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おいしい中国 楊逸


中国東北地方ハルビン生まれの著者が幼少期の記憶をひもときながら、
食事や生活などを振り返ったエッセイ。今とは全然違った時代のお話。

この本のレビュー

中国ハルビン生まれで芥川賞作家の楊逸が母国の食文化を通して、
文化や人々を語ったエッセイ集。新聞に連載された物を書籍かしたもの。

中国東北地方のお正月料理といえば「餃子」ですが、
それについては多くの日本人が知ってることだけど、
どのように作っていたかまでは知らないと思う。

正月(春節)が近づくと、家族総出で分担しながら、皮をこねて、
具を包んで餃子を大量に作る。ここまでは想像できる。
で、その作った餃子をざるに広げて、家の外に並べるという。
冬はマイナス20度とかになるのが当たり前のハルビンです。
家の外が天然の冷凍庫になるというのです。
これは、想像してなかったことだっただけに、なるほどと感心した。

それだけ東北地方の冬が厳しいと言うことに他なりませんが、
それだったら大量の餃子を作り置きできるわけだなぁと。
(でも盗まれたりしないんだろうかと心配もしたり。)

そして、著者の子供の頃の時代は要は文化大革命の時代であって、
教師だったご両親とともに、農村に下放されたといいます。
だいたいこういう話は中国政府を批判する文化人の本で読むけども、
そのことを事実として、淡々と書いているのが新鮮というか、
今の若い中国の人には考えられない世界なんだろうなぁと思いながら読んだ。

食べ物のネタに限ってはいませんが、昔の中国の庶民の生活がどんなだったかを かいま見ることができて、興味深かった。
このあたりはかつて日本人も多く渡った地域ですから、
満州を知る方などは懐かしく読んでいたかもしれません。

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