青城山でなぜだか雨の山下り。(1999.08.14 成都)
四川省の都江堰(ダム)
道教の総本山青城山と都江堰(ダム)を巡る日帰りツアーなんかにも参加してみた(ここまでの日記を読んで、ホントに暇だったと言うことがわかって貰えるだろう)。
この日はあいにくの曇り空。でも、この間の楽山ツアーが楽しかったから結構期待していた。
でも正直期待はずれで、がっくりきた。場所もそうだが、天気もそうだが、一番の理由は面白い人に出会わなかったことだろう。やっぱり旅は人との出会いが一番楽しい。
まず、この日が土曜日だったのが良くなかった。成都から日帰りで行けちゃうところだっただけにツアーの参加者がものすごく多い。
当然人数が多いのは他のツアー会社のバスも同様で、一つ一つの団体が多いため、ちょっと目を離すと自分のツアー集団がどこかわからなくなる。他の国ならいざ知らず中国なので、しばしば団体を見失った。
「この人日本人かなぁ?」なんて目を付けていた人も中国人でしたが、それからその人を憶えて勝手に目印にしていた。
バスが都江堰につくとぱらぱらと雨が降ってきた。とりあえず東側にある仁王廟を見学する。
2日前に行った峨眉山のロープウェイもそうだったのだが、普通に買う入場券に数元プラスすると自分の顔写真入りのオリジナル入場券を作ってくれる。別に顔写真入りの入場券なんかなくても良いのだが、ツアーに参加している人がみんな作っるので、仕方なしに同じ列に並んでいた。はぐれたら困るもん。巧い商売考えたなぁ。
記念入場券を無事手に入れると、今度はダムの見学。ガイドは他の大多数のお客に向かって中国語で説明をした後、私のところにやってきてこういった。
「あー・・・。フォーティーミニッツ」
私はこれを40分間の自由行動と解釈した。
「おーけー」
やっと自由にぶらぶらできることに、開放感で一杯になった。そして土産物屋を冷やかしたりして徹底的に40分を楽しんだ。
35分後、集合場所に戻ろうと吊り橋を渡っていると、ガイドのアシストをしていた女性が息せき切って駆けつけてきた。
「ああっ!!!・・・なんたらかんたら・・・」
何言ってるかわからないが、どうも私を捜していたらしい。だって、40分経ってないよ?
わけがわからぬまま集合場所まで走らされ、行ってみた先にはツアー参加者が既に全員集合。私はこの団体のガイド責任者にめちゃめちゃ怒られたのである。彼女は、フォティーミニッツがどうたらこうたら・・・言いながら、時計を指す。
ちょっと待て。フォーティーミニッツって40分後じゃなくて、10時40分って事なのか?それはわからんよ~。
「40分に集合って言ったでしょ。時間くらい守ってよ!!」
なんてことをこんこんと言われているらしい。
・・・ううむ。これか、トラブルって。
中国のツアーってトラブルも多いって言うのを聞いてたけど、私は物理的なことだと思っていたんだけどね。こういうのもあったんだなぁ。
一応、集合時間に遅れてツアー客全員に迷惑をかけた私も悪いが、外国人の参加を許可しているツアーなんだから、もうちょっと考えてくれればいいのに・・・なんて思ったりした。「フォーティーミニッツレイター」だと思ったもん。私は。そうでもない?
よくよく考えたら、ツアーで、しかも単なるダムで、こんなにたくさん自由時間をくれるわけないね。
お姉ちゃんのあまりの剣幕に何も言い返せなかったが、あなたの言い方も悪いんだよ~・・・とも思うのだ。
その後、リフトとバスを乗り継ぎ、青城山の入口まで行った。
たまたまリフトで一緒になったお兄ちゃんが英語を話したので、そのまま片言で会話をしていると、ガイド責任者がめざとくそれを見つけ、「あなた、お願いだからこの日本人を見ていてちょうだい」などと頼んでしまい、そのまま山登りも何もかも一緒になった。兄ちゃんにとってはとんだ迷惑である。
1人でいるのもつまらなかったので金魚の糞の様にくっついていたけど、この人はたった1人でこの道教の総本山に来てしまうくらいの青年で、とてもとてもこの山とこの山にある道教の寺に興味を持っているわけで、正直、この青年と一緒にいるのはかなりハードであった。
青城山についた頃にはしとしとと雨が降り始め、山の中腹に建てられた寺に着く頃には本格的になった。
私は旅行は好きだが、特定の建物や宗教、景色等に思い入れはあまり持っていない。だから、観光ツアーに参加していても、「なんだかよく解らないけど、寺だな」って感じで、ほとんど無関心でぶらぶらしていた。
道教に思い入れのあるとってもまじめなお兄ちゃんは、責任感を持ってしっかりと私をエスコートしようとする。
「この山にある他のお寺はみたい?」
「そうだね。せっかくだから見たいかなぁ。」
「そう、わかった。ねえ、見に行くってさ。」
私の適当な答えをガイドに伝えると、ガイドはさらに二人の青年に声をかけ、山の散策路を指しながら説明を始めた (中国語だから予想なんだけど)。
「この道を下っていくとお寺があるから・・・・」
あれ?何で私らに向かってだけ説明してんの?
「じゃあ、行こうか」
彼らに促されるまま、私は最後尾をついていくことになった。
実はこの青城山ツアー。リフトで山を登ったり湖を船で渡ったりしながら今いるお寺まではみんなで来るが、あとは自由行動になり、寺が見たい人は見に行って、そうじゃない人は各々好きな方法で山を下りることができた。
当然ながら、小さな子供を連れている人やお年寄り、単なる休日の家族旅行に来た人たちなんかはこんな雨の中わざわざ山を徒歩で下りたりしない。
だけど、このお兄ちゃん達は、はるばると遠くからこの青城山の道教の寺を見に来たわけだから、雨なんかで譲れないんである。(まあ、私もはるばる日本から来たんだけど。)
雨はどんどん強くなるし、合羽は着てるけど(実は意地で買わなかったら、一緒のツアーの中国人のおじさんがくれた。ごめんなさい。)もはやそんなもの役に立たない。
靴はぐちょぐちょ。こんな経験小学校の時以来だ。
雨をおいておいても、ゆっくりのんびりと行けるなら良いけど、やはりあまり時間はないらしくみんな歩くの速い~。はっきり言ってかなりの足手まとい。舗装してないところは崩れそうで危険だったしなぁ。
足手まといの私にもイヤな顔一つせずに付き合ってくれた中国のお兄さんにはやっぱりちょっと感激したが。 途中の茶店でお茶飲みながら休憩したりして、それなりに楽しく過ごさせてもらったし。
そして、しとしととふる雨のなか(たまに土砂降りになるのがイタイ)杉の並木の間を歩いているのは、神秘的な気持ちではあった。なんか天狗とか出てきそうだったもん。
晴れの日は大勢の観光客がこの道を歩いて下るだろうし、見えるのはきっと前の人の頭だけ。修学旅行で歩いたなんの感動もない奥入瀬がふと頭に思い浮かんだ。
※奥入瀬は、その後、大人になってから、自分でのんびり歩いてみましたが。
麓に降りると、他のツアー客はすでにバスの中。我々がバスに乗り込むとすぐに成都に向かって出発した。
帰る頃にはガイドさんの機嫌はすっかり直っておりなんとなくほっとしたが、雨の時はみんな早く帰りたがるから、自分も早く仕事が終わるわけだし、楽な面もあっただろう。
ここまで二つのツアーに参加してみて感じたことは次の通りである。
- 中国のパッケージツアーの良いところ
- 自力ではなかなか行くのが大変なところに楽に行ける。
- 友達ができる(日本人は普通に街歩きをしていても外人と思われない)。
- 食事を大勢で食べるから、いろんな種類のごはんを食べれて幸せ。
- 中国のパッケージツアーの悪いところ
- とにかくハードスケジュール。朝早くから夜までぎちぎちである。
- たまにやなガイドに当たる。ちなみに添乗員とガイドは別でガイドはその観光地専属である。
- 個人で行っても同じだが、とにかく何処へ行っても人が一杯で息が詰まる。
ただの暇つぶしとか、誰かと友達になりたいなーなんて時は、平日のツアーに参加する方が良い。
参加人数があまり多くないからガイドさんも参加者全員のことに目がいくし、結構1人で旅している人も多いんだよね。特に8月は中国の学生の夏休みだ!
それにしても、一日おきにツアーに参加していて「時間の使い方がもったいないよ!!」と言われたが、 日本人にはこのくらいのペースがちょうど良いと思います。私は。
ほんっとうに疲れますよ~。軟弱日本人と体力が違うんです。マジで。