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私はなぜ「中国」を捨てたのか 石平


戦後の激動の中国に生まれ育ち日本に渡った一人の青年がいかに親日になったのか。
著者の生涯を語ることで現代の中国がどうやってねじれたのかが見て取れる。

この本のレビュー

著者の石平氏は1962年生まれ。戦後、中国が共産党によって統治されてからだいぶ経っている。
両親共に知識人(大学の先生)だったが、文革時代に農業に従事することになり、
人間的にも能力的にも立派な漢方医であった祖父に育てられたという経緯がある。
その祖父は思想教育を禁止している中国の学校の学校教育では孫の教育が満足ではないと判断し、
独自に国語教育を施していたそうだ。
その祖父の教育で、現代の著者の礎が培われたというのがよくわかる。

ちょうど1980年代に大学生になり、かの天安門事件を経験した世代である。
その経験から共産党が共産党を守るためにはどんなことでもやる姿にがっかりし、
たまたま日本に留学していた友人の助けで日本に渡ってきた。
そして、日本における生活を通じて、日本に残っている古き良き時代の中国の思想や
日本人の心に傾倒していき、2007年に日本に帰化されたそうだ。

本を読む限り、彼は日本を大変好きになってくれて、自らを愛日家と呼んでいるが、
故郷への思いが全くなくなったワケではない。
むしろ自分の生まれ育った四川の田舎町や尊敬すべき祖父母や両親を思う姿、
そして「仁」「徳」といった立派な思想を作った中国が誇る孔子を尊敬し、誇りを抱いている。
しかし、その立派な先祖をもちながら、いつの間にかおかしくなってしまった祖国を憂い、
外国にいながらではあるが、祖国に苦言を呈さざるを得ないことを嘆いている感じだ。

この人は孔子を孔子様と常にいうので、孔子と書いたら怒られてしまいそうですが。

最も切ないなぁと思ったのは彼が甥に「おじさんは間違っていた!」と言われたこと。
若造の生意気はどこの国でもあることですが、要は共産党の洗脳教育で
共産党こそ全てであり、正しいと思いこんで、天安門事件すら「仕方なかった」という。
中国は古くから内戦が絶えない国ですが、こうやって正当化していくのかなぁとも思った。

私は日本の教育で孔子とか孟子とか漢文とかいろいろと勉強させられましたけども、
まったくもって興味を持たずに過ごした学生時代でしたが、もったいなかったですね。
私の世代の勉強といえば大学に受かるためであって、勉強が面白いものにはならなかったのだ。

元外国人により、日本の良いところを気づかせてくれた本であり、
いつしか中国が昔のような日本がお手本にしたような国に戻ることがあればいいなと思います。
そして、きっとこの時代に日本にやってきた外国人は、今の堕落した日本を嘆いていると思います。
日本人として、日本はどうすべきか、考えないといけない分岐点だよなぁとしみじみした。

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