北京陳情村 田中奈美
高速鉄道の北京発着駅付近にあるという陳情村をおったルポ。
テレビでたまにみかける陳情者がどんな人なのかなんとなくつかめた。
posted with ヨメレバ
この本のレビュー
テレビのニュースを見ているとときどき中国の人民が不当な立ち退きなどを政府に訴えている姿を映していることがある。
日本でも何か事件が起こった時そのような場面をみかけることもないわけではないし、
なんとなくスルーしてみたいた。
中国には不当な目にあった人民が政府に訴えられる陳情局なる役所があるという。
そういえば「何年も訴えているのよ」と言ってる人テレビで見たような気がするが、
これだったのか。と。
地方で不当な立ち退きに会ったり、地方政府に騙されて財産をだまし取られたりと、
生きていくのも大変な状況に追い込まれた人たちが、中央政府に訴え続ける。
日本人からすると「ひどい!」と彼らに同情してしまうところだが、
著者の姿勢はただ同情するわけでもなく、彼らの訴えをすべて信じてもいないようで、
一見、冷めた目で見ているため、逆に陳情局や陳情者の姿がリアルに伝わってきた。
テレビでさーっと5秒流れるよりも、匂いや息遣いが伝わる分、不気味な感じだ。
中国は鄧小平の「富める者から富め!」の号令のもとで改革開放路線に転向したが、
一方で弱者を守る体制ができておらず、まさに弱肉強食、食ったり食われたりの世界だ。
旅行者や駐在の立場で中国を訪れるとある程度守られた空間に身を置けるので
こういう世界を肌で感じることなどない。けど、これも現実のひとつなのだと。
中国の暗部と簡単に言い切るわけでもなく、陳情者を100%信じて正義感を振りかざすでもなく、
陳情村で見たもの、聞いたものを淡々と伝えているため、妙にドロドロしたものが 心に残ります。
記事はお役にたてましたか?
記事にご興味をもっていただけましたら、
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓以下のソーシャルボタンで共有していただくと嬉しいです^^