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私は、なぜ日本国民となったのか 金美齢


台湾の独立運動家の一人として生きてきた金氏の半生が書かれた本。
わかりやすい文章なので一気に読める。
台湾と日本の位置づけを知っておくために読んでおきたい。

この本のレビュー

私がこの金美齢というひとを知ったのは割と最近のことだ。
リーマンショックの後、派遣ギリという問題がメディアでたびたび取り上げられ、
それについて元派遣労働者を支援する活動をしている日本人たちとの議論する番組にでていた。
最初はあのカリスマ美容家の佐伯チズさんかと思ったくらい。まったく知らなかった。
そこで彼女が「そもそも派遣ギリというが派遣労働者として働いている間本人たちが自分で
一度でも正社員で働くために努力したことがあったのか。やれるべきことは沢山あったのに
いざこういうときになって騒ぎ立てる方がおかしいのではないか」とかそんな感じの正論を述べ、
その支援者側に「その考えは正しいかもしれないけど、今はもうそう言う議論をする状態を越えている。そういう話をするべきときはもう過ぎたんです!」と反論されていた。

この本は金さんの生き方そのものを語ってある本だが、この本を読んだ後は、
この金さんがこういう厳しい正論をいうことに納得した。
常にひたむきに努力しながら自分の人生を送ってこられた方で、尊敬に値する。

今ではもう台湾にも数少なくなりつつある日本統治時代を経験した台湾人の一人で、
中国の侵略をいやがって国外に飛び出した人の一人である。
祖国を飛び出さなければ中国(国民党)の圧政に自由な生活はままならず、
多くの若者が留学を夢見た時代だったようだ。
そして、その後、日本にいた独立運動家に出会い、台湾独立運動に加わり、
さらには近年になってとうとう日本に帰化した。 その経緯は是非、この本を読んでもらいたい。(まあテレビとかでゆってるか?)

今回起こった震災で台湾からは多くの義捐金が寄せられ、「やっぱり親日国家なんだ」と
単純に解釈してほっとしている日本人も多いのではないかと心配していたけども、
やっぱ、中国しかり、台湾の政府の動きは日本人はもっと知っておくべきだと思った。

実際、台湾も企業や個人が中国との貿易を通じて潤ってきているところもあり、
「中国には統一されたくないけど、今の生活を守るためにはおつきあいはしておきたい。」
という考え方がだんだん増えてきているようで、十数年前に中国から台湾海峡に
ミサイルをぶっぱなされたことなど、もうあんまり気にしてないっぽくて、
しかも、今の馬総統は若カリし頃から「尖閣諸島問題」を熱っぽく語っていたそうだが、
「ああ、やっぱり、台湾の領土だ!って騒いでいるのは国民党なのか。」と思ったりした。

金氏曰く、馬総統は政治的能力がないそうだが、今の日本の政治家も相当なもんである。
特に鳩山前首相のことはどきっぱりと「めまいがした」と言い切っているが、
未だに彼がメディアの前で「菅批判」を繰り出すのには、唖然とする。
菅氏がスバラシイというのではなく、その前に日本をめちゃくちゃにしたのはおまえだろう。

ちょうど民主党政権が発足した直後に書かれた本なので、そのあたりも織り交ぜながら、
わかりやすく書かれています。

日本が今どういう立場に置かれているのか、日本国民としての自分を考えるきっかけになります。
特に震災直後でみんなが、日本を復興させるんだ!という思いを持っている今、読むといいです。
私は海外旅行に行くことが多いので、行くたびにいろんな意味で日本人に生まれたことのありがたさを感じることが多く、外に出れば出るほど愛国心が強くなりますが、
さらに生まれた国のありがたさを身に染みて感じました。
パスポートひとつで、ふらふら海外旅行できることはとても有り難いことだとも思う。

彼女や李登輝さんの年代の台湾人が亡くなった後の日-台関係を思うと、
今、彼女のような方には、こうやってメディアや本で訴え続けて欲しいと思う。

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