台湾人には、ご用心! 酒井亨
台湾在住経験が長く台湾に精通した著者の台湾論。
断定的で著者の思考がかなり強い主張が多いが、こういう意見も参考になる。
この本のレビュー
台湾への留学経験もあり、社会人時代に中華圏や台湾との関わりも深かった上に、さらに現在は台湾に在住している著者からみた台湾論。
口語体でとてもわかりやすい文章ではあるのだが、
長年深く台湾に関わってきたという自負があるからか断定的に語っていたり、
著者の個人的な考えに終始しているところが多く、若干おもしろみには欠けた。
1冊にあらゆることを詰め込んであるので、一つ一つが簡単にかかれていて、
もう少し、具体的なエピソードがあるとより説得力が増すと思う。
また、文章の随所に「右」「左」などある特定の偏った思想をしている人を批判するような
個人的思想がちりばめられているのがいらないと思った。
台湾人がどうのを語るときにいちいち「日本の右傾化した政治家は勘違いしている」とか
「個人的には靖国神社は問題だと思っている」とか、どうでもいいコメントが入る。
書くならなぜそう思うのかを書くべきだし、なぜそう思うのかを書くと本の主題から
それてしまうというのであればその一言はいらない。
そういうのを省いて、台湾について語っているところの根拠となるエピソードを
もっと具体的に書いていればおもしろいのに・・・とおもえた。全体的に消化不良。
全体的に「日本人の多くは台湾人を勘違いしてるが俺は知ってるぞ」っていう。
でもその知ってることをあまり書いてくれていないのだ。
「日本人は台湾では特権外国人」というのはわかったが、「スペイン人が日本人がうらやましいと言っていた」というのもわかったが、「なぜ?」ということが書いてない。そこが知りたいのに。
この本だけで台湾はこうなんだと思い込むのではなくて、いろんな人の本を読んだり、
実際に台湾に行って台湾人と接してみたりして、自分の経験とつなげるのがいいかな。
一つの参考にはなりますが、全体的に内容が心に残りにくい。
その断定の仕方はどうも・・・と思う理由はたとえばこういう話です。
台湾人は食いしん坊で(うん、うん、よくわかる。)、
年中いろんなもんを食べている(仕事中もそんなにたべてるのか)、
なのに太っている人が少ない。むしろやせている。(確かに。香港の人もそうだけど・・・。)
で、その根拠が、「台湾人は無駄な動きが多いから」とか「休日に山に登るから」とかいう。
著者の独断的な考え方だけど、どう考えても説得力がない。
日常生活で無駄な動きが多かろうと、年をとれば代謝だって減っていく。
休日にちょっとアウトドアをするだけなら平日に食い過ぎてたら太るに決まってる。
そもそも台湾人はバイクで移動する人が多くて歩かないではないか。
エネルギー消費を他にしているか、日本人より食べてないかどっちかでないと変だ。
ちゃんとした根拠ではなく、著者の想像でしかないことで断定して項目が終わってしまう。
「少量を複数回に分けて食べているので総カロリー数はそれほど多くない」とか、
こまめに分けて食べると太りにくい体質になっているとか、遺伝的に基礎代謝が高いとか・・・。
絶対にあるんですよ。太らない理由が。
たまーにこういう記述があるので、なんなんだ・・・と思ってしまうのです。
また、中国人と違って台湾人はメンツを大事にするから人前でしかるなとかあるが、
中国で仕事をしてきた人の本ではたいがい同じことが書いてある。
中国人はメンツを大事にするから、その人個人のメンツをつぶすなかれと・・・。
つまり、この人がつきあってきた中国人は一般的なビジネス書やエッセイに書いてある
中国人とは人種が違うのだろうか?とかそういうのもよくわからないところだ。
とにかく広く、浅くいろんなことが書いてあるので、一つの参考にするとして、
ほかの本や経験と併せて読むとそれなりに楽しめる。
個人的には他の本で、
世界の多くの国は一部のエリートが国を動かしていて、庶民が国を形作っていて成功しているのは日本くらい。だから欧米のエリートは日本がうざい。
日本の次に庶民が国家を形作っているのは「台湾」。
という記述を見たことがあるのだが、この本を読んで、なんとなく雰囲気がわかった気がした。
また、ネットで「台湾人は韓国人が嫌いだ!」という人が、韓国が中国との国交正常化したときに
台湾側には「中国と国交を結ばない代わりに車や列車を買え」と迫り、
台湾が買った途端に台湾と断交し、中国と国交正常化をしたとか、
ソウルの台湾の大使館の敷地を没収して中国に渡したとか、いう主張をよく見かけるが、
この本にも書かれているので、どうやらそれは本当だったんだなと。
(日本じゃ報道されないからね。)
と、納得いかないところもあるけど、おもしろく読めるところもある本でした。
東日本大震災をきっかけに台湾に興味を持った人が多いと思いますが、
留学生、ビジネスマン、台湾人と結婚した日本人、在住者など、それぞれで視点が違うと思うので、
いろんな人の本を読んでみるとおもしろいと思います。
そしてその下地を作った上で、自分で台湾に遊びに行ってみると。
気づくことが増えて、旅の中身が濃くなるので何倍にも楽しくなりますよ。
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