列車でトラブル。ウェイティングリストってゆってよ!
酷暑の南インドで思いがけずに避暑地マイソールでくつろいだ2日間。
マイソールから再びバンガロールに戻り、寝台列車でマドラスまで戻ることになっていた。
3日前にバンガロールの列車予約窓口で寝台列車の切符は買ってあったはずだった。
二等列車に揺られること4時間弱。バンガロールに到着すると夕食がてらに街をぶらぶらする。
駅近くでインドのファーストフード店を発見し、サモサなんて食べたりして、なかなかに満足。
腹も満たされたところで再びバンガロール中央駅に戻った。
列車はすでにホームに入っており、さらに車両を確認すべく列車の乗客名簿を見に行った。
インドでは、列車の発車時刻の数時間前から乗客の名簿が一斉にホームに張り出される。
列車の始発駅だと、ホームに入った列車の車両にべたりと貼ってあったり。
そもそも日本のように電光掲示板や放送による列車案内はないので、予約が確認できるのはく安心でもある。
ところで、今回は「たまにはエアコンクラスに乗ってみようか。」と思い立った。・・・思い起こせばそれが悪かった。
16両編成のチェンナイメイル(特急の名前)。16両のうち二等のエアコンクラス車両はわずか2両である。
簡単に見つかると思ったのに、乗客名簿のどこを見ても私の名前がない!!
「もしかして、ノンアエコンの車両と間違ってる?」
もちろん、そんなチケット買ってないんだから載っているわけがない。
「すみません。このチケットに書いてある車両はどの車両なの?」
列車に乗り込んでいた従業員らしき人に聞く。
「ああ、これはホームの真ん中のカウンターに行きな。」
は?どういうこと?意味が分からず今度は切符売り場のお姉さんに聞く。が、また答えは同じ。
「ホームのカウンターに行け。」
二人の駅員に言われたとおり、ホームの真ん中当たりにカウンターがあった。
そこで一人のおじさんが長~いロール紙をめくりめくり赤ペンでチェックを入れていた。
「すみません。あの、ここに行けと言われたんですけど・・・。」
おじさんは我々のチケットをひったくると、持っている紙をめくり始める。
何枚か下の紙から我々の名前の書かれた物がでてきた。そして、その名前の横に赤でチェックを入れてチケットを突っ返す。
・・・何?
「ちょっと今のどういうこと?何をチェックしたの?」
「今夜のマドラス行きの列車は満席。明日まで待つんだね。」
あっさりと言いますけど、おじさん!ちょっとまだ事態が飲み込めないんだけど。。。
インドのシステムを飲み込めていない私たちと、システムを知っているおじさんとでは全く会話にならず、 しばし押し問答が続いたが、話をしているうちになんとなく会話が見えてきた。
我々は3日前、バンガロールの予約窓口で「チェンナイまでのエアコン寝台のチケット2枚!」と言ってチケットを買った。
窓口のお姉さんは、「○×ルピー」と無愛想に答え、チケットを発券してくれた。
普通にチケットをくれたから勝手に席が取れた物だとばかり思ってたんだ、あたしは。
違ったの。なんと、キャンセル待ちのチケットだったんだ。
確かに、よ~く見ると席番号の横にWLの文字。
そっかー。Waiting Listだったのか。そんなの気づかないって!
確かに飛行機なんかのキャンセル待ちにはこういう記号書いてあるけど。
購入の時点でせめて「キャンセル待ちだけどいいの?」くらい聞いてくれればいいのに。
(ちなみにこういうトラブルが多発するのか、最近の地球の歩き方にはWLの意味も書いてあります。
この当時は書いてなかったので余計にパニックになったのです。)
とまあ、チケットが最初から取れてなかったことはよくわかったが、一体どうすればいいんだ?
いつまでもいつまでもバンガロールにいるわけにもいかないし、バスで移動するしかないかなぁ。
どうした物かと二人で立ちつくしていると、一部始終を見ていたおじさんが見るに見かねて間に入ってきた。
「君たちはマドラスに今日行きたいのか?それとも明日まで待つのか?」
「いやぁ、行けるものなら今日マドラスに向かいたいけど、でも席がないみたいだし。」
「エアコンがいいのか?それとも単なる座席の二等?寝台?」
「もちろん寝台に乗りたいけど、でも席はないんでしょ?なんでそんなこと聞くんですか?」
おじさん何を言ってるんだろう。さっぱり訳が分からない。
「とりあえず、こっち来なさい。」
そう言うと、おじさんは駅員風の人と交渉を始めた。
その駅員風の人は持っていたバインダーの紙をめくり、おじさんの質問に答える。
エアコンじゃない車両に空きがあるのか聞いてくれてるのかな?
振り返ったおじさんは念を押すように同じことを聞く。
「君たち、今日マドラスにいきたいんだね。寝台に乗りたいんだね」
「はあ、乗れる物なら、寝台にのりたいですけど」
「じゃあ、切符買うからお金!」
は?なぜお金がいるんだ?
事態はまだ飲み込めないのだが、おじさんのせっぱ詰まった様な勢いに押され、思わず言われた金額を渡すと、 今度はバンガロール駅の当日券売場の裏口のドアを開け、 中に入り、3分後、おじさんは一枚の切符を手にまたまた裏口から出て来た。
そして、我々を促すと今度は駅舎の外へ。三日前に行った前売り切符売場に向かった。
窓口に割り込み、係員とマラティー語?で何かを話しつつテキパキと用紙に記入をしていく。
「はい、ここにサインして。」
よーく見てみたら、今持っているキャンセル待ちチケットをキャンセルする手続きのようだ。
手数料を払ってキャンセル待ちをしたチケットをキャンセルするのに更にキャンセルチャージがかかる。
こんな足下見たようなシステムって国鉄だから出来るんだなぁ。妙に感心しちゃいましたよ。
そして、また駅に舞い戻り、先ほどの駅員風のおじさんに交渉をすると、こう言った。
「いいかい。列車に乗ったら、寝台車両の一番後ろで待ってなさい。そこで車掌が来たら 寝台に乗りたいと言うんだ。いいかい、一番後ろで待ってるんだよ。・・・と、後ろでいいんだよな?」
バインダーを持ったおじさんがうなずく。時計を見たらもう列車の発車時刻だ!
おじさんが尋常じゃないくらいに焦った雰囲気を放っていたので何となくつられて動いていたが、 やっと、ここまできておじさんの言っていた全ての意味が繋がり、同時におじさんがとても親切な人だったことに気づいた。
お礼もろくに言えないまま、列車に乗り込んだ。ありがとう!
(でもインド人の知人によると親切なのではなく客引きだということです。)
話を整理するとこうである。
乗り遅れたり、急にキャンセルする人がでたりで、当日に席が空くことがまれにある。
だからそれを期待してとにかく列車には乗れ!とそう言うことだった。
説明している時間がないし我々の英語も中学生レベルなので、やたらに「君たちはこの列車に乗りたいんだな?」という意志だけをやたらに確認していたのだ。
列車が発車すれば、車掌は乗車券の確認に列車を廻る。
その後、途中下車したり、キャンセルの席がでたら席を貰えと。
先ほど、おじさんが交渉していた駅員はこの列車の車掌だった。予約の状況を確認していたらしい。
とにかく席はないし、明日の列車を待つつもりもない。(自動的に翌日の同じ列車のWLに乗る仕組み。)
だから、普通の二等座席のチケットを買い直し、特急のチケット(WLだが)をキャンセル。
時間がなかったから、乗車券は裏口から入って多めにお金を払って切符を買い、オフィスでエアコン寝台のキャンセルをしてくれ、車掌に交渉してくれ、列車に乗り込ませてくれた。
なるほど。そういうことか。で、席が空いたら、改めて車掌に追加料金を払って席を貰うんですね。
言われたとおりに寝台車両の最後部に行くと、すでに二人先客がいて、そのうちの一人がこう言った。
「君たちはWaiting Listの何番目なんだ?」
きっとリストの番号が若い順に席をもらえるのでしょう。
ちなみにインドの国鉄、特に長距離列車は慢性的に混んでいるので、切符を買っていても乗り遅れたら他の人に席を回されます。
その代わり、乗り遅れてしまった切符もキャンセルできます。(戻ってくる金額は減りますが。)
結局、この日はキャンセルする人がいなかったため、席はもらえなかった。
一緒に待っていたインド人のおじさん達は慣れた物で、新聞と枕持参で、新聞を床にひいて寝てしまいました。
インド旅行を舐めていた我々は寝袋もなく、車掌用?か何かの折り畳み式の座席を交代で使った。
固い椅子やリュックに座ってのハードな列車の旅だったが、疲れていたのかいつの間にか爆睡しており、
気がついたら目の前にずらっと行列ができていて相当びびった。
だって、寝台車両の最後尾ってことは、つまり列車の連結部だから、トイレがあるんです。
みなさん朝のトイレタイムであった。
「ねえちゃん、よくあの状況で寝てられるね」
せめて男に生まれていれば、まだ視線が温かかったかもしれない。
マイソールから再びバンガロールに戻り、寝台列車でマドラスまで戻ることになっていた。
3日前にバンガロールの列車予約窓口で寝台列車の切符は買ってあったはずだった。
二等列車に揺られること4時間弱。バンガロールに到着すると夕食がてらに街をぶらぶらする。
駅近くでインドのファーストフード店を発見し、サモサなんて食べたりして、なかなかに満足。
腹も満たされたところで再びバンガロール中央駅に戻った。
列車はすでにホームに入っており、さらに車両を確認すべく列車の乗客名簿を見に行った。
インドでは、列車の発車時刻の数時間前から乗客の名簿が一斉にホームに張り出される。
列車の始発駅だと、ホームに入った列車の車両にべたりと貼ってあったり。
そもそも日本のように電光掲示板や放送による列車案内はないので、予約が確認できるのはく安心でもある。
ところで、今回は「たまにはエアコンクラスに乗ってみようか。」と思い立った。・・・思い起こせばそれが悪かった。
16両編成のチェンナイメイル(特急の名前)。16両のうち二等のエアコンクラス車両はわずか2両である。
簡単に見つかると思ったのに、乗客名簿のどこを見ても私の名前がない!!
「もしかして、ノンアエコンの車両と間違ってる?」
もちろん、そんなチケット買ってないんだから載っているわけがない。
「すみません。このチケットに書いてある車両はどの車両なの?」
列車に乗り込んでいた従業員らしき人に聞く。
「ああ、これはホームの真ん中のカウンターに行きな。」
は?どういうこと?意味が分からず今度は切符売り場のお姉さんに聞く。が、また答えは同じ。
「ホームのカウンターに行け。」
二人の駅員に言われたとおり、ホームの真ん中当たりにカウンターがあった。
そこで一人のおじさんが長~いロール紙をめくりめくり赤ペンでチェックを入れていた。
「すみません。あの、ここに行けと言われたんですけど・・・。」
おじさんは我々のチケットをひったくると、持っている紙をめくり始める。
何枚か下の紙から我々の名前の書かれた物がでてきた。そして、その名前の横に赤でチェックを入れてチケットを突っ返す。
・・・何?
「ちょっと今のどういうこと?何をチェックしたの?」
「今夜のマドラス行きの列車は満席。明日まで待つんだね。」
あっさりと言いますけど、おじさん!ちょっとまだ事態が飲み込めないんだけど。。。
インドのシステムを飲み込めていない私たちと、システムを知っているおじさんとでは全く会話にならず、 しばし押し問答が続いたが、話をしているうちになんとなく会話が見えてきた。
我々は3日前、バンガロールの予約窓口で「チェンナイまでのエアコン寝台のチケット2枚!」と言ってチケットを買った。
窓口のお姉さんは、「○×ルピー」と無愛想に答え、チケットを発券してくれた。
普通にチケットをくれたから勝手に席が取れた物だとばかり思ってたんだ、あたしは。
違ったの。なんと、キャンセル待ちのチケットだったんだ。
確かに、よ~く見ると席番号の横にWLの文字。
そっかー。Waiting Listだったのか。そんなの気づかないって!
確かに飛行機なんかのキャンセル待ちにはこういう記号書いてあるけど。
購入の時点でせめて「キャンセル待ちだけどいいの?」くらい聞いてくれればいいのに。
(ちなみにこういうトラブルが多発するのか、最近の地球の歩き方にはWLの意味も書いてあります。
この当時は書いてなかったので余計にパニックになったのです。)
とまあ、チケットが最初から取れてなかったことはよくわかったが、一体どうすればいいんだ?
いつまでもいつまでもバンガロールにいるわけにもいかないし、バスで移動するしかないかなぁ。
どうした物かと二人で立ちつくしていると、一部始終を見ていたおじさんが見るに見かねて間に入ってきた。
「君たちはマドラスに今日行きたいのか?それとも明日まで待つのか?」
「いやぁ、行けるものなら今日マドラスに向かいたいけど、でも席がないみたいだし。」
「エアコンがいいのか?それとも単なる座席の二等?寝台?」
「もちろん寝台に乗りたいけど、でも席はないんでしょ?なんでそんなこと聞くんですか?」
おじさん何を言ってるんだろう。さっぱり訳が分からない。
「とりあえず、こっち来なさい。」
そう言うと、おじさんは駅員風の人と交渉を始めた。
その駅員風の人は持っていたバインダーの紙をめくり、おじさんの質問に答える。
エアコンじゃない車両に空きがあるのか聞いてくれてるのかな?
振り返ったおじさんは念を押すように同じことを聞く。
「君たち、今日マドラスにいきたいんだね。寝台に乗りたいんだね」
「はあ、乗れる物なら、寝台にのりたいですけど」
「じゃあ、切符買うからお金!」
は?なぜお金がいるんだ?
事態はまだ飲み込めないのだが、おじさんのせっぱ詰まった様な勢いに押され、思わず言われた金額を渡すと、 今度はバンガロール駅の当日券売場の裏口のドアを開け、 中に入り、3分後、おじさんは一枚の切符を手にまたまた裏口から出て来た。
そして、我々を促すと今度は駅舎の外へ。三日前に行った前売り切符売場に向かった。
窓口に割り込み、係員とマラティー語?で何かを話しつつテキパキと用紙に記入をしていく。
「はい、ここにサインして。」
よーく見てみたら、今持っているキャンセル待ちチケットをキャンセルする手続きのようだ。
手数料を払ってキャンセル待ちをしたチケットをキャンセルするのに更にキャンセルチャージがかかる。
こんな足下見たようなシステムって国鉄だから出来るんだなぁ。妙に感心しちゃいましたよ。
そして、また駅に舞い戻り、先ほどの駅員風のおじさんに交渉をすると、こう言った。
「いいかい。列車に乗ったら、寝台車両の一番後ろで待ってなさい。そこで車掌が来たら 寝台に乗りたいと言うんだ。いいかい、一番後ろで待ってるんだよ。・・・と、後ろでいいんだよな?」
バインダーを持ったおじさんがうなずく。時計を見たらもう列車の発車時刻だ!
おじさんが尋常じゃないくらいに焦った雰囲気を放っていたので何となくつられて動いていたが、 やっと、ここまできておじさんの言っていた全ての意味が繋がり、同時におじさんがとても親切な人だったことに気づいた。
お礼もろくに言えないまま、列車に乗り込んだ。ありがとう!
(でもインド人の知人によると親切なのではなく客引きだということです。)
話を整理するとこうである。
乗り遅れたり、急にキャンセルする人がでたりで、当日に席が空くことがまれにある。
だからそれを期待してとにかく列車には乗れ!とそう言うことだった。
説明している時間がないし我々の英語も中学生レベルなので、やたらに「君たちはこの列車に乗りたいんだな?」という意志だけをやたらに確認していたのだ。
列車が発車すれば、車掌は乗車券の確認に列車を廻る。
その後、途中下車したり、キャンセルの席がでたら席を貰えと。
先ほど、おじさんが交渉していた駅員はこの列車の車掌だった。予約の状況を確認していたらしい。
とにかく席はないし、明日の列車を待つつもりもない。(自動的に翌日の同じ列車のWLに乗る仕組み。)
だから、普通の二等座席のチケットを買い直し、特急のチケット(WLだが)をキャンセル。
時間がなかったから、乗車券は裏口から入って多めにお金を払って切符を買い、オフィスでエアコン寝台のキャンセルをしてくれ、車掌に交渉してくれ、列車に乗り込ませてくれた。
なるほど。そういうことか。で、席が空いたら、改めて車掌に追加料金を払って席を貰うんですね。
言われたとおりに寝台車両の最後部に行くと、すでに二人先客がいて、そのうちの一人がこう言った。
「君たちはWaiting Listの何番目なんだ?」
きっとリストの番号が若い順に席をもらえるのでしょう。
ちなみにインドの国鉄、特に長距離列車は慢性的に混んでいるので、切符を買っていても乗り遅れたら他の人に席を回されます。
その代わり、乗り遅れてしまった切符もキャンセルできます。(戻ってくる金額は減りますが。)
結局、この日はキャンセルする人がいなかったため、席はもらえなかった。
一緒に待っていたインド人のおじさん達は慣れた物で、新聞と枕持参で、新聞を床にひいて寝てしまいました。
インド旅行を舐めていた我々は寝袋もなく、車掌用?か何かの折り畳み式の座席を交代で使った。
固い椅子やリュックに座ってのハードな列車の旅だったが、疲れていたのかいつの間にか爆睡しており、
気がついたら目の前にずらっと行列ができていて相当びびった。
だって、寝台車両の最後尾ってことは、つまり列車の連結部だから、トイレがあるんです。
みなさん朝のトイレタイムであった。
「ねえちゃん、よくあの状況で寝てられるね」
せめて男に生まれていれば、まだ視線が温かかったかもしれない。