冬のデリーはなんだか胡散臭い。(ごめん)
バンコクカオサン通りの
クリスマスライブ。
おっさんボーカル熱唱中。
夏の旅でエアインディアの機体故障で何度も空港に戻されたお陰で、成田空港よりも細部が鮮明に思い出せる。
今回は全日空。久々の日系で、しかも初めてビジネス。少々浮かれ気味なのは庶民だから仕方ない。
空港から出ると、いつものようにニューデリーの安宿街メインバザールに向かった。
メインバザールというのはニューデリー駅前にある商店街のこと。
比較的安めの宿が集まっているため、外国人バックパッカーが必ず目指すところである。
メインバザールに着いてから、ふと気づいたのが、なーんか違う。
夏に来たときよりも何となくすさんだ雰囲気なのだ。
まず第一に、夏に比べて圧倒的に旅人が少ない。
外国人に出会ったのは数人の西洋人だけで、あれだけ集団で通りを闊歩していた韓国人や日本人とは全く出会わない。
昨日立ち寄ったバンコクのバックパッカーのたまり場であるカオサンは相変わらず盛況だったのに。
外人の多く集まる通りは外人がいないとなんとなくもの寂しいのだ。
実はこの日はクリスマス。現地の人によると、ここいらにたむろしていた外人はこぞってゴアなどにバカンスに行ったらしい。
確かにゴアは一応はビーチがあるし、何よりその周辺の都市はクリスチャンが多い土地柄。
首都であり、単なる町のニューデリーではクリスマス気分は盛り上がらない。
そして、第二に夜の町が異様に暗い。
日本やバンコクの様なネオンきらびやかなのがむしろ異常なのかもしれないが、ただでさえ街灯の明かりが弱いのに停電でもしようものなら、通り沿いの店の主がディーゼルエンジンを使った自家発電機を店先で作動させるため、さらに空気がよどんで余計に胡散臭さが増長されていた。
そして第三に、インド男は服装がものすごく地味なんである。
せっかく肌の色が小麦色で健康的なのに、暗い地味な服装だとその色が映えない。
夏の明るい太陽の下や、半袖シャツの場合はさわやかでとてもいい男に見えたりする人も、ダークグレーや黒っぽいセーターなんかを着ちゃうととっても地味でなんだかこっちの気分まで沈む。
たぶん、この第三の理由がわたしにとって一番しっくりこない。
「インドは暑い国」っていうイメージを持つ日本人は多いと思う。
私も予備知識で北インドは冷え込むと知ってはいたけど、それでも日本よりは暑いと思いこんでいた。
結局、寒いのが大嫌いな自分が寒いところにわざわざお金を払って来ているというていたらくで、
自分の都合で勝手に気分が盛り下がっているのであった。
インドに冬というイメージはなんだか似合わない。
だから、ブルーグレーなんかの地味~なセーターを着て欲しくなのだ。
夏には快適だった安宿もすこぶる居心地が悪い。
ホットシャワーがちゃんと出ないと文句を言ったところで、簡単に直して貰えるわけでもなく、
ぬるいシャワーで耐えなければならなかったりする。
旅の荷物は常に最小限で、当然、いつもドライヤーなんて持ち歩かない。
髪が長かったりする人は風邪を引くこと請け合い。
そして、夏は冷房があることを売りにしている宿も、暖房はなかったりする。
暑さが超厳しく、暑い季節の方が長い町では建築物は暑さ対策の方に重きを置かれているのだ。
"エアコンがある"といううたい文句はすなわちクーラーがあることで、
冷暖房という発想は高級ホテルにしかないのである。
ブランケットを何枚も要求しなければ寒くて寝ていられない。
羽布団とか、布団ではなくて、毛布だから底冷えする。
(ちなみにインドのそこそこの家庭でもそうらしく、冬は暖房なしで乗り切るらしい。)
私は日本を出るときに寒さをこらえて、若干薄着をしてきた。
冷えるのは自宅から成田空港までの間だけだと思っていたのである。
しかし、この時期に北インドに入る人は日本の服装そのままが一番だと断言しておきます。
昼間はシャツ1枚でも平気なくらいに気温が上がるが、夜は摂氏1度くらいまで下がる。
つまりそれって夜から朝方にかけては、この時期の東京より寒いって事よ。
厚手のジャケットがなければマジで凍えます。夜もTシャツ一枚じゃ寒くて眠れないっすよ。
とにかく、このままデリーにいるのは絶対イヤ。
寒い!少しでも暖かいところに行きたい!
何がなんでも南に下る。この休みの日程で行って戻ってこれる場所を探して地図とにらめっこだ。
「Diuに行ったら?」
Diuというのはグジャラート州の南端にある小さな港町である。
だいぶ南に下がるし、何てったってビーチだし、そもそもここよりは暖かそうなのはわかる。
言ったことのない町なのもあり、なんとなくわくわくする。
よし今回の旅はグジャラートに決めた。グジャラートでジャイナ教に触れるツアーだ。
早速、グジャラート州にある都市、アマダバードまでの飛行機を手配したが、早朝4時に起きて空港に行くのは拷問の様だった。
ああ、寒い。