わが祖国、中国の悲惨な真実 陳恵運
上海出身で日本在住の後日本に帰化した中国人による著書。
特に1990年代以降の腐敗のひどさなどを憂えた内容が濃い。
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この本のレビュー
中国の上海出身の著者による中国の「負」の部分に焦点が置かれた本。中国共産党や地方政府、警察、企業などの腐敗についての記述が特に多く、
これだけを読むと、中国はものすごく悪の巣窟だと思えてくるくらい。
ただ著者はただ祖国を悪くいいたいだけではなくて、「どうか目を覚ましてくれ!」という
切なる願いを秘めているのが伝わってきます。
ここまでひどくないけど日本でも思い当たることもありますし。
この本を読む限り、特に中国の腐敗が顕著になってきたのは1990年代以降のようです。
現在の政権は腐敗を無くそうとやっきにはなっているけども、
地方政府も役人もまったく中央の言うことを聞かないで好き勝手やるし、
法を定めても法を守らないから意味がないとも。
この前、日本人の中国ウォッチャーが書いた本は「中国は遅かれ少なかれ分裂するのでは?」 という主題で書かれていましたが、ああ、それはこういうことだったのかなぁと思いました。
長く政治の混乱が続く日本でも地方自治体の長は国に意見をいうことはあっても、
無視して勝手なことをやったりはしません。
もちろん、予算を中央が握っているのでできないっていうこともあるかもだけど、
中国はそれ以前に賄賂とか密輸とかいろんな財源がありそうだなぁと想像したりもした。
驚いたのは、著者の背景にまつわる中国での位置づけです。
著者の親戚に国民党に関わっていた人がいたというだけで
中国では不遇の扱いをされていたそうです。
そして、日本に来てみたら国民党が立ち上がって日本と戦ったことを知ったそうで、
まあ共産党が国民党を悪者扱いすることはあるとしっていたけども、
親戚の中にちょっと関わった人がいるだけで、出世できなかったりとか、
そういう社会なのにはちょっと驚きました。だって本人全く関係ないのに。
現在の中国では自分がどの家に生まれるかで人生が大きく変わってしまうようです。
著者の親戚は上海の繁華街に住んでいたために不等な立ち退きをさせられたりもしています。
ただ、若干、言葉が少ないところもあり、もうちょっと詳しく書いてくれるとより面白かったと思う。
例えば、著者の子供が文房具屋さんでファイルを手にとって見た時に、
「おまえが見る物じゃない」と怒られたそうです。
息子は中国と日本の違いを知らなかったので怖がったとありますが、
??その中国と日本の違いを説明してくれるとわかりやすいのだが・・・。
買わない商品を触ってはだめっていうこと?(私はよくやるんだけど・・・。)
それとも子供はお金を持ってないからか?と考えてしまった。
その辺りは純粋の日本生まれの人が書いた本じゃないからなのかも。
現在の日本も清廉潔白な国ではないが、遙かにましなんだなぁと思うこと請け合いです。
ただ、中国の負をとにかく集めた本なので、これを読むと清い心の中国人のことまでも
嫌いになってしまいそうなところがあります。
タグ :
中国
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