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日台の「心と心の絆」 李登輝


台湾の元総統にして台湾を民主国家に変えた李氏による厳しくも温かい日本への提言。
これからの両国の関係のためにも読んでおきたい一冊。

この本のレビュー

台湾の元総統にして台湾を民主国家に変えた李氏による厳しくも温かい日本への提言。
様々な場所で行ってきた講演や執筆をまとめた本のようだ。
日本統治、中華民国時代と今を生き抜いてきた人だからこそいえる言葉がためになる。

東日本大震災で台湾の人は多くの義捐金を寄せてくれたが、一方で台湾は親日な国と、
簡単に考えてしまわないように、両国関係をどうしていくかを一人一人が考えたい。
そのヒントになるようなことがかなりかかれていると思う。
ただ、文章は平易で大変読みやすいのですが、章によってはある程度台湾のことを知らないと、
そして日本の歴史を知らないと理解できない記述もあるので、
これをきっかけに日台の歴史を調べてみるといいかもしれません。

一ついえるのは、李登輝さんや金美齢さんのような世代の方がなくなると、
中華民国(中国)の歴史教育を受けた世代が中心になるので(今もなっているけども)
考え方もだいぶ変わっていると思うこと。
だから安易に親日だから大丈夫という幻想は持たずに、しっかりと今のうちに
両国関係を作っていかないとこわいよなぁということです。

特に今の台湾の総統は相当(しゃれじゃない)中国よりなのをひしひしと感じているので、
それをさらに再認識した感じがします。

なんつーか、日本では台湾のことがあまりニュースになりませんが、
日本統治時代に台湾でなくなった日本人の慰霊碑を撤去するのを決定したり、
例の尖閣諸島の漁船扇動も率先してやってるし。
どうもこの人が若いときに博士論文で台湾の領土だって書いたのが最初みたいですしね。

慰霊碑なんかは南太平洋とかにもいろいろありますが、確かにそこでなくなったからといって
外国にたてるのはいいのかどうかって考えることもありますが、
撤去するという考え方自体が中国的だと思ったのです。

かつて沖縄の人と台湾の人は一緒に漁をしていたのも聞いていましたが、
琉球王国と台湾は密接な関係だったのだなぁと簡単に考えていましたが、
この本を読んで、「ああそうか。一時期同じ日本領土だったこともあるのか」と気づきました。
沖縄の人は尖閣諸島周辺で漁をした後、基隆の港に魚を卸していたそうで、
だから台湾に住んでいる漁師が結構多かったと。

もちろん、遠い昔にもそういう関係はあったのかもしれませんが、それこそ清の時代も
沖縄だって属国だったので、その時代も一緒に漁をしていた可能性もありますが、
でもそういう事実を日本じゃあんまり取り上げないので、よく知らないですよね。

と、日本と台湾の関係で気づかなかったことをいろいろ知ることができました。
日中関係がぐちゃぐちゃになっている今こそ、多くの日本人に読んでもらいたい本です。

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