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2011年新聞・テレビ消滅 佐々木俊尚


近年のテレビや新聞の後退ぶりをみて「だめだなぁ」と思っていても理由がわからない。
その疑問をなるほど!と理解できる。アメリカとの対比がまたわかりやすい。旅先でも比べてみよう。

この本のレビュー

旅の本とは直接関係ないんだけど、思わず感想を書きたくなりました。だから☆は一つ減らす。
今までいろんな情報から例えば「これからは企業もテレビCMを減らしてネットにシフトする」とか
バブルの時のような予算がないからお金をかけずにテレビを創らなければならないとか、
若者は新聞を読まないとか、いろんな噂を聞いていました。

確かに新聞を読んでいると熱心に意見を投稿しているのは60代、70代が多く、
若い世代が働き盛りで忙しいとはいえそれだけとも思えない。
それだけの直感でも読者層が高年齢になってそうだなぁとも思っていた。
そもそも我が家でも新聞は父の読むモノで、子供たちが目を通すことなどなかった。
だからそのまま読まない習慣だったんです。3兄弟みんな。

今になって震災後に多少は読むようになったけど、でも肝心の知りたいニュースはあまりなく、
朝日は相変わらず震災関連が中心で、国際ニュースは判で押したよう。
ネットで入れられる情報は速報的に短い場合もありますが、さほど変わらない。
で、実家で読売を見てみたら、トップニュースが全然違うんですよ。これには驚いたモノだ。
でも全体の大きな流れはやっぱり同じ。まあ記者の書き方が多少は違うのでしょうが。
そのあたりは記者クラブ制度のせいでしょうね。やっぱし。

今、朝日をデジタルにしようか検討はしているのですが、新聞を超えられるかどうかは疑問で、
そのことについても著者がわかりやすく、アメリカの例などを使って解説してくれています。
あのニューヨークタイムズなども新聞はもう大変な状況だということだ。

そもそも新聞はそれなりにお勉強ができる上に文章をまとめる力がある人が書いていると思うのです。
だから記事が難しすぎたり、大昔にあった事件のことを詳しく知っていないと訳のわからない内容だったり、そういうのがあって若者が入りにくかったんです。
最たるものが戦争に関するモノです。だってうちらの年代って近代史をあんまり学校で習ってないよ。

新聞もバブルをはじけた後の新卒採用を絞ったことがあり、世代の空白ができたそうです。
だから我々世代の記者ががっぽりと抜けているんだそうで、だからそういうのが抜け落ちる。
無意識のうちに記事が常に上の世代にあった内容になってしまっているということも、
新聞の読者層の高年齢化につながっているというのがなるほどと言う感じだ。

話題の勝間和代の本にこんな話題がありました。

「例えば派遣切りが問題になったとき、あの法律は団塊の世代の雇用を守るために作った」と
生放送の番組で自民党の石原幹事長が堂々と言い放ったそうです。
その席に同席していた勝間和代はとても驚いたと言いますが、回りは無反応で、
その上、その発言は新聞でもテレビでも全く取り上げられなかったそうです。
「若者は切り捨ててもまずは上の世代を守る」という政策を政府は決めたということだ。

勝間氏曰く、「政治家は無意識で悪気がないんですよ。若い人がいないし、女性も少ないから どうしても自分の回りの意見や立場の方が理解できてしまうからそうなる。」とかそんな感じのことをゆっていましたが。「だから女性議員、若手議員をもっとふやさないとだめなんです。」と。

で、このせりふをふと思い出して、性善説で考えると、取り上げなかったメディアにも悪気はないと。
だって、若者いないんだもの。新聞社に。ってことになりそうだなぁって。
まあ、私はそれほど性善説にたたないので、「わざと無視しただろう」と思ってしまいますが。
この本に出てくるとある新聞社の人は「新聞は国民に知るべきニュースを教えてあげているんだ!」と言います。
うがったみかたでいうと、国民一人一人は情報を整理する能力はないのだから、
ネットで情報を集めるなんてどだい無理な話だとバカにしているんです。
ああ、こんな上から物を言う立場で作っていたら、そりゃ新聞から読者離れるわ。
だって、教えてやるっていうけど、あらゆる年代が理解できるようにはなってないんだもの。

またテレビのことについては新聞以上にだめになってきたなぁと思っていましたが、
その中身がよーーく、ほんとによーーくわかりました。
もう地デジ化してNHKの解約も進んでいるし、フジテレビなんて韓流で大騒ぎされてますが、
それ以前の問題で、テレビ業界は体質を抜本的に変えないと無理だと思います。

例えば、この本にも例に出されていますが、あるある大事件の例の話。
スポンサーが払ったスポンサー料は1億円なのに、電通、テレビ局、制作会社を経由して、
本当に番組を作っていた制作会社には800万円しか支払われてなかったというあの話。
一般的なビジネス感覚だとおかしすぎるでしょう。

昔、たまたまつけたナイナイの番組で「このセットは1000万円もかかってるんですよ!」とか岡村氏がゆっていて、「うわー、スポンサーはあんなくだらないセットに1000万も払うのか」と思ったんだけど、スポンサーが払っていた額は1000万円どころじゃなかったんですね。
まさかそこまで間の搾取があるとは若い私にはわかりませんでしたわ。

私も昔、仕事でお金をかけずに泥臭い広報をやっていたことがあったのですが、
地道な努力が少しずつ少しずつ成果を出してきたのを経営者が見ていて、
組織全体の広報を担っていた部署に「うちの今年の予算であいつらの活動をPRしてみろ」という話になったのです。

でやってきたのがとある広告会社だったのですが、その企画書に驚いた。
例えばWBSのワンコーナーで活動が紹介されたら300万円。とか、
東洋経済に見開きページをとってきたら500万円とか、そういう感じなんですよ。

効果があるかどうかもわからないのにそんな大金を要求するのか?とびっくりした。
しかもそのPR媒体が我々でも多少は食い込めるものばかりです。(取り上げられるかどうかは別として。)
東洋経済なんて広告特集でよくのせてたんでコネクションだってあったんです。

「ビジネスマン向けの広報は我々が地道にやってきたことで多少広がりつつあるんです。
 そうではなく、もっと大衆に知ってもらいたい。そういう知恵はないのでしょうか?」

と問えば「この内容では主婦向けのニュースでは無理ですね」とかぴしゃりと言い切る。
あなた達に大金払う意味っていったいなんなんですか?と言いたかったです。


近頃、CMで「詳しくはWEBで」と引っ張るのはどうもスポンサーが効果測定を言い出したからのようで、
そんなもので効果測定ができるとははなはだ思えないのですが、
さらに震災があって広告が減って、島田伸介が引退して芸能界も混沌として、
苦肉の策で安いコンテンツ料の外国ドラマを引っ張ってきて・・・ともうめちゃくちゃです。

間の搾取をやめればすっきりすると思うんですけど、やらないと思うし、
もうそれこそどんどんテレビから視聴者が離れて終わりなんだろなぁと。

フジテレビの問題は偏向報道云々というよりも、根本的な業界の不振にあるのだと思う。
それでいてテレビに出演して報酬を得ているタレントが「イヤなら見なければいい」といいきるのは驚きです。君らの仕事場はどんどんなくなってくるだろうに。

この前の民主党の代表選挙もニコニコ動画がずっと中継して話題になっていたし、
地デジ化でテレビをやめた人も多いし、テレビも新聞もこのままのやり方だと
ビジネスにならないというとんでもない時代になってきたようです。

この前でたほりえもんの本などもテレビの裏側を暴露しているのであわせてよむと
なるほどなど思うところがたくさんあります。

個人的にはいまテレビで楽しみに待っている番組は一つもないです。
ケンミンショーくらいだけど、ビデオに撮ってまではみません。家にいればみる。その程度です。

テレビがマスメディアという時代は終わったな~と実感しました。面白かったです。

←ほりえもんの本はこれ。

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