神奈川県の大山登山。滑落事故にまつわる人間模様。
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大山の阿夫利神社の下社や見晴台までなら大人になって行ったことはあるのですが、頂上に登るのはツライのがわかっているので行かないわけです。(思えば小学生の時は遠足とか、大山登山とか嫌々行事で登っていた。)
今回は同じ神奈川に生まれ育ちながらも、大山に登ったことがないという湘南地区育ちの身内とともに久しぶりに登りました。それが2014年5月4日です。
帰りは大山豆腐を食べながら一杯飲んで帰宅の予定が下山途中で滑落事故の捜索にぶつかり、残念ながら日向薬師からバスに乗ることになりました。
そのまま山頂まで登りました。
GWという繁忙期なのも有り、結構、登山客が多い割に時間通りに山頂へ。
休憩なしの勢いで登ったので、1時間15分くらいで行ったかな。
天気はよかったけど、冬じゃないので空気がかすんでいて、景色はぼんやり。
それでも湘南の海などは見えて、いい感じです。
小学生の時の大山登山では同じ道を下山したのですが、コースを変えて見晴台方面へ降りたのです。思えばこれが混乱の始まり。
見晴台までは順調に60分くらいでたどり着き、そこでしばし休憩を取りました。
その後、ケーブルカー乗り場方面へ歩き出すと、反対からやってくる方が、
「落石事故で1時間くらい通行止めだそうです。」と言います。
そのときの我々がとった行動は「1時間くらいなら待つか~。」って感じ。
だって、山頂に登っても別ルートで下っても1時間じゃ済まないからです。
その通行止めになっている箇所にたどり着くと様子が少し違う。
伊勢原市の消防隊の人がかけずり回っており、山の下の方に向かって
「聞こえますか~。」と叫んでいます。
これはどう考えても落石事故ではなく、滑落事故です。
見晴台から阿夫利神社下社までの登山道は山肌を縫うようになだらかに作られていますが、登山道の上下は勾配のきつい斜面です。落ちたらどこで止まれるかはわかりません。
遠くの沢の近くにうっすらと捜索隊の人やロープが見え、そのうちに山のずっと下の方で叫びながら誰かを探しているのがわかります。
そして、待つこと30分くらいでしょうか。先に見える捜索隊の方が発煙筒を炊いているのが見えたり、山の上にはヘリが飛び始めました。
ヘリで捜索しているのかもしれませんが、この雑木林じゃ上から見てもみつからんだろうなぁ・・・。
時々、後ろの方から様子を知らない人が人をかき分けて歩いてくるのですが、
「今事故で通行止めです。みんな待ってるんだから並んでください。」と注意する方がいます。
ただでさえGWで人が多いのでどんどんと下山客が増えてどうにもならなくなり、
後ろの方から2名の男性が「様子を聞きに行ってくる。」とやってきました。
一人は「状況をご存じの方いませんか?」と列の方に訪ねながら。
「小さい子供も多いから困っちゃいますよね。」と。
我々の周りの方はきっと滑落事故であることや、人命救助が優先だから捜索に邪魔な登山客をせき止めているのであろうということは想像でわかるので、おとなしくじーっと待っていたのですね。
見る限り、捜索に当たっている方の人数は数名だもの。
ぴんしゃんと生きてる人間を気遣って交通整理する余裕なんてないんですよ。
でも、後ろの方の人はそういう状況がわからないから「なんで止まってるの?」ってなる。
だから意を決して状況確認に動いた方がいたというわけです。
前の方にいると後ろがすごい状況になってることまで気づかないの。
しかしその2人目の人がプリプリと怒って感じ悪いじいさんだった。
「どういう状況か後ろに情報を回すべきだ!わかんないんだよ。」とか言うので、
「事故ですよ。」っていったら「だからそれを後ろにちゃんと伝えないと状況がわからないんだよ。」と。
「でもみんなはっきりとした状況わからないんで。」
「だからちゃんと後ろに情報ながせって言ってくるんだ。」だって。
このおじいさんのゆってることはわからないでもないが、どう考えてもそこまで気が回らないほど切迫しているということくらいわかるだろう。空気読めと言う感じ。
私の前にいた人も思わず、「今一人、(状況確認に)行きましたよ。」と暗に邪魔しに行くなよっていう意味を含めていってましたけど、「俺も行く!」とだからおまえら道通せ!って感じで、ぶちぶち言いながら人をかき分けて歩いて行った。
結局、一人目に聞きに行った方がいうには「まだよくわからないみたいです。どうもお子さんが一人落ちたみたいなんで。」って真っ青な顔をしてました。
「子供が多いし困っちゃいますよね」という台詞から訳もわからず待たされている周りの小さな子供のことを考えての行動だったわけですから、まさか、落ちたのが子供とは思わなかったのでしょう。(私も子供とは思ってなかった。)
ぷりぷり怒っていたじいさんは戻ってくることなかった。
列の先頭で捜索の邪魔してなければよいですが、人員整理をする人がいないと判断して、率先して手伝っていた可能性もあります。真相はわかりません。
事故の情報を最初にきいたとき、「1時間くらい通行止め。」と言われました。
急斜面とはいえ木があちこちに生えているのでどこかで止まるだろうし、
救助隊もすぐに見つかると思ったんだと思います。
ところが声を上げても返事はないし、近くの斜面にはいる気配がない。
そんな状況で「通行止めはどのくらいか他の登山客にいえ!」と迫られても
捜索側隊側も困るだろうなぁって思ったんですけど、
答えようがないから多めに見繕って「2時間。」と言ったようです。
ちなみにニュースを見る限り、滑落事故が起こったのは午前11時半くらい。
私が通行止め箇所にたどり着いたのは午後1時くらいです。
通報を受けた消防隊が麓から現場まで上がってくるのに1時間はかかるので
捜索を始めたばかりだったと思う。
2時間という時間を聞き、せき止められていた登山客の多くは、
「だったらケーブルカー方面あきらめて、日向薬師に降りよう。」と
ほとんどの方がルート変更して山を下りていきました。
ケーブルカー駅まで車で来ている方などは、そこに戻らねばなりません。
だから山頂に再び上がって違うルートで下山する方法を取る方も少しいた。
もう一度山頂に登って下山するのは体力的にはきついけど、
日向薬師に降りて、バスで伊勢原回って大山に戻るよりは早い。
車をケーブル駅に置いていて、山頂に戻るのは嫌な人は、携帯電話でタクシー会社や身内に電話して迎えに来てもらっていたりもしました。
我々は多くのお客さんと同じように日向薬師方面へ下山してバスで伊勢原駅にでましたが、神奈中もそのあたり臨機応変に対応して、大山方面に出ていた臨時バスを日向薬師方面に回してくれていて、助かった。
夜のニュースを食い入るように見ていたら、滑落したのは60代の男性と、5歳の男の子で、男性は意識不明の重体ということでした。
そして、結局、男性は亡くなったということで、男の子が足のけがだけですんだところを見ると、おじいちゃん、孫をかばって落ちたんだなぁと、助かってほしかったなぁと悲しくなりました。150mも下に滑落してしまったのだそうです。
見晴台と阿夫利神社の下社を結ぶルートはGWを挟んで工事中だったんですね。
橋の架け替えなどを行う予定で、GW期間だけは登山客が多いから仮の橋を架けて通行許可を出していたのです。
歩くルートとしてはなだらかで楽なんだけど、一歩足を滑らすととんでもない ことになるのです。
思えば私が小学校の時に登ったルートは阿夫利神社下社から本社の頂上まで
まっすぐ登る弾丸ルートで、帰路も同じ道を降りたのです。
勾配はそれなりにきついですが、登山道をそれない限り滑落事故には合わない。
小学生を登山に連れて行くにはこのルートの方が安全だったのかも知れません。
しかし、今回は事故処理を巡って、周りの方々が黙ってじーっと列に並んでいたのをみて、日本人だなぁとしみじみと感じてしまいました。
あの「後ろに情報を流すべきだ!」と怒り狂っていたおじいさんを除いて。
あそこで「人がいないなら私が人員整理やりますよ!」という態度がでたら、
みんなに尊敬されたと思うんだけど。
ゆってることは正論だったけど、「なんなんだ、あのじじい。」とか「あの言い方はないよなぁ。」とみんなに言われてまして、言い方一つで印象が変わってしまうのは気の毒でした。やっぱちょっと印象悪かったですね。私も。なんでこっちが詰問されないといけないのよ。と。
伊勢原の駅前にいた伊勢原のマスコットくるりん。
大山ごまを頭に乗せてます。
神奈川のゆるきゃらってしょぼいのが多いけど、この子は結構かわいい。
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