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カリマバードコシオサンの気まぐれスープと謎のシェフ。

フンザの川岸
フンザの川は流れがゆったり
カラコルムハイウェイの先、フンジャラーブ峠にお名残惜しさを感じながらも我々はパスーを後にした。
途中、河原で車を止めて遊んだり、路上で待ち伏せている少年から桃を買ったり、 車のタイヤがパンクしたりしたことを覗けば行きと全く同じ行程。選択の余地がないのだからしょうがないのだが。

一つ意外だったのは、道々出会う女性陣がにこっと笑顔を見せ、我々に手を振ってくれたりすること。
パキスタンも山の上の方に来ると、喜んで写真の被写体になることを承諾してくれると聞いたが、ホントかもしれません。ただ、本人の承諾を取らずに勝手にとってはだめだけど。

※ この地方はイスラムの宗派はイスマイール派。イスマイール派は他の宗派より戒律が緩いこと、女性が社会生活に関わっていることが多いこと等で、他の地方と雰囲気が違うらしいです。私が女だと言うことも往々に関係するとは思いますが。

桃売りつけ少年(笑) 車はあっちにより、こっちによりしながら、カリマバードにたどり着いた。
カリマバードはフンザに来る多くの旅人が必ず訪れる場所。町が山の斜面に沿って形成されており眺望の良さでも知られる。
目の前に流れるフンザ川の向こうに、ラカポシ(7788m)、ディラン(7257m)、スパンティーク(7027m)などの大山脈がそびえ立つ。 宿自体が斜面にあるから目の前に邪魔する物が何もない。 つまり、何処の宿に泊まっても、大パノラマ。迫力満点です。

もし通された部屋が山と反対側だとしても、背後にはウルタル峠があります。
そして、近くには農村が多く、緑がいっぱい。5月は杏の花が咲き乱れ、薄ピンクのアーチを散歩出来ちゃう。

空気は綺麗だし、眺望はいいし、すごく居心地がよいから長居してしまう旅行者が多いのである。
残念ながら私はここに1泊もせずに帰るんだけど。

「S美さん、ごはん食べよ。」

我々は迷うことなく、誰もが絶賛するコシオサンゲストハウスのレストランへ向かった。
KOSHIOSANGUESTHOUSEは、ニューガニシュロードの二つ目の大きなカーブの下の安宿が固まっている一角に。
それよりももっと上は中級クラスのホテルがぽつぽつとある。

コンクリートが打ちっ放しの2階建ての建家のルーフにレストランがあった。食事をしながら山の眺望を楽しめる作り。
そのレストランに入った瞬間、「あれ?」と。評判の割にすごく質素な作り。
そこらに並んでいる薄汚れたプラスチックのいすとテーブルに、これまた薄汚れた人間がだら~と腰かけている。 レストランというイメージにはそぐわない。場末の食堂っていうか。ん?

「何になさいますか?」

髭もじゃで、くるくるの癖毛が伸び気味でちょっとぼさぼさ。すり切れたジーンズに色あせたシャツを着た男性がオーダーを取りに来た。

「えっと、サンドイッチと~、このマウンテンティーってなに?あ、そう、じゃあそれと、本日のスープは?」

「スープの材料は決まっていません。そのときにある物で適当にシェフが作ります。」

「シェフって?」

「私。」

「え?ああそう。じゃあ、スープもお願いします。」

男性はにっこりと笑顔でメニューを受け取ると、背後にある厨房に入っていった。

学校や古い小さなビルの屋上に出たことがあるでしょ。あのエレベーター室とか階段の出口を思い浮かべて欲しい。
漫画なんかだと不良が授業をさぼっていたりするとこ。あんな感じなんです、厨房が。
こじんまりとしていて、薄暗い。そして、料理人には見えない風体のシェフ。いろんなことが私の勝手な想像の範疇からずれていた。

シェフの気まぐれスープ 「どうぞ。」

十数分後、シェフ自らが給仕してくれたスープにおそるおそる口を付けた。

一口すすってビックリ。うまーーーい!

グルメでなくて、申し訳ない。材料がなんなのか、どういう味なのか、まったく表現出来ない。
スープを何で取ってるのかもよくわからない。パキスタンだから少なくとも豚ではないとしか言えない。
でも、鶏とも魚とも思えない。獣臭さも魚臭さもないってことは植物系?

スープに浮いている実のホロ苦のアクセントがまたポイント。スパイスの一種なんだろうけど、初めて食べた。

「ね、このサンドイッチ食べてみなよ。ものすごい美味しいよ。」

サンドイッチもまた仰天のうまさ。今までサンドイッチ一つがこれほど美味いと思ったことはない。
薄っぺらいパンに、チーズとうすーいトマトを挟んだだけのシンプルなサンドイッチなのに、めちゃくちゃ美味い。
これはチーズが旨いんだ。ものすごく味が濃い。
恐らくパンに塗ってあるバターもできたてだ。パンもしっとり、甘みもバランス良い。く~、最高っ。

他の宿の宿泊客までここに食べに来るという理由がわかった。相当の腕のコックがいないと勝ち目がない。
家庭料理ではなく、完全にレストランの味。それもすごく美味いレストランの味。しかも、リーズナブル。

絶対にこの宿の食事も旅行者がカリマバードに長居する理由の一つにもなっている。
ギルギットで日本の味、カリマバードでフンザの味と繰り返しているのだ、彼らは。・・・宿のベッドに虫が出るとはいえ(笑)

このシェフ、もしかしたら外国で修行してたりしたのかも。少なくともパキスタン料理じゃないですから。
日本でも有名レストランで修行したシェフが軽井沢でレストラン開いちゃったりしてるじゃない?そんな感じ。

こんなところでスゴイ料理人に巡り会い、病み上がりでこれ以上食べれない自分の体を呪った。
うー、もっと違う料理も食べたかったよ~。

フンザのKOSHIOSAN GUEST HOUSE。要チェックだ。
今もシェフいるんですかねぇ。シェフの実家だったらいると思うけど、果たしてどうだったんでしょう?

パスーからカリマバードまでのドライブ写真

どんどん削れてる感じのする川岸

カラコルムハイウェイ沿いの谷1 カラコルムハイウェイ沿いの谷2 ハイウェイは、断崖からかなり離れた場所に作られているものの、どんどんと削られている感じがする。 ここを段ボールしいて滑ったらものすごい勢いで落ちていくだろなー。(不謹慎)
子供の頃、それを河原でやって、意外と滑らないことに腹を立てたのは私だけではないはずだ。

るるるーと河原で佇むアブドゥルくん

パスー氷河 パスー氷河2 急斜をものすごい勢いで雪解け水が流れてくるため、岩はどんどん削れてあっという間に粉々になる。 だから、少し下流の河原は砂浜のようになってしまってます。
わざわざそこを歩いてはまってみた。

こんな道もこんな道もある

崖崩れ注意 気持ちのいい緑の並木 ←崖崩れ注意。カラコルムハイウェイは走れば走るほど、岩の質が変わるのが見て取れる。火山岩とか花崗岩とか習ったけど、全くもって憶えておりません。
景色に気を取られながら、地学の勉強をもっとしとけば面白かっただろうなぁと思ってたら、この後、高校の理科の先生に出会ってビックリした。やはり、職業柄気になってしまうそうです(笑)

カリマバードからの景色です。

最後にばばんと、コレがカリマバードからの眺め 本文で、カリマバードは山肌にある町と書いたとおり。ちょうど、目と同じ高さに最高峰の山脈が広がる。 ここをナウシカが飛んだわけだ(あれ?飛んだっけ?)
ちなみに写ってませんが、このずずーっと左奥に世界で2番目に高いK2マウンテン(8611m)があります。目の前の山が7000mです。
富士山にも登ったことないので、7000mと言われても全然ぴんときません。

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