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第3話 なぜか成り行きチャーター車で観光ツアー [デリー]

インド到着の初日の朝はホテルのフロントからの電話で目が覚めた。

「Good Morning!! 朝食はどうしますか?」

昨夜、ホテルに着いたときは真夜中だったため、すでに部屋はほとんど埋まっており、安ホテルとはいえ「スイートルーム」に泊まることに。
加えて、相場のよくわからない私らは、かなり多めにチップをあげてしまった。
今思えばあのチップは、ボーイよりむしろバスの運ちゃんにあげたかったくらいだ。

・・・またチップ目当てで部屋まであがってくるつもりか?

「すぐチェックアウトするからいらない。」
「え?そうなの? これからどこに行くつもり?」
「駅」 ←単語で会話するヤツ
「それなら、ホテルで駅まで無料送迎バスがあるから乗っていきなさい。」

昨日のチップ騒ぎは騙されたと思っていた。
駅まで送ってもらったら、また「チップをくれ」とか、「送迎代$50ドル!」とか言われるんじゃないか?
無料という言葉に騙されたりしないのだ。タダより高いモノはない!

「いい。歩いていくから。」

荷物をまとめてフロントへ降りると、フロントには数人の従業員が我々を待ちかまえていた。

「本当に歩くつもりか?ここからニューデリー駅までは歩くと30分以上かかるぞ。」
「いいよ、歩くから」
「本当に無料なんだから乗っていけ!」
「本当に無料なの?」
「俺を信じろ!」


・・・なんか根負けした。バスって言うよりおんぼろのバンだったけど、乗せてもらっちゃった。

運転手は若いお兄ちゃんで、自称大学生。年や専攻やら、気さくに話しかけてくる。

「行き先はニューデリー駅?っていうことは電車に乗るんだよね。
だったら、政府観光局につれていってあげるよ。そこで、切符もなにもかもとってくれるよ。」


いやいやいや、インドではあまり人の手を借りない方がよいと思うのだ。
そもそも運転しているのは我々じゃなく兄ちゃんだし、こっちはデリーの地理に疎い。変なところにつれていかれてもわからないもん。

「いいよ、駅で。自分たちでやるから。」

バスを運転しつつ、説得にかかる兄ちゃん。
さんざんと拒否したのに、結局、コンノートプレイスの裏手にある、とある旅行会社の前につけられた。
駅に行きたいのだけど、地理がわからない我々は自分で行きようがないのである。

連れて行かれた旅行者は、ガイドブックに載っている悪名高い旅行会社ではなさそうだが、ついた途端に
「Hi!どうぞ、どうぞ。入ってください。」と、やたら愛想のいいひげもじゃインド人が近寄ってくる。

この妙に馴れ馴れしいひげの態度を見る限り、怪しさ100倍!

「ガイドブックに載っているこの写真のところはだめだ。行っちゃいけないよ。ここは大丈夫、政府のツーリストオフィスだからだ。 その証拠に「i」のマークが入っているだろ?」

(※ 本当は政府のツーリストオフィスではなく、旅行者を信用させるためにこのような表示を出している。このときはここのオフィスは良心的でした。が、2年後くらいに問題になっていたので、調子に乗りすぎたのでしょう。)

ふと気がつくと、ここまでつれてきてくれた車もろとも兄ちゃんはいなくなっていた。
今思えばホテルが旅行代理店と手を組んで客引きをしていたわけだが、そのときはまだ気づいてなかった。

このツーリスト「K.FRIEND'S TRAVEL SERVICE」で接客してくれたのは我々の間での通称はボス。びげもじゃのムスリムだ。

「インドには、何日いるんだ?なにぃ、たった1週間?? こんな広い国なのに1週間じゃどこにも行けないじゃないか!」

「とりあえずタージマハールが見たいの。あとは適当にデリーでもジャイプールでも観光するつもり。
アグラまでの列車のチケットを手配してくれるって聞いたんだけど。」


「デリーは物価が高い。それにインドに来る観光客はみーんなアグラに行くんだ。
 デリーもアグラもジャイプールも人がいっぱいでホテルも高くていいことなんてないよ。1日ずつ見れば十分だと思うね。」


「それよりインドにきたらガンガーを見なきゃいかーん!カルチャーショックを受けてきなさい。バナラスィーは物価も安いしガンガーが流れている。バナラスィーに行け。」

結局、ボスの気合いの営業に負けてしまい、言うがままデリー→ジャイプール→アグラ→バナラスィー→デリーのルートでインドの旅をすることになってしまった。初インドの定番ルートである。
今思えばまともな旅行代理店だったし、割と値段も手頃だったので結果オーライでしたけど、
ガイドブックに載っている手口と全く同じことになっているのに、気づいたのはだいぶん後になってからでした。

旅行会社に着いたのが午前10時頃、出発したのは午後1時頃。

お茶をごちそうになりつつ3時間もの間説得されてた。・・・考えてみるとお互いヒマですね。


観光ツアーでデリーを出発

ガンジーさん達の像 3時間かけて契約したチャーター車ツアー出発。ボスの用意したインドのTATAというメーカーの車に乗り込んだ。新車だったのはラッキー。
でかくて大作りな車でよく見ると"Tourist Taxi"の文字が。どうやらこの手の車は外国人観光客用のものらしい。

当初、ジャイプールへは電車で向かう筈だったのだが、車で行くことになってしまった。すっかり策略にハマっていた。それでTATA。運転手付きの車をチャーターという、なかなか贅沢なプランである。

ところで・・・インドの観光タクシーってなんぞや?

契約料金は、$.120us/人。[1997年2月当時]
この料金には、デリー、ジャイプール、アグラ間のノンエアコンTATA車の料金、ジャイプール、アグラのガイド料(英語)。
アグラ、バラナシ、デリー間の寝台特急のエアコンクラス2Tier2等車の電車料金、サービス料金が含まれている。

ホテルや食事は客によって要望が異なるため含まれない。運転手に頼んで希望クラスのホテルやレストランに連れて行ってもらう。
このようなツアーを使うと初心者にありがちなぼったくりにあう心配は少なくなる
※勿論良心的な旅行代理店を選ぶことが重要ですが。

一応、表向きはガイドが観光客目当ての悪い奴らを避けるように細心の注意を払ってくれるので、
騙されながら身体で憶えていくようなことをあまり経験しないで済む。
アグラやジャイプールなどはインドでも特に観光客が多くトラブルが多発するので、お金を払って人の手を借りるのも有りかなと思う。

そして、ツアー料金が格安であるため、当然取り引きしている土産物屋などに連れていかれるが、
そこそこの品質で、良心的な値段のお店に連れて行ってくれることが多い。
政府の土産物屋のように定価販売とはいかないが、とてつもなく法外な値段をふっかけられたりはあまりないと思う。
勿論、時間があれば自分の足で安くていい物を探し歩ければ一番ですが。

ツアーを組む時、買い物目的にするなら町の滞在時間が長くなるように、観光を目的にするのなら、
行きたい場所を効率よく回れるように事前にきちんと交渉するのがポイント。
また、自分の意志をしっかり伝えても、向こうの営利を押し通される時もあるので、
そこで妥協せず、「だったらあなたには頼まないわ」という毅然とした態度ができるといいですね。

    【メリットとデメリット】
  • 日本で申し込む観光ツアーなどに比べたらかなり格安に済む。 回る場所はほとんど同じ。ただし、日本語ガイドは英語ガイドより高い。
  • 自分で動かないでもいいので楽。
  • 町を歩かないので町の雰囲気を味わえない。
  • 買い物に全く興味がない人はめんどくさい。
  • 運転手と四六時中一緒にいなければならないので、合わないタイプの人に当たった場合はちーーっとも楽しくないこと。(大当たりの時は楽しいので、はっきり言ってばくち) 運転手は男。特に日本人の女の子だけの旅行の場合、いろいろな意味で要注意。
時間がどれだけあるかによるが、各都市間の移動は自分で切符をとって移動し、買い物したい街や広くて廻るのが大変な街にに来たときだけその都市のツーリストタクシーをチャーターするのが一番よいかも。
そうすればセカンドクラスのインドの電車も、バスでの移動でも自由自在に楽しめるし。
さて、話は戻って、パプーという親父が、アグラまでの運転手兼ガイドをつとめた。

この日は、デリーからジャイプールへ向かった。向かっただけで一日終わってしまった。
午後1時に出発し、ツアーの支払いのために両替したり、アグラ以降の列車チケットが届くのを待ったり、とにかく相当時間がかかった。
その上、100キロ以上の車の旅だ。空いてるけど、日本ほど道路事情は良くないしさ(※今は、道路がよくなってます)。

一面のマスタード畑 でもただのドライブだというのに、そこは初めてのインド。車窓からかいま見るインドをすっかり楽しみました。
まず、一歩デリーを離れるとあっという間に高い建物が消えた。
ラクダ車(牛車じゃないところがインド風)、山羊の群、水浴びをしている人々、そして一面のマスタード畑、休息をとっているジプシー。頭の中の想像でしかなかったインドの世界が目に入る。
「水浴びが珍しい?」と思うだろうけど、単純に考えて「風呂じゃないんだ」って思いますもん。

道路沿いに電線が張り巡っているし、向こうの民家にぼやーっと明かりが見えるところを見ると、少なくとも電気は来てるってことか。
やっぱり、デリー、ジャイプールという大都市を結ぶ道路沿いだからまだ都会なんだろう。でも、風呂はないんだな。
そうやって、車窓に流れる生活を切り取り、想像をふくらませる。今思えば、インドって文化と生活環境の違いがわかりやすいのかもしれません。

すれ違う車を見ているのも興味深かった。トラックの荷台にこぼれんばかりに人が乗ってたりするし。
日本じゃ捕まるけど、こっちじゃ安全より生活が優先なんだろな~。

rakuda.jpg トラックの後部はでっかく

「フォーン、プリーズ。」


抜かすときには、「ぬいてくぜ!!」って合図にフォンをぷあーと一発。
ちょっとでも車が詰まると、周りから一斉にクラクションの嵐。
日本でやったら、「なんだと、このやろ~」って逆に怒鳴られそう。

そんなこんなで楽しみながら、ジャイプールについたときはとっぷり日が暮れていた。
すぐにホテルに行くのかなぁと思ってたら、宝石工場に連れてかれる。勿論買わない。

「日本で買ったらこれの10倍くらいの値段するだろう?なぜ買わないんだ?」

宝石の価値がわかる年齢になったらお願いします。m(_ _)m

そしてその後、いろいろ(!?)あって、今日は就寝。パプー、恐るべし。