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バンダ島で会った国際異色カップルの話。

バンダネイラの船着き場
【バンダネイラの船着き場には各島から着く舟を待つひとで一杯】
アイ島からバンダ島までの帰りの舟は行きと違ってすこぶる快適だった。
舟に弱い私は少しでも外の空気が吸えるように、屋根の上の席を陣取ったのは言うまでもない。
約1時間後、舟はバンダネイラの港に到着。船頭さんに挨拶し、ガマラマゲストハウスに向かった。

ゲストハウスへの道すがらバイクでぶぶーんと走っていたウチュに偶然再会。
「お帰り~。」「ただいま~。これからあなたの家に行くトコだよ。」と挨拶を交わす。

「今うちにアメリカ人が泊まってるんだよ。君のこと知ってるって!」
「はぁ?アメリカ人の知り合いなんていないけど?」
「でも彼らは知ってるってゆってた。君の帰りを待ってたんだよ。」

この旅の最中に会ったアメリカ人はアイ島でカメラを盗まれた老夫婦だけである。
その老夫婦は今まさに同じボートでアイ島から帰ってきたのだからガマラマに泊まっているハズがない。

「それからね飛行機も飛ぶことになったよ。船でも飛行機でも好きな方を選べるよ。」

え?え?飛行機飛ぶの?アイ島でも「バンダからどうやって帰るの?」「たぶん船。」「そうだよね、今飛行機運航ストップしてるもんね。」なんて会話をしていた。
飛行機の運行がストップしたのは周知の事実だったので、もう絶対に飛行機は飛ばないと思っていた。

ウチュの口から次々と意外な言葉が出てくるため、会った途端にぷちパニック。
「え?え?」と混乱している私をよそに「ともかくうちで待っててよ」と言い残し、彼はバイクで走り去った。

ガマラマゲストハウスのテラス
ガマラマゲストハウスのテラス
滞在中、テラスのダイニングで
朝食やお茶の時間を過ごした。
ガマラマゲストハウスに着くと奥さんがダイニングに出ており、
「ただいま~」と笑顔で再会の挨拶をした。
そしてそのダイニングテーブルでまさに朝食をとっているカップルがひと組。
「グッモーニン!」「ぐ、ぐっもーにん・・・」
これがさっきウチュが言ってたアメリカ人?だ、誰だよ?

「アイ島はどうだった?君らのことはアンボンで見かけてたんだよ。」

この男はまったく記憶の片隅にもないが、隣の女性に見覚えがある気がする。
アンボンってホテル周辺から出てないし、考えられるのはひとつだけ。
バンダからアンボンへの復路の航空券の処理を巡っての交渉が終えた後、
散歩に出ようとロビーに出てきてみると、ガイドのヤネスがまだいた。

ヤネスがひと組のカップルに「バンダ島へのフライトは明日。でももう満席。」と話している声が耳に入り、
「ほ~らやっぱり。事前に予約を頼んで正解!」と盗み聞いた会話の内容に気分を良くしていた。
だって航空券の料金を考えると払った手数料が安くなかったんだもん。

その時、目の端に入ったのがセミロングの黒髪をした女性。顔立ちからして明らかにインドネシア人。
「インドネシアの人もバンダ島に旅行に行くんだなぁ。」なんて思ったので、彼女のことを憶えていたのだ。
たぶん彼らはその時のカップルだ。
逆に彼らはヤネスとの会話で引き合いに出されるから我々を憶えていたのだろう。
昨日はアンボンからバンダ島へチレマイ号が来たはず。飛行機が満席だったから船を待ってここまで来たのだ。

「ところで今日はどう過ごすの?どこかにシュノーケリングに行く?」

は?朝もはよから舟に揺られてようやくバンダについたのに、また舟に揺られるなんていやですわよ。

「いや、今日はこの辺りをうろうろする。」
「この辺りをシュノーケリングするのかい?」

ここで「アメリカ人が君たちを待っている」という言葉の真意を理解した。ボートをシェアしたいのか。
自分がシュノーケリングしたいから、こちらの言葉の端々をすくってシュノーケリングに繋げようとする。

「いや、今日は休憩の日。あとはジャランジャラン!」
「じゃらん。じゃらん???」

意味がわからずぽっかーんと口を開ける男にすかさず「村を散歩するんだって」とフォローを入れた女性。
やっぱり彼女はインドネシア人だった。この時は国際結婚カップルかなと思っていた。

その後、家に戻ったウチュから事情を聞くと、この日は他の宿の客もシュノーケリングに出る人がおらず、
ボートをシェアする人がいなかったのだそうだ。
だから「今日はアイ島に行ってる日本人がうちに戻ってくるよ」なんてゆってたんだろう。
すいませんねぇ、期待に添えなくて。

折しもこの日はぴっかぴかの晴天。シュノーケリング日和である。
結局、彼らは自分たちだけでボートをチャーターし、シュノーケリングに出て行ったようだ。


ところで、最初は彼らをカップルと思っていた私だが、徐々にその様子が変なことに感づき始めた。
テラスでお茶を飲みながらまったりしていると、シュノーケリングから帰った彼らが外に出て行った。

「はろ~。今度は私たちがじゃらんじゃらんしてくるわ」

彼女はいかにも都会に住んでいる今時の若い女性っていう雰囲気で、会話にもユーモアがある。
対する男性は口べたでちょっとオタクっぽい。こちらから話しかければ話すけど会話が全く続かない。
今までに旅先で会ったアメリカ人は明るく愛想のよい人が多かったので、タイプが違うなぁ。
勿論、アメリカ人にもいろんな人がいるはずだけど、なんかイメージと違いすぎる。

そして、このふたり。一緒にいる割になんだか仲がよくないのだ。
まず、たばこは部屋で吸わせてもらえないようで、形見が狭そうにプッカーとテラスに出て蛍族。
まあこれはそう言うカップルもいるだろうとは思うので、最初は気にも留めてなかった。

ある日、屋台でブンクス(テイクアウト)してきた料理をテラスで広げて楽しんでいた。
油紙に包まれた料理を広げ、バシャバシャと写真を撮ったり、味の批評をしたりしていると、
男が一人で部屋から出てきた。
テラスの奥の我々からは死角まで行き、15分ほどでたばこを済ませ部屋に戻っていった。

そして、一時間ほどたったところで、なんとテラスの奥から彼女がケータイ片手に出てきたのである。
つまり先ほど男が部屋から出てきたのはたばこのためではなく、いつまでたっても部屋に戻らず
電話をしている彼女の様子を見に行っていたらしい。

そう言えば外でも一人でうろうろしている男を見かけたこともあった。
ボート代の支払いのためにデルフィカで親父を待っていると、男が親父と一緒にやってきた。
この日は彼らはアイ島に行っていたので、彼もボート代を支払うためにここにやってきたのだろう。
精算を済ませてすぐに立ち去るかと思ったのにふたりの話は終わらず、次を待つ私もさらに待たされる。
そのうち道を指差しながら説明を始めたので、どうもどこかへの道案内を請うているらしい。

デルフィカの親父は英語がぺらぺらなのでアメリカ人との会話などたやすいはずなのだが、
とにかく男は容量をえず、親父の言葉をなかなか理解しない。
業を煮やした親父は、男を連れてどこかへ行ってしまった。(おいおい。こっちは親父を30分待ったのに。)

と、とにかくなんだかこのカップルは、一緒に旅行している割に一緒にいないのである。
インドネシア人の彼女が間に入れば何もかもスムーズに行くのに・・・なんだか変なカップルだ。

でもその違和感は私が勝手にカップルだと思っているからだということに後で気づいた。
カップルではなくて金で雇われた関係だと考えると全てがしっくりいく。

インドネシア人と一緒にいて「じゃらんじゃらん」を知らないの不思議だった。
いかにも都会慣れしている若い女性に、もっさりした感じの外国人男性という不思議な組み合わせ。
一緒にいる時もカップルのラブラブ感どころか、友達としての親しさも感じない微妙な距離感がある上に、
金の払いが絡むところは男が一人で奮闘している。

勝手に想像するに、男はアメリカから一人でふらりとインドネシアにやってきた。
ジャカルタのジャランジャクサ辺りで交渉が成立し、通訳等("等"です。)を兼ねて連れてきたのだろう。
「私も一緒につれてってぇん。」とか言われて。(そういう交渉したことないので、わかりませんけど。)

彼女はいかにもバリの土産物屋で買ったと思われる「BALI」というロゴ入りのバッグを持っていた。
ジャカルタからバリ、スラウェシ、アンボン、バンダ・・・と順番にインドネシア各地を回ってきた感じ?
部屋で一緒に過ごさず携帯をかけまくっていたのも「つっまんない男なのよ。」とか
「テレビもなくて退屈で~」とか友達と長電話してたんじゃないかなぁ。

東南アジアに行くと、外国人男性+現地の女性という組み合わせで旅しているのをよく見かける。
田舎に行くと英語が全く通じないのもあり、通訳も兼ねて女性を連れ歩く男性が結構いるのだが、
インドネシアでは逆パターン:外国人女性(日本人含む)とインドネシア人男性という組み合わせの方が多かった。
だから、単純に「インドネシアでも男性が女性を雇うパターンもあったのか」と変に関心してしまった。

旅人の数だけ旅があるのですね。(どんなオチだ。)

インドネシア バンダ島に行きたくなったら・・・物価の目安にどうぞ。

旅行時期:2010.12月~2011年1月
100インドネシアルピア=約1円
■舟:アイ島-バンダ島 20,000ルピア/人
■宿泊:ガマラマゲストハウス 150,000ルピア(エアコン付 1室)

■成田-ジャカルタ航空券 直行便で58,000円~。(参考:海外格安航空券の検索・予約 YAZIKITA)
 ジャカルタ-アンボン航空券 片道9,000円~30,000円(予約クラスによる。)
 アンボン-バンダ航空券 片道 250,000ルピア+諸税70,000ルピア=282,000ルピア

 アンボンは国際空港なのに外国からの直行便がないと現地人が嘆いていました。
 2011年1月現在、駐機場を一生懸命増やしているので将来的にシンガポールあたりから来るかも?
 ジャカルタ、マカッサルなどを経由してアンボンまで来ることになります。
 ガルーダインドネシア航空の他、ライオンエアなどの格安航空会社の便もあるが時間が悪いです。

私はエイビーロードで金額をざっくり把握、アタリをを付け、個別の代理店に問い合わせます。

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