ぼやきつぶやきイギリス・ニッポン 高尾慶子
イギリス在住の日本人女性が海外在住の立場から日本を語ったエッセイ。
年代が違いすぎるのと日本在住ではないことでのズレが大きくて読みにくい。
この本のレビュー
イギリス在住の日本人女性がイギリス在住という目線で祖国について苦言を呈した本。エッセイだから仕方ないかも知れませんが、テーマが雑多で読みにくいのと、
年代が違いすぎて主張するところがよくわからないのと、
今の日本のことをよく知らないのに勝手な批判をしているところなど、
全体的に「へぇ~」と新しい知見に感心したり、同意したりできず、
最後はさーーっと流し読みした。
戦争がどうののところははっきり言うと私の年代とはかみ合わないと思うし、
そういうあたりはナンの感情もなく読めるが、基本的に全てが悪口なので、
読んでいて気分が良くならない。
最初に「苦言を呈した本」と書いたけど、苦言と言うより悪口という感じです。
そしてその悪口が根拠を伴った冷静な批判だったらなるほどと読めるんだけど、
例えば日本でイギリス人女性が殺害された事件を取り上げて、
「日本人として恥ずかしくなった」というのはまあニュースで連日流れるから
そういう感情になるかもっていうのはわかるんだけど、その後に
「英語学校の教師で25万円の収入のあまりの安さに驚いた。」
「収入が足りないから、学校で禁じられていた個人教授をやったのだろう。」
「ロンドンで家賃を払って月に25万じゃ暮らしていけない。」と続く。
彼女が勤めていたのは東京ではなく千葉ではなかったか?
おまけに日本で社会人に成り立ての若者が25万円ももらえないんですが。
今の日本は年収300万で大変だなんだと大騒ぎしてるんですけど・・・。
ちなみにアメリカでは年収300万といえば普通の中流家庭が暮らしていけるそうです。
もちろんそれはニューヨークのど真ん中とかではないのだろうと思いますが、
平均収入がそのくらいが普通だそうです。
日本じゃそれは厳しいけど、それは日本なりの住宅事情やなんやかやがある。
つまり何がいいたいかというと、ロンドン基準で千葉の給料を批判してどうすると。
そういうのちゃんと考えもせずに文章に書いてしまう人なんだという感じです。
彼女を殺害した男を批判したり、日本の治安が~とか語るのはまだわかるんだけど、
こういう日本にいないからこそのズレがあちこちに出てきて、違和感があった。
最初の章からこの調子だったし、その後はスイスの話になったり、ドイツの話になったりとテーマが一貫してないので、エッセイとしてとても読みにくかった。
この本、売れたとは思えないけど、もしかしたら彼女の前の著書がイギリスに居住していることについて書いているので、そっちはそれなりに売れたのかも知れません。
ちなみに著者は政治にすごく関心があり、海外在住ながらも選挙の時にはわざわざ領事館に投票に行っているようです。
インターネット投票とかができれば投票所が家の近所にない海外在住邦人でも
投票が楽にできるのだろうなぁと思いました。
でもそれをやらないのは恐らく政治家側がその方が都合が良いのだと思います。
そしてこの本でちょうど森元総理の失言のことを批判していましたけど、
彼はつい先日もまた軽口で批判されていたなぁ。
日本の若者はオリンピックであんなに立派な発言をしているのにも関わらず、
どうにも直らないようです。ただあれはまた言葉狩りに近かったですけど。
ただ、日本では仮に立派な紳士たる人が政治家になったとしても、
「庶民感覚からずれている」とか政治とは関係ないところで批判されるんで、
やっぱりイギリスと同じ感覚で日本の政治やメディアを見ても意味がない気がしました。
もしかしたら著者と同年代の方には面白いのかも知れませんが
私にはよくわからない考え方の方が多かったです。
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