酷暑の湖畔でだらだらと。すっかり怪しい外人と化す。
ハイダラバードで宿泊していたホテルのエレベーター。ドアが自動じゃくてびっくりした。
蛇腹式の柵が二重で片方はエレベーター内部、もう片方は各階のエレベーターホールに付いている。 エレベーターが来たタイミングでホール側の柵を開けると、エレベーターが止まるので、内部の柵を開けてエレベーターに乗る。
乗ったら、外側の柵、中側の柵の順に閉めるて、目的の階のボタンを押すとエレベーターが動き出す。結構、怖いでしょ。これ。
手動の柵を開けるタイミングが難しく、何度エレベーターに素通りされたことか!
目的の階で降りることができず、一緒に乗り合わせた人が降りる階で降りたこともあった。あきらめて階段を使ったりもした。
朝の7時半に宿をチェックアウト。夜にハイダラバードから寝台列車でバンガロールに向かう予定だ。
もう一晩分宿代を払えば夕方までいられるのが、私はたかだか数百円も惜しむようなケチな旅人だったのだ。
私的にはゴールコンダフォート観光にでも行こうかと思ったが、「暑くてヤダ!」と猛反対される。
結局、「どこかでダラダラする」というなんともやる気のない結論に達した。
その場所はフセインサガール湖に決定。湖はハイダラバード駅とスィカンダラバード駅の間にあり、
乗る予定の列車がスィカンダラバード駅から出るため、ちょうどよかったのである。
あとでそれは地獄だと知ることになるんだけど。
湖畔に着き木陰に荷物を下ろすと、連日の熱帯夜ですっかり睡眠不足の我々は昼寝タイムに突入。
ただし、さすがにふたりで爆睡もまずいので、交互に起きていたけど。
ところで、湖畔はきれいに整備されていたが、平日の真っ昼間なだけにあまり人の姿はなかった。
そして、昼間っから座っているという行為はただでさえ珍しい上に、明らかにインド人とは違う顔立ち。
とっても目立ってしまったらしい。
通りすがりに声をかけていく若いバイカーのにいちゃん。
わざわざ降りてきて、とりとめもない質問をひたすら浴びせかける人も1人や2人ではなかった。
誰もがただ日本人に興味があるだけで、ひとしきりしゃべると「じゃ!」とバイクにまたがり去ってゆく。
5月ってインドの夏休みだから、若者が暇なんですかね。
しかし、私は5月のインドをなめていた。
「木陰で湖畔で涼しいんじゃん?」なんてとんでもない。
1時間、2時間と過ぎ、太陽の高さがあがるに連れどんどんどんどん気温が上がってゆく。
日陰に居る意味なーーし!直射日光に当たらないというだけで、今の言葉で言うと熱中症寸前!
とても耐えられなくなった私は「木陰だから」と言い訳し、タンクトップの上に着ていた長袖シャツから腕を抜いた。
シャツを軽く羽織るようにしただけで体感温度はグンと下がり、ほっと胸をなで下ろす。
しばらくそのままの格好でいたが、そのうちその格好にも体が慣れてきてしまったようで、
またうだるような暑さに襲われた。
今度は羽織っていたシャツをほんの少しだけ脱いでみる。・・・少し涼しい。
そのまましばらく過ごしていると、一台のバイクがとまり二人の男が降りてきた。
「また話しかけられるのかなぁ。」と思ったが、2人は20メートルくらい離れた木陰に座っただけ。
我々と同じように湖畔の公園で休憩をしにきただけのようである。
しかし、しばらくして気づいた。なんか好奇な視線を感じる。
外人がいるとじろじろ見ちゃうのは日本人も同じだし、そのあたりはわかる。それにしても遠慮がなさ過ぎ。
だって、じーーっと食い入るように私を見つめているんである。
目が合っても逸らさない。にこりと笑うわけでもない。・・・何なの~???
ああーーー。
その時、私ははっとした。彼らは私のこの二の腕を見ていたのだ。
日本では二の腕を出していたところで、じーっと見られることなんてない。足なら別だけど、腕ですよ。
しかし、ここはインドだった。ただでさえ女の人の露出度が低い上にここでは私は色白なんだった。
媒体として非常に珍しすぎるのである。
何のためにこの暑いのに長袖を着ていたと思ってるんだ。それだけ気づかってたのに、暑さですっかり忘れてた。
いやぁ、このときが昼間で、しかも男連れ(弟だが)で良かった。
見つめられていた理由に気づいてあわててシャツを着るとあからさまに「ちっ」と舌打ちをして、
二人はバイクに乗って去って行きました(笑)
ちなみにこの旅から数年後、4回目のインドを訪れたとき、グジャラート州の海辺で水着、
それもよりによってビキニで転がっている西洋人女性がいました。
彼女一人ではなく男連れではあったのですが、そのビキニの胸の谷間を至近距離で見たいがために
執拗に二人につきまとっているインド人の若者がいたなぁなんてことも思い出します。
インドの若者ってすごい欲望に素直ですよねぇ・・・。
ところで、一日中湖畔に居ると言うことは、食事はともかくとして、せめて水分はとらないとしんどい。
これだけ暑いのだから、脱水症状になりかねない。
実は朝から我々のことを気にして何かにつけて声をかけてくる婦人がいた。
彼女は英語を話さないのでほとんど意思疎通が叶わなかったのだが、いくつか身振り手振りで言いたいことを理解できた。
例えば、遠く我々の背後のずっと奥を指さしながら、空のペットボトルをとりだし、水を注ぐそぶりをする。
町を歩いているとき、何度も給水所を目にしていたので、
「ペットボトルを持って向こうに行けばお水もらえるわよ。」と言っているらしいとわかった。
大都市では飲み水専用の水道があるが、ハイダラバードでは給水所があった。
藁葺きの簡易的なつくりのテントの中に水がたっぷりと入ったカメがいくつもおいてあり、係りの人が柄杓ですくって銀のコップに水をついでくれる。
一年中暑い南インドでは水分のあるなしは、あるいみ静止にも関わるのかも知れない。
インドの旅はまだ2回目。そして、旅は始まったばかり。なんとなくドリンキングウォーターは信用できないでいた。
前回のインド旅行は最後の最後に飲んだ水の為に少しお腹を壊したからだ。
結局、おばちゃんの言うことはおいておいて、購入していたミネラルウォーターを飲んでいたのだが、そのうち一つ、二つとペットボトルが空になり、さらにその中の一つは水出しで飲んでいた紅茶のティーパックが破れてどうしようもなくなっていたので捨てようと思った。
ペットボトルを手に立ち上がり、ごみ箱を探して捨ててきたところで婦人にばったり。すると彼女はこう言った。
「さっき持っていたペットボトルはどうしたの?」
「あそこ。あのごみ箱に捨てました。」
ゴミ箱を指さした途端、婦人の表情が一変。「あんたなんてことすんのよっ?」っていう顔だ。
どうやらこのおばさんは、街の美化とリサイクルに燃える人だったらしい。
おいしい水はただでもらえるのに、わざわざ高い水を買って飲みまくり、そしてこの街のいやこの国のゴミを増やす とんでもない外人と彼女の頭にインプットされてしまったっぽい。
実のところ、私はインドでここまでゴミに気を使っている人がいることにまずびっくりしてしまった。
電車の窓からぽいっとゴミを投げ捨て、ガンガーにはありとあらゆる生活排水が垂れ流し。
そういうのばっかり目の当たりにしていたから、勝手に「ゴミは窓から捨てるのが常識の人が多い」と思いこんでいた。
でも、たった2週間ちょっとの旅行でインドのリサイクルの常識にはついていけないし、慣れない水もおなかを壊すし。
彼女の攻めるような表情を思うと心がちくちくし、一回だけ空のペットボトルを持って水を貰いに行きましたが、 確かにその給水所のお水はなかなかおいしかった。
しかし、駅のホームのドリンキングウォーターなどは水道管が錆びているのか色も変で、味も奇妙だった。
やっぱ、事情がわからない外国人にはちょっと勇気がいるのであった。お水は。
ところで、この日はほんっとに一日中ここにいたので、巡回に来た警察官もさすがに不信に思ったらしく、
三回目くらいのパトロールの時にとうとう職務質問されてしまった。
パトロールに来るたびに見かける日本人。炎天下。しかも何もしていない。何かあったと思うのが普通だ。
結局、列車のチケットを見せ、「列車の時間まで暇だからここにいる。」と納得して戴いたが、 それならそれでインド人は普通駅で待つので、やっぱり変な外人と思っただろう(笑)
だって、駅の方がぜんぜん涼しいし、売店もレストランもトイレもシャワーもあるし、リタイヤニングルームに行けば寝れるし、至れり尽くせりなんだもん。
夕暮れが近づき涼しくなってくると、湖の畔の売店が、一件、また一件と開店し、 昼間閑散としていたのが嘘のようにあちこちから人々が夕涼みにやってきた。
そして、夕涼みに湖畔に人々が集まってくるタイミングになって、湖畔を去るあたり、やっぱり怪しさ満点の外人になってしまいました。
今思えば、酷暑の時期によくインド旅行なんて行ったなぁ。私。(でも北よりマシっていうけどね。)
蛇腹式の柵が二重で片方はエレベーター内部、もう片方は各階のエレベーターホールに付いている。 エレベーターが来たタイミングでホール側の柵を開けると、エレベーターが止まるので、内部の柵を開けてエレベーターに乗る。
乗ったら、外側の柵、中側の柵の順に閉めるて、目的の階のボタンを押すとエレベーターが動き出す。結構、怖いでしょ。これ。
手動の柵を開けるタイミングが難しく、何度エレベーターに素通りされたことか!
目的の階で降りることができず、一緒に乗り合わせた人が降りる階で降りたこともあった。あきらめて階段を使ったりもした。
朝の7時半に宿をチェックアウト。夜にハイダラバードから寝台列車でバンガロールに向かう予定だ。
もう一晩分宿代を払えば夕方までいられるのが、私はたかだか数百円も惜しむようなケチな旅人だったのだ。
私的にはゴールコンダフォート観光にでも行こうかと思ったが、「暑くてヤダ!」と猛反対される。
結局、「どこかでダラダラする」というなんともやる気のない結論に達した。
その場所はフセインサガール湖に決定。湖はハイダラバード駅とスィカンダラバード駅の間にあり、
乗る予定の列車がスィカンダラバード駅から出るため、ちょうどよかったのである。
あとでそれは地獄だと知ることになるんだけど。
湖畔に着き木陰に荷物を下ろすと、連日の熱帯夜ですっかり睡眠不足の我々は昼寝タイムに突入。
ただし、さすがにふたりで爆睡もまずいので、交互に起きていたけど。
ところで、湖畔はきれいに整備されていたが、平日の真っ昼間なだけにあまり人の姿はなかった。
そして、昼間っから座っているという行為はただでさえ珍しい上に、明らかにインド人とは違う顔立ち。
とっても目立ってしまったらしい。
通りすがりに声をかけていく若いバイカーのにいちゃん。
わざわざ降りてきて、とりとめもない質問をひたすら浴びせかける人も1人や2人ではなかった。
誰もがただ日本人に興味があるだけで、ひとしきりしゃべると「じゃ!」とバイクにまたがり去ってゆく。
5月ってインドの夏休みだから、若者が暇なんですかね。
しかし、私は5月のインドをなめていた。
「木陰で湖畔で涼しいんじゃん?」なんてとんでもない。
1時間、2時間と過ぎ、太陽の高さがあがるに連れどんどんどんどん気温が上がってゆく。
日陰に居る意味なーーし!直射日光に当たらないというだけで、今の言葉で言うと熱中症寸前!
とても耐えられなくなった私は「木陰だから」と言い訳し、タンクトップの上に着ていた長袖シャツから腕を抜いた。
シャツを軽く羽織るようにしただけで体感温度はグンと下がり、ほっと胸をなで下ろす。
しばらくそのままの格好でいたが、そのうちその格好にも体が慣れてきてしまったようで、
またうだるような暑さに襲われた。
今度は羽織っていたシャツをほんの少しだけ脱いでみる。・・・少し涼しい。
そのまましばらく過ごしていると、一台のバイクがとまり二人の男が降りてきた。
「また話しかけられるのかなぁ。」と思ったが、2人は20メートルくらい離れた木陰に座っただけ。
我々と同じように湖畔の公園で休憩をしにきただけのようである。
しかし、しばらくして気づいた。なんか好奇な視線を感じる。
外人がいるとじろじろ見ちゃうのは日本人も同じだし、そのあたりはわかる。それにしても遠慮がなさ過ぎ。
だって、じーーっと食い入るように私を見つめているんである。
目が合っても逸らさない。にこりと笑うわけでもない。・・・何なの~???
ああーーー。
その時、私ははっとした。彼らは私のこの二の腕を見ていたのだ。
日本では二の腕を出していたところで、じーっと見られることなんてない。足なら別だけど、腕ですよ。
しかし、ここはインドだった。ただでさえ女の人の露出度が低い上にここでは私は色白なんだった。
媒体として非常に珍しすぎるのである。
何のためにこの暑いのに長袖を着ていたと思ってるんだ。それだけ気づかってたのに、暑さですっかり忘れてた。
いやぁ、このときが昼間で、しかも男連れ(弟だが)で良かった。
見つめられていた理由に気づいてあわててシャツを着るとあからさまに「ちっ」と舌打ちをして、
二人はバイクに乗って去って行きました(笑)
ちなみにこの旅から数年後、4回目のインドを訪れたとき、グジャラート州の海辺で水着、
それもよりによってビキニで転がっている西洋人女性がいました。
彼女一人ではなく男連れではあったのですが、そのビキニの胸の谷間を至近距離で見たいがために
執拗に二人につきまとっているインド人の若者がいたなぁなんてことも思い出します。
インドの若者ってすごい欲望に素直ですよねぇ・・・。
ところで、一日中湖畔に居ると言うことは、食事はともかくとして、せめて水分はとらないとしんどい。
これだけ暑いのだから、脱水症状になりかねない。
実は朝から我々のことを気にして何かにつけて声をかけてくる婦人がいた。
彼女は英語を話さないのでほとんど意思疎通が叶わなかったのだが、いくつか身振り手振りで言いたいことを理解できた。
例えば、遠く我々の背後のずっと奥を指さしながら、空のペットボトルをとりだし、水を注ぐそぶりをする。
町を歩いているとき、何度も給水所を目にしていたので、
「ペットボトルを持って向こうに行けばお水もらえるわよ。」と言っているらしいとわかった。
大都市では飲み水専用の水道があるが、ハイダラバードでは給水所があった。
藁葺きの簡易的なつくりのテントの中に水がたっぷりと入ったカメがいくつもおいてあり、係りの人が柄杓ですくって銀のコップに水をついでくれる。
一年中暑い南インドでは水分のあるなしは、あるいみ静止にも関わるのかも知れない。
インドの旅はまだ2回目。そして、旅は始まったばかり。なんとなくドリンキングウォーターは信用できないでいた。
前回のインド旅行は最後の最後に飲んだ水の為に少しお腹を壊したからだ。
結局、おばちゃんの言うことはおいておいて、購入していたミネラルウォーターを飲んでいたのだが、そのうち一つ、二つとペットボトルが空になり、さらにその中の一つは水出しで飲んでいた紅茶のティーパックが破れてどうしようもなくなっていたので捨てようと思った。
ペットボトルを手に立ち上がり、ごみ箱を探して捨ててきたところで婦人にばったり。すると彼女はこう言った。
「さっき持っていたペットボトルはどうしたの?」
「あそこ。あのごみ箱に捨てました。」
ゴミ箱を指さした途端、婦人の表情が一変。「あんたなんてことすんのよっ?」っていう顔だ。
どうやらこのおばさんは、街の美化とリサイクルに燃える人だったらしい。
おいしい水はただでもらえるのに、わざわざ高い水を買って飲みまくり、そしてこの街のいやこの国のゴミを増やす とんでもない外人と彼女の頭にインプットされてしまったっぽい。
実のところ、私はインドでここまでゴミに気を使っている人がいることにまずびっくりしてしまった。
電車の窓からぽいっとゴミを投げ捨て、ガンガーにはありとあらゆる生活排水が垂れ流し。
そういうのばっかり目の当たりにしていたから、勝手に「ゴミは窓から捨てるのが常識の人が多い」と思いこんでいた。
でも、たった2週間ちょっとの旅行でインドのリサイクルの常識にはついていけないし、慣れない水もおなかを壊すし。
彼女の攻めるような表情を思うと心がちくちくし、一回だけ空のペットボトルを持って水を貰いに行きましたが、 確かにその給水所のお水はなかなかおいしかった。
しかし、駅のホームのドリンキングウォーターなどは水道管が錆びているのか色も変で、味も奇妙だった。
やっぱ、事情がわからない外国人にはちょっと勇気がいるのであった。お水は。
ところで、この日はほんっとに一日中ここにいたので、巡回に来た警察官もさすがに不信に思ったらしく、
三回目くらいのパトロールの時にとうとう職務質問されてしまった。
パトロールに来るたびに見かける日本人。炎天下。しかも何もしていない。何かあったと思うのが普通だ。
結局、列車のチケットを見せ、「列車の時間まで暇だからここにいる。」と納得して戴いたが、 それならそれでインド人は普通駅で待つので、やっぱり変な外人と思っただろう(笑)
だって、駅の方がぜんぜん涼しいし、売店もレストランもトイレもシャワーもあるし、リタイヤニングルームに行けば寝れるし、至れり尽くせりなんだもん。
夕暮れが近づき涼しくなってくると、湖の畔の売店が、一件、また一件と開店し、 昼間閑散としていたのが嘘のようにあちこちから人々が夕涼みにやってきた。
そして、夕涼みに湖畔に人々が集まってくるタイミングになって、湖畔を去るあたり、やっぱり怪しさ満点の外人になってしまいました。
今思えば、酷暑の時期によくインド旅行なんて行ったなぁ。私。(でも北よりマシっていうけどね。)