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ラサの名所巡り:馬に乗ったり、バルコル行ったり。(1999.08.18 ラサ)

湯沸かし器
太陽光を活用したコンロ。
高地ならでは。
二日目は朝食のあと、ラサの北西12キロに位置するデプン寺に向かった。
この日は、どこでそうなったのか、成都軍団の隊長(成都の家族の親父が、いつの間にかツアーの人たちに隊長と呼ばれていた)が私のところにやってきて言った。

「今日は、Mr.huが君の通訳をするからね」

・・・Mr.フーってだれ?

デプン寺に着き、再び隊長と目が合う(実は隊長もたどたどしく英語をしゃべる)。 彼は思いだしたように頷くと「ミスターふーー!!」と誰ぞやをよぶ。
すると、この間一緒にお茶を飲んだ自称アメリカンの太った男の人がやってきた。
・・・君がミスターフーか。米国に住んでるっていう話の太った中国人男性である。 ちょっと早口でわかりにくいのは中国なまりの英語なのかもしれない。

T氏は私の通訳から解放されてホッとしている様子(別に頼んではいないが結果的にそうなっていた)。
でも、周りの中国人やガイドさんがとにかく気を使ってくれちゃって、「あの子を頼む」って言われ続けたらしい。自分だってチベット旅行を楽しみたいだろうにいい加減うんざりといえばうんざりだよな。

終いには今日の朝食時に「俺が英語で通訳をやるよ」とかミスターぶーが発案したらしく、とりあえずあまりよく理解できないけどもありがたく思っておいた。

で、デプン寺だが、着くなり物乞いの多さにまず驚いた。
沿道や入り口のそこかしこにハンカチくらいの大きさの布にこれ見よがしにおいて、「あんたも金置いてきな」と言わんばかり。でも、なんか物乞いっていっても身なりとか裕福な感じで、単なるたかり集団に見える。
勿論、こんな極寒の地では服をめい一杯着込まないと死んでしまうけど、でも、あんまり喜捨する気になれない光景だった。

お寺では、日本と同じくお賽銭を入れる風習があった。
人によって額に差はあるものの、数角を入れるのが普通のようだが、でも、今の中国では角なんて滅多に手に入らない。 店で買い物したり、ホテルで支払ったりする時点で支払いの単位が元のことが多いからだ(特にラサではそうである)。

とはいえ、あまりにたくさんの仏像があるので、一つ一つに1元ずつのお賽銭をしてたらあっという間にお金はなくなる。
私はそれを理由に余りお賽銭入れなかったんだけど、中国人のおっさんの様子を見ていたら、なんと物乞いの風呂敷の角と自分の手持ちのお金を両替していた。

ところで、本日の私の通訳係であるミスターぶーは、太っていて黒縁めがねをかけていてちょっと見にはもてそうもないタイプなのだが、かわいらしい彼女連れでラサ旅行に来ていた。

この彼女が一癖あって、昔のはやり言葉で言えば「ぶりっこ」ってやつ。同姓には嫌われそうなくねくねタイプである。
しかし、フェロモンだしまくりなのでお坊さんには効果覿面。いつも男に囲まれているだけに、鼻の下のばしまくりなのが見ているだけで本当によくわかった。

売店でジュースを買うときには100元札を出し、

「お賽銭入れるんだから細かくほしいんだけどなぁ。ねぇん」

って感じでお釣りを喜捨用に角に両替させたり(そのジュースはミスターぶーに無理矢理飲ませていた)、巡礼にきた坊さんを捕まえては五体投地のやり方を「おしえてぇん」と体当たりで教わり、食堂で食事の支度をしている坊さんの輪に入っては一人、バター茶をごちそうになっていたりした。

声色がほんと猫なで声。「だってあの子エッチじゃん」とT氏が一言。

色白くて、目がぱっちりしていて、おまけに身体の線がぴっちり出ていてむっちむち。坊さんだってむらむらっと来ること間違いなし。
そんな彼女をかわいくてしょうがないって態度で見つめるミスターぶー。・・・美女と野獣だ。

昼御飯の時間になり、またポタラ宮前の食堂に行く。すると、目の前の広場で中国国旗のプリントされた 気球をあげていた。なんでも天安門事件から10周年であり、今日は祭りがあるらしい。 昨日の飛行場での歓待は、この祭りのために中国からきたVIPのためのものだった。

 さっさと食事のために2Fに上がるみんなを尻目に、気球が上がる姿を一部始終見ていた。
ポタラ宮の前に掲げている中国国旗といい、この気球といい、チベタンの反中国心をあおってるよなぁ・・・。 なんて考えているうちに、気球はふにょふにょふにょとしぼみ始め、終いには落ちてしまった(笑)わはは。

その後、この気球が浮かぶことはなかった。吹き矢でも飛ばしたかぁ(笑)

気球 昼食の後は八角街(通称バルコル)と大昭寺の見学。
大昭寺を囲むようにしてマーケットが立ち並んでいるが、バルコルはマーケットであると同時に大昭寺への巡礼路でもある。お寺を囲んで時計回りにしか歩いてはいけない決まりで、日本人はそういわれると何となく守ってしまうんだけど、西洋人、中国人はかまわず逆周りをしていた。どんなに急いでもぐるっと回ると15分はかかってしまうからね。

そしてバルコルの後、いやだと言っていたのに無理矢理乗馬に連れて行かれた。

ガイドさんとしてもみんなが参加してくれないと、支払うお金が足りなくなるとみて、何度もなんども行きたくないという我々日本人に「チーマー」(馬に乗るという意味らしい)と繰り返していた。

広場にやってくるとチベタンがうわーーっと我々を取り囲み、訳の分からぬ言葉(中国語だろうが)でぎゃんぎゃん吠え立て、私の腕を引っ張る。無理矢理馬に乗せようとする。

「なにすんのよ!さわんないでよ!!」

思いっきり日本語で叫ぶ私。だって、ワケわかんないよ。

私が馬に乗るのを怖がっていると思った南京男は「ドンビーアフレイド」なんて言うけど、ちょっと待て。 怖いって言うより、いきなり囲まれて拉致られてしかも思いっきり身体さわられてキレてしまったのよ。

冷静になってみると、馬それぞれに当然ながら持ち主がいるわけで、自分の馬に乗ってもらわないと収入がないから、いわば彼らにとってはこのお客争奪が死活問題ということで必死なのだった。 でも馬になんか乗りたくないし、中国語理解できないから何言ってるかわかんないんだもん。

結局、ガイドさんに誘導されて馬に乗せられてしまったが、世話係の少年は中国語でひとしきり乗り方を説明すると、どこかに行ってしまった。なかなかにやる気のなさそうな白毛の子馬である。
最初の方こそ、笑顔でK氏に「どうやって乗るのかわかんないんですよー」なんて言ってはいたが、そのうち馬は止まってしまうし、降りようにも下はぬかるみだし、どうしようもなくなって一人馬の上で被害者ぶっていた。

「なんなんだよ。だから馬になんて乗りたくないって言ったのに。乗り方わかんないんだからどうしようもないじゃないか!」
言っているうちに、自分がとてもかわいそうに思い始め、だんだん涙目になってくる私。

たまたまやる気のない馬をけしかけに来てくれた子供がいたのだが、私が涙目になっているのに気づいた広州の女の子が私に嫌がらせをしていると勘違いして子供を叱りつけてしまった。

いやいやいや違うんですよ。ぶつぶつ言ってるのは乗り方わかんなくてふてくされているだけなのよ。涙目なのはいじめられたワケじゃないのよ。

何もしていないのに怒られてしまった子供は踏んだり蹴ったり。終いには「一体どうしたの?」と人だかりができてしまった。
「うまに乗りたくない!」っていうだけのことから大騒ぎになってしまった。

「違うんです。無理矢理馬に乗せられて、いきなり草原に出されてどうしていいかわかんなかっただけなんです!」

怒られてしまった子供をかばうために必至に弁明したのだが、もはや誰も聞いてくれず。
「大丈夫だよ。もう、平気だからね」

子供のようにあやされてしまった。

穴があったら入りたいとはこのことである。いい大人が、ごめんなさいね・・・。
でも、こう言うのってやっぱ女の役得なんでしょね。誰も悪くないのに。
(強いて言えば、いやだというのに馬に無理矢理乗せたガイドのせいだが。)


ラサの中心といえばここ!バルコル

Ⅰ バルコル

巡礼グッズ
ナッツ売り屋台
大昭寺の目の前に栄えるバルコルは、巡礼路として、また人々の生活を支えるマーケットとしてなくてはならない存在である。
寺にお参りに来る人のためにはお線香やヤクバターなどの巡礼グッズ屋さんが、観光客向けにはチベット的な 刺繍の施されたバッグやアクセサリーなどのおみやげ物屋が、地元の人たちのためにはセーターなどの日用品から 食べ物屋が店を開く。
左上は巡礼グッズ屋さん、左下の写真はナッツ屋さん。 このナッツ屋だけは、鼻が高くて色白の売り子さんでどう見てもチベット人ではない。 遙かシルクロードから商売にやってきた西アジア系の人々であった。
仕立屋さん さてさて、バルコルは別に食べ物だけではなくて、こういう青空仕立屋さんまであるところが驚き(写真右)。 この店の向かいでは靴修理屋さんがトンテンカンと靴をたたく。
 そして、その隣では地面に座り込んで自転車のパンク修理をしているおじさんがいるのであった。

Ⅱ おおまみべいめほー

五体投地 巡礼にやってくる人々は五体投地という方法でお参りをする。五体投地は、頭の上で両手の平をあわせ、それをそのまま胸の前に持ってきて、その後両手を地面につき土下座の体制で深々と頭を地面につけるという三段階で成り立つ。
 頭を地面につけるだけではなく、そのまま野球のヘッドスライディングのごとく地面を滑り、うつぶせの形までやる人もいる。たぶん、こちらが本式なのであろう。五体を投げ出すというネーミングにも当てはまる。
 が、それを行っていると当然ながら手のひらの皮なんてズル剥けだ。 だから、手のひらが乗るくらいの大きさに折り畳んだ段ボールを床においておき、 段ボールごと手のひらを地面に滑らせるやり方で五体投地をしていたのは、 デプン寺の鼻の下のばしまくり坊主である。 しかも、ちゃっかり自分の横にお布施用の籠を置くことも忘れていなかった。

Ⅲ チベットにはなくてはならないヤク

ヤクバターの灯 チベットでヤクはなくてはならない存在。 乳はバターやチーズに、肉はトゥクパの具に、皮や毛は防寒具になる。
そしてヤクのバターは料理やバター茶に使われるほかにこういう使われ方もする。 銅製の器にヤクバターを入れ、芯をさして灯をともす。 大きな仏像の前には大きな銅の器が備えられ、人々は自分の家から持ち寄ったり、お寺の外のお店で購入した ヤクバターを匙ですくって器に入れ手を合わせる。 ちょうど、お賽銭を入れるような感じである。

 ポタラ宮も、大昭寺も、内部の明かりはすべてこのヤクバターによるランプに頼っており、 薄暗くも神秘的な雰囲気を醸し出す。  ・・・ただし、観光客が少なければね。本当の意味で巡礼に来ている人々にとって、我々は単にじゃまなだけだったであろう。

Ⅳ 坊主もいろいろ

読経中のお坊さん
若い坊主の集い
入ってすぐの中庭で読経中のお坊さんたち。 真ん中の一番奥にいる偉いお坊さんのところに、自分の身につけているアクセサリーを渡すと、聖水で清めてもらえる(あいにく私はアクセサリーをつけていなかったもので)。
さて、同じツアーの日本人観光客K氏は私同様にガイドの言っていることが理解できないため、一人ふらふらと寺院内をさまよっていた。 ふとトイレに行きたくなった彼はせっぱ詰まって目の前にいたお坊さんにトイレの場所を尋ねたらしい。
その坊さんは親切にトイレの場所を教えてくれたらしいが、後でこの読経の場所に聖水を分けてもらいに行くと、トイレの場所をきいたのが、まさに一番偉い坊さんであり、「君はさっきのトイレの子じゃないか!」なんて言われて恥ずかしかったらしい。トイレの場所は若い坊主にききましょう。
←坊さんとはいえ、まだまだ若いこは好奇心旺盛であろう。 若い坊主がたむろってなにやら密談中。

Ⅴ センスを疑う赤い垂れ幕

大昭寺の展望台 大昭寺の二階からバルコルの屋台街を見下ろす展望台がある(ポタラ宮と違ってこっちはただ)。やはりポタラ宮はここからもしっかり見ることができる。
しかし祭りだかなんだか知らないが、あの赤い垂れ幕はやめてくれ。 ポタラ宮の真ん前に広場を作って、そのど真ん中に中国国旗を立ててしまうのもやり過ぎと思ったが(ポタラ宮の写真を撮ると必ずど真ん中に中国の国旗が写り込む)、この真っ赤な垂れ幕はちょっとなぁ。
私は初日の夕方に写真を撮っておいたからまだよかったけど、運悪くこの日に来てしまった人たちのカメラに収まったポタラ宮は、赤い布に白地ででかでかと 中国万歳みたくかかれた垂れ幕が写っているはずだ。