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第6話 壮大な墓。タージマハールと寝台列車の話。 [アグラ]

sozai_11041.jpg アグラは世界的に有名なタージマハールがある町である。
タージマハールは、ムガル皇帝シャージャハーンが愛する妻のために建てた巨大な大理石の墓
しかし、ムムターズ・マハルも「私が死んだら、世界一の墓を作って!」なんてわがまますぎ!

ここを「ロマンチック」という人がいるのにビックリ。このために苦しんだ人が大勢いるだろうと思うとちょっとげんなりする。
とはいえそもそもこれを見ようと思ってインドに来たんだった。

ところで、今日のパプーは我が儘放題であった。

彼のガイドは今日で最後。この日の晩にツンドラ駅を発つ寝台列車に乗って、バナラスィーに向かう事になっている。
アグラを発つのは今日の夜なのである。

タージマハール 「今日の午前中はタージマハールなどを観光。午後はこのホテルに戻って昼寝をしろ。」
「インド人は貧しいから寝たらあっという間に荷物は盗まれる。
 だから昼間のうちに寝ておいて夜は交代で起きていなさい。」


一見すごく我々を気遣っているかのように思える台詞だが、ぜーーんぜんそうじゃない。
我々のガイドを夕方までやっていると、自分がデリーに向かうのは真夜中。
インドの道はまっすぐで何もなくてまーっくらなので、夜運転するのはかなり疲れる。
だから、午後の早いうちにアグラから去りたいんだと。

あんたが帰るのは勝手だが、昼寝のためにホテルをとるくらいならもっとアグラを見たい。
よくよく考えたらインドに来てからというもの、ろくに自分の足で歩いていなかった。

でも、言いたいことを英語で上手くいえなくて、そうこうしてるうちにタージマハルへついてしまった。しかも、見学はなんと時間制限付き。
「今から1時間で戻ってこい」って、一体なんなんだよ~。

しかも、車が止まった場所はタージマハールまで1㎞くらい離れていて、乗せられたサイクルリキシャのリキシャーワーラーは降りるときに倍の値段を言い放つ。(←簡単にインドの騙しに引っかかる旅初心者。)
「ふざけんな~!」と言いかけたところで、あっという間に怪しげな物売りに囲まれてしまった。
・・・怖くなってはらってしまったよ。ちくしょ~。

なんだかんだいって、タージマハールは建物的には綺麗だった。
こんな墓を建てちゃうなんて酔狂な君主だけど、そのおかげでこうやって遠くから鑑賞に来てしまうんだから。
左右対称のシンメトリーが美しい建物もすごいが、綺麗に手入れをされた庭園も見事。
でも、パプーの言う1時間では物足りない。せっかくだから庭園に腰を下ろして目に焼き付けておきたかった。

今思い返すと、律儀に時間を守る必用もなかったんだけどね。こっちはチャーター車を雇った側なのだから。
そして、列車は夜行なんだし。運転手のわがままに素直に従うのもおかしな話です。

アグラフォート 次に行ったところはレッドフォート。アグラのフォート城だ。
ここも時間制限付をつけられる。45分。そして、やっぱり律儀に守ってしまった素直な日本人。

一応ゆっくりと回ってみると城の奥の城下を見渡せるポイントでは、ヤムナー川の向こうにタージマハールが見えた。
さっきゆっくりできなかったぶん、ここでみとくかな。

とまあ、パプーの陰謀で主たる観光はこれでおわりなんだけど、このあと大理石工場にはしっかり連れて行かれた。
時間制限しといて、これだよ。

こっちもこういうのはすっかり慣れて、コーラをもらうだけもらって、「急ぐから」といってすぐに店を出た。
大理石のコースターだの小物入れだのっていらんし。ミニミニタージマハールは、10万円ぐらいしたよ。誰が買うんだ?そんなもの。
そして、宿に戻って今日の観光は終了というわけ。

文句を言いたいところだがボキャブラリーが貧困でそれもままならない。
それに、たぶんこの時点では、まだインドが怖いっていう気持ちがぬぐいきれてなかったんだと思う。
きっと「泥棒がでるよ」って言われて怖じ気づいたのだ。

観光が終わりパプーとお別れになったのはすっきりしたけども。やっと二人になって気楽になった。

夜になり、パプーが手配したタクシーに乗り駅まで向かったが、お金は払ったはずなのにちゃっかり請求してくる運転手。
「ちゃんと貰ってるでしょ?」と拒否するとちっと舌打ち。
運良く貰えたらラッキーってか?初めてのインドに来た観光客って格好のカモなんだろな~。

アグラ郊外のツンドラ駅から寝台列車でバラナシへ。

ホテルからタクシーでアグラ郊外にあるツンドラ駅へ。駅に着き、ほんの数十分で、辺りはあっという間に暗くなった。

インドの駅は、はっきり言って怖い。
日本の駅が明るすぎるのかもしれないが、それにしても電灯が申し訳程度にしか点いておらず、駅構内がものすごく薄暗い。
それでいてこれは人々の肌も褐色の人が多いので、近寄らないと表情が読めなくてますます怖い。(←失礼だ。)
「うーん、しばらくおとなしくしていよう...」と思った矢先に、お腹がぐぅぅぅ。
そういやぁ、今日は水以外何も口にしていないや。

今思えば、パプーといた三日間はレストランにも食堂にも1度も入らなかった。晩ご飯以外食べてなかったのである。
向こうは如何に土産物を買わせようかと必死だったに違いないし、こっちもほとんど自分で歩かないからお腹がすかなかった。
ホームの売店にはビスケットの様な簡単なモノしかないのだが、改札口がないから自由に物売りが出入りできるようで、
ちょこちょこと屋台が店を出していた。
せっせと調理しているお父さん。売り子は主に息子のようだ。

「これは何?」「すごく美味しいよ。」

まるでかみ合わない会話が何度も繰り返され、めんどくさいのでそれを買ってしまう。
葉っぱのお皿に入れられたのはジャガイモをお団子にして揚げたものにビーンズ入りのチリソースをかけたものだった。
すごくうまいが、すごく辛い。丸ごとの唐辛子がごろごろ。終いには唐辛子を噛まずに飲み込むしかなくなった。
空きっ腹にはヘビーだったかも。胃が唐辛子でチリチリしそう。

即座にインド風の甘いミルクティー:チャーイを買い求めたが、インドのチャイがとっても甘くて助かった~。

数十分後、我々の乗る電車がホームに滑り込んできた。
レディースオンリー車両と聞いていたので、ひたすらその表示を探したが、いくら探してもそのような車両は見あたらない。
車掌に聞こうと車両最後部へ行ってみたらそこはファーストクラスの個室だったらしく、乗っていたおっさんにえらい剣幕で怒られた。

「ええっと、A1クラスはどこ?」
「ここはファーストクラスだ。A1は1~10号車のどこかだ(そりゃそうだ)。でてけ!」
結局、A1クラスは一番前で、大荷物を背負ったまま猛ダッシュである。

後で知ったが、A1クラスというのはエアコンクラスの1車両目だった。
支払ったツアー代金が高くなかったし、エアコン車ではないだろうと思いこんでいた。

インドの列車は一等、エアコン、寝台、二等と各クラスごとに車両が別れている上に、内部で行き来できません。
途中乗車するときは自分の乗る車両の乗車位置を事前に聞いておかないと大変なことになる。
最近では、電光掲示板でおおよその止まる位置を示してあったりしますが。

何はともあれ、無事に乗れてよかった。