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ホーム > 歴史・国際関係 > 鯨は国を助く 小泉武夫

鯨は国を助く 小泉武夫

縄文時代から鯨を愛し、タンパク源としてだけでなくあらゆる恩恵を受けた日本人。
商業捕鯨禁止により文化が危ぶまれるだけでなく、鯨の食害で水産業も滅ぶ寸前?!

この本のレビュー

東京農業大学の名誉教授にして食文化の評論などでおなじみの小泉先生による本。
近年、シーシェパードの過激な調査捕鯨妨害などにより日本人の関心も高まるなか、
日本人にとっていかに鯨が生活に密着してきたかや、捕鯨反対国の非科学的で
感情的な論理などがよくわかる本。

私は学校の給食で鯨を食べていた世代だが、月に1回竜田揚げで食べていた程度。
しかし日本人は縄文時代から鯨食の食文化があったそう。
肉を食べるだけでなく、油を灯籠に使ったり、ひげを人形浄瑠璃などに使ったりしていた ことは知っていたが、それだけでなく、骨を粉にして畑の栄養にしたり、 大阪市にある瑞光寺には骨を使った「鯨雪橋」という橋まであるという。

鯨の大事な命をいただくのだから、そのことに感謝し、全てを無駄にしない。
そして、鯨を供養するお寺まで作ってしまうのが日本人の心だ。

対する捕鯨反対国は「鯨やイルカは頭が良い」「かわいいのにかわいそう」という感情論ばかり。
しかしながら昔の日本は調子に乗って乱獲した時代があったことは知っていたが、
その反捕鯨国の筆頭のアメリカも日本近郊まで捕鯨に来ていたというのには驚いた。
石油資源がなかった時代は鯨をとってその油を活用していたそうである。
しかもその油を取った後の肉や内臓は海に捨てていたそうだ。
自分たちはもういらなくなったから、おまえらも従えというなんともジャイアンな発想だ。
しかもアメリカって自国民であるアラスカの人には捕鯨を許しているのです。

そのようなニュースやテレビ番組などで断片的に入れてきた情報が
科学的なデータや写真などと共に論理的に解説されていて、問題の本質がよくわかった。

そして、日本の調査捕鯨に執拗的に反対している国の筆頭はアメリカ、オーストラリア、
ニュージーランドで、それらの国は牧畜が盛んな国です。
しかも日本に牛肉の市場が開放されて以後、特に前者2カ国の肉は大量に入ってきており、
「鯨など食べずにうちから家畜の肉をかって食え。」という意図も透けて見えるという。
オーストラリアに至っては農産物や牧草の被害を受けないように野生のカンガルーを大量に殺し
その肉を食べているのに、そうやって守った牧草で育てた牛を日本に売る。
その実態を知り、もはやオージービーフだのアメリカ牛など買うのはやめようとおもった。
(まあもともとあまり牛肉買わないけど。)
日本の畜産農家を守るうえでも大事だとおもうし。

さぬきうどんもオーストラリアから小麦輸入していたと思うんだけど、
あー、うどん大好きだったのになぁ。食べる気萎えたなぁ。

また、そういった各国の問題を置いておいても、鯨の食害が世界的に深刻なのだそうだ。
商業捕鯨の禁止により鯨の数が増えてしまい、鯨の食料が足りなくなった。
これまでオキアミなどが鯨の食料だと思われていたそうだが、
鯨がふえた結果、生態系が崩れ、イカ、スケソウダラ、サンマなどまで鯨に食べられてしまい、
日本だけでなく、捕鯨反対国のアメリカなどでも漁民が悲鳴を上げているそうだ。
(これらも鯨の胃の中を写した写真などが掲載されていてわかりやすい。)

近い将来地球上の人口が増えて食料が足りなくなる!などと大騒ぎしているが、
そのうちマジメに海産資源が枯渇する可能性がある。
世界中の漁民が職を失いかねない。ここまで来てもまだ政治利用するのかなぁと。

近年ではオーストラリアの首相が岡田前外相にむかって捕鯨をやめないと
訴えるとまで圧力をかけたそうだ。
いっそのことIWCから脱退して勝手に商業捕鯨をしてしまえ!とすら思う。

この前、アメリカのカリフォルニアで生きた鮫からフカヒレをとって海に放すのを
残酷だ!といって禁止する法律が通ったそうで、アメリカの中国系住民から
「他民族の食文化を理解すべき!」と非難されていたが、全く同じことですね。

一方で環境保護の名目などで捕鯨問題は政治的に利用されていますが、
実際に一般市民に捕鯨を科学的根拠を元に行うことをどう思うかを問えば、
アメリカでもオーストラリアでもニュージーランドでも賛成派の方が多数なのだそうだ。
それでいて政治的には反対を強く表明するのは、反対派がよっぽど政治的な ちからをもっているんだろうなぁ。なんなんでしょねぇ、それ。

鯨があまりに増えすぎて、グレートバリアリーフのサンゴ礁とか壊し始めたら
やっと鯨を捕獲しろ!とかいいだすんだろうか。
これまでオーストラリアにもニュージーランドにも特に関心はなかったのですが、
捕鯨を阻止するためのやりかたがあまりに卑劣なので、大嫌いになってしまった。
もう、羊肉も買わない。(北海道産があるのなら別。)

つい先日、福島県のいわき市にいきました。
この近辺でも鯨漁が盛んだったそうで、いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」では、
カフェで鯨定食が食べられます。鯨カツと鯨汁とご飯という組み合わせです。
周りを見渡すと、ある一定年齢以上の方はみんなこれを食べていました。懐かしいのでしょう。
20代くらい以下になると、もう鯨は給食にでなくなったのかなぁ?

小名浜を始め、近くの漁港はツナミの被害をうけました。
福島の漁港が岩手や宮城などと違うのは風評被害がひどすぎること。
例え遠くの海でとった魚でも福島の漁港につくと福島産になってしまうので、
福島で水揚げする漁船が少ないのが深刻な問題になっています。

鯨漁で復活しないかなぁと素人考えで思いながらみていました。
鯨だったら近海でとらないのでは?(これは勝手な想像。)
鯨漁は日本の食文化だけでなく、広く生活文化全体に関わっていたことを知り、
私はなくしてはいけないことだと強く思いました。
そういう象徴的なことを被災地の復活の証にできるようになるといいなぁと。
その為にも政府はへりくつでごり押ししてくる外国の反対勢力と戦って欲しい。

まあ私の根拠のない希望はおいておいて、この本は様々なデータや事実を元に、
いかに日本人にとって鯨が大事か、ひいては自然環境のためにもなるかが語ってあり、
さらに小泉先生の個人的な鯨に対する思いでも詰まっており、大変面白かったです。

シーシェパードのテロ行為に「あいつら何?」って思ったら読んでみることをオススメします。

アクアマリンふくしまの鯨定食
【2011年10月にアクアマリンふくしまで食べた定食。海の幸フライ(くじらふらい)と鯨汁】

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