われ日本海の橋とならん 加藤嘉一
中国に国費留学し、中国から日本を見つめ続けてきた著者の視点での日中論。
日本を否定するでも、中国を擁護するでもない、若い視点に考えさせられることもあった。
この本のレビュー
高校までを日本で過ごし、大学から中国で生活をしてきた著者からみた、日中関係。今の日本人が失ったバイタリティとパワーを感じて圧倒された。
はっきりと物をいい、多少生意気な感じの文体なのは若さゆえの勢いも感じる。
日本で出版される中国に関する本は、中国の汚点を思いっきり罵倒していたり、
はたまた、自虐的に日本をおとしめていたり、中国をめい一杯擁護していたりと、両極端なので、
どちらにも傾倒せず、かといって日本への愛情は人一倍持ちつつ、
日中関係を実りあるものにしたいと感じている著者の意気込みが伝わった。
「現在の中国国家主席と個人的につきあいがあるが内容はいえない」とか
書かなくていいようなことも書いてありますが、
これが彼の今後の活動や未来の日中関係の伏線に繋がるのかな?という期待も多少はある。
明治期の日本の若者の姿を見ているようで、「こんな人も日本にいたのか!」と驚いた。
なんていうか、なんで日本は政治家にこういう人がでてこないんでしょうかね。
胸を張って日本のビジョンを語れる人たちがもっと出てきて欲しいとも思うし、
その為には国民一人一人が自分の国のことを考えないといけないと思う。
ただ、日本での社会人生活の経験が全くないため、多少「それはちょっと違うよなぁ」とか、
思うような発言も時々ありました。
でも、平成の開国!とか訳のわからないスローガンを叫び続ける政治家や官僚とは違い、
その主張の裏にきちんと彼なりの考えを書いてあるため、「そういう発想もあったか」と思わせたりもした。
バブル崩壊以降、日本は、経済的に落ち込んだこと以上に、精神的に落ちています。
マスコミや政府が「不況、不況」とあおったことだって原因の一つだと思います。
例えば、「大学生の就職率が史上最低!」とあおるけど、子供が減っているのに大学の定員を
増やすことを許可している文科省の実態を一緒にいわないのは変です。
各大学が利益を減らさないために、受験生が減ったことによる減収を受験方法を増やしたり、
短大を4年生にしたり、学部を増やしたり、それこそ訳のわからない状態です。
企業は大学生の数に合わせて増えるわけではありません。そりゃ~就職率落ちるだろう・・・・。
彼のいう若者よ外に出よ!というのは正しいとも思うし、必ずしも全ての人に必要とも思いません。
だから、1年の留学を義務づけるというのはさすがに実現するとはおもえませんが、
こういう新しい発想を主張出来る人物が、マスコミや政治家にどんどん出てきて欲しいと思いました。
久しぶりに若いパワーにすがすがしい気持ちになった。
この本では英語や中国語の勉強で努力したことくらいしか触れられていませんが、
これだけのことをやってのけるまでに、相当の努力をしてきた人だと思います。
今は生活のベースが中国のようですが、日本に落ち着いて、日本を見る目も養ったら
本当に日本海の橋になるかもな~と思わせました。
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