これからはインド、という時代 日下公人/森尻純夫
評論家の日下公人氏とインドに拠点を置く学者森尻氏の対談本。
新聞やテレビで伝わって来ないインドの姿がわかってビジネスのヒントになる。
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この本のレビュー
現在インドのマンガロールに在住しており、インドの大学で教鞭を執っている教授と世界や日本の歴史などに通じて痛快な評論を展開している日下氏との対談本。
これだけビジネスチャンスが眠っているのに、日本人はあまりにインドのことに興味がなさすぎると警告する。
インドの社会構造からインド人の考え方などを対談形式でざーっと盛り込んであって、
これ一冊ではたぶん足りないと思いますが、最初のとっかかりに読むのに入りやすい。
特に日下氏と対談をしているため、インドの時代背景を語るときに、
たとえば日本ではこういう風に考えるけどインドではこうで・・・と比較できる例が
ふんだんに語られているのでわかりやすい部類の本だと思う。
特に日本人は未だにインドというとタイガージェットシンとかガンジーとか、ガンジス川とか
そのようなことしか思い浮かべないようで、インドに旅行に行くと言うだけで、
「人生観変わるっていうよね~」とか杓子定規に言われるのがすごく不満だった。
人生観は日本にいたって変わるんですけど・・・。
ガンジーについては日本人は平和の象徴のように語る人がいますけど、
非暴力というのは自分が武器を持っていないから非暴力といっていたと明言しているそうで、
つまり武器があったら戦ったという話だそうです。
私もインド旅行中にインド人がガンジーに対してさめた発言をしているのを聞いたことがあるが、 日本人は今でもガンジーは善人という見方しかしてないのかも。(ま、私はガンジーなど興味もないですが。)
そもそも今までインドのことというと爆弾テロのこととか、核実験やミサイル開発のことくらいで 後はせいぜいマルチウドヨクスズキの話が聞こえるくらいでしょうか。
それはメディアの記者たちがデリーから一歩も出ないという事情もあるようです。
何か事件が起こったときだけ後追いで報道するという話。
現在は懐事情もあるので、お金かけて記者を現地に駐在させるのではなくて、
現地にいる法人から情報をもらった方がよいという方向になっているそうです。
記者は文章を書くのはプロかもしれませんが、必ずしもその道の専門家ではないので、
的はずれなことを書くこともあります。
今の世の中、SNSなどであっという間に情報が広がるので、今まで通りにはいかないのかも。
そういう意味ではこの本は日本の記者がつかめないようなインドの情報がいっぱいで、
しかも、インドは日本と組みたがっているのに日本が近寄ってこない。
ビジネスのチャンスを逸しているということを様々な事例で警告しています。
しかし、インドの高速貨物鉄道のことは小泉政権の時にすでに話が進んでいると思ってたんですが、
この本を読む限りどうも宙ぶらりんのようですね。
なにやってんの~!ってびっくりしました。
そして先日鉄道関係の知人から聞いた話でも、インドが必死にアプローチをしてくるようなのですが、
ある意味あちらは素人なので無理な工期など提案してくるようです。
「あれじゃ絶対無理」ってばっさり言い切っていたけど、一応見積もりもしたみたいだけど、
思うに、中国や韓国は「それでやりますよ~」って引き受けて、実際に理由をつけて
契約をした後に工期をのばしたりというやり方をするような気がします。
その件ではインド側は「なんでこんないい話をことわるんだ!」と信じられない顔をして
帰っていったようですが、日本人はできない約束はできないんだろうなぁと思いました。
でも、「無理」と最初から言い切るのではなくて、代案をひねり出せなかったのかなぁ。と
内実をしらないので無責任なことを心の中で思っていました。
先日、安倍政権が誕生したとき、インドのメディアは「待ってました!」と反応しました。
そして、去年の中国で起きた反日暴動では「これはチャンスだ!」と報道されたそうです。
今まではあまりに日中関係が強固すぎて入り込む隙がなかったけど、
インドが日本と手を組むチャンスだ!とメディアが経済界に提言していたというのです。
向こうが積極的に手を組みたがっているのに、そしてそれは日本にもメリットがあるのに、
日本側があまりにインドの情報に疎すぎるというのが現状のようです。
しかし、私、インドの国境問題はカシミールのパキスタン、インドの件だけだと思ってましたが、
中国が年々人口攻撃で国境線を南下させているそうです。それも500kmも。
インドのヒマラヤ地区は自然環境が厳しいので人も少ないし、つけ込み易いところもありそうです。
(その上、住んでる人が穏やかなチベット系ばっかだしな~。)
ちょっと前まで外国人が国境を越えて商売とかできなかったんだけど、
中国側との商売を許したら、どんどん国境線を踏み越えられているという現状らしい。
中国も先日ロシアとはきちんと国境線決めたけど、インド側は野放しなんだって。
ともかく、現在の、21世紀のインドはどういう国かを知るためにいい本です。
ビジネスのためだったら、インフラがまだまだのミャンマーに行くより、インドの方が近道かもしれませんよ。
タグ :
インド
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