのである。
中国に迎合されることを良しとしているならばもっともな意見だもの。
(これはあくまでもこの本を読んだ現時点での憶測です。)

そして、中国の愛国教育、反日教育は大変有名だが、台湾でも反日教育が行われている
という事実を知っている日本人はあまりいない。
ただ、台湾の場合、学校では反日教育を受けるが、家庭では親日的な教育を受けるという
相反することが起きていたそうで、日本に統治された歴史的事実を知る世代がなくなりつつある今、
その状況も全くがらっと変わると思われる。

もし台湾が反日に転じたら、唯でさえ中国にはいわれのない言いがかりをつけられ、
それを正面から正統な抗議をしない日本政府に我々は耐えているというのに、
折角日本に好意的でいてくれる近隣国の台湾までそうなったら、と思うと怖くて仕方がない。

しかも、戦争を放棄して、アメリカ人に守って貰っている割に米軍基地には否定的。
アメリカが「日本を守ってもメリットないや~」って撤退したら間違いなく中国に支配される。
日本人はもし中国共産党の支配下におかれたらどんなことが起こるのかがよくわかってないが、
この本には中国共産党がどんな政権かについても言及してあり、読めばわかるが、
今の平和を享受している日本人には信じがたい事実がばかりである。

そしてこのまま台湾が反日親中になることは台湾が血を流さず中国に侵略されることを意味しており、
徐々に日本が中国に追いつめられていくことにも繋がる。
だからいい加減日本も現実に目を向けてくれ!平和ボケから脱却しないとやばいぞ!と
様々な例をもって忠告してくれているのがこの本の著者の台湾人医師である。

中国がチベットや内モンゴルを侵略していったことなど踏まえると彼の言うことは
いちいち説得力があり、今の日本をどうしていくべきか考えるきっかけになった。
少なくとも外国人に参政権を!なんていう政治家に投票するべきではないと思った。
中国のいいようにどんどん日本の政界を操られたら怖くて仕方ないです。


以前、台湾の李登輝前総統が病気治療で日本を訪れた時、
なかなかビザを発行しないことに憤った人も多いでしょう。

そしてつい先日、2011年3月11日に起きてしまった東日本大震災。
この地震の起こった直後、台湾は11年前の日本に恩返ししようと、
直ちに救護隊を編成し翌日の12日には準備が整い待機してくれたという。
なのに日本の外務省は中国に配慮して、中国の救護隊の到着を待ってから
台湾に訪日してもらったのではという憶測が新聞に載っていました。

もしこれが本当だとしたら、日本人を助けようとしてくれた台湾人の心を踏みにじったし、
現実に台湾の救護隊のお陰で救われたかもしれない命がいくつもあった可能性がある。
もし、台湾の救助隊が先に到着したことで中国に文句を言われたとして、
反論できない事象など何もないはずだ。
日本政府は一人でも多くの日本国民を守る責務がある。と言い切れないのはなぜなのか。

そして私は日頃から「なんで中国は日本の失敗を糧にしないのか」と思っていました。

例えば、高度成長時代の日本では環境破壊や汚染を繰り返し、公害や病気が蔓延した。
バブルがはじけた後の不景気も未だに脱しきれずに右往左往している。
中国には日本は悪い意味での見本でもあるわけです。

環境を破壊しないように上手に発展していく手だてもあるはずなのに、
なんで工業廃水で農地が死んだり、産業廃棄物が川に垂れ流しにされたりするのか、
不思議でしょうがなかった。このままだと明らかにバブルもはじけて経済は停滞する。

でもこう考えること自体が日本人的であるようです。

福島の原発事故をうけて海は繋がってるから海水から作った塩が危ない!
なんて中国で噂が広がっているようですが、その前に中国の海水汚染の影響は
すでに日本にも及んでいるのですけども・・・黄砂も飛んできてますし。


東日本大震災で東北地方の壊滅的被害を目の当たりにし、
また逆に「自分だけが良ければ」という行動に出る日本人の信じがたい行動も目にして、
どうしてこうなるのかなぁ・・・と落ち込む毎日でした。

そんな時に読んだ本なので、さらに気分は暗くなったけど、
でも中国との関係を気にした新聞やテレビでは発信しない貴重な意見だと思った。
中国文化を研究している先生方の著書は、同じことをかく場合でも中国に好意的な書き方です。
だから「中国政府はともかく中国人は悪くはない。」と結論づけて納得してました。
平和主義的な考えで自分の心を防衛していたと言いますか・・・。
でもその考え方は危険ですよっていうのが台湾人からみた意見ということです。

幸いにして今の日本は言論の自由も人権も守られている国なので、
いろんな情報を得て自分はどう思うか、どう行動するか考えていきたい。
日本人の悪いところも遠慮なく指摘されているので耳が痛いけども、いちいち思い当たります。
「国際関係はケンカと一緒なんですよ。
 言わなくてもわかってもらえるなんていうのは幻想に過ぎない。」
とツバを飛ばしながら意見を言う評論家のいうこともいまはなるほどと理解できる。

不況から徐々に脱却して浮上していくかと思われていた矢先に震災に見舞われ、
経済、政治、原発、国防とあらゆる方向で難題を抱えることになった2011年の日本。

「一人一人が今できることをやろう!」と、今は目の前の命を救うことに精一杯ですが、
それだけでなくもっと長い目で日本にどうなって欲しいかも考えながら行動したいです。
その為には知識を得ることにどん欲になることも大事だなぁと思う今日この頃です。

これからの日本を考えるためにも、多くの人に読んでほしいと思った本です。

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