車掌も密かにワル。袖の下で出発時間ギリギリに列車に駆け込み乗車。
パキスタンからインドへ列車で国境越えをした。国境駅ワガにてインド入国。
朝7時半にラホールを出たのに、インド側の国境駅を脱出したのは16時過ぎである。
ちなみに往路はサイクルリキシャとバスを使って国境を越えたが、バス、事務手続きなどを全て足しても トータルで3時間程度だろうか。いかに列車の国境越えが効率悪いかがよくわかる。
私設両替商を振りきり、さらに数人のタクシードライバーをやり過ごしたところでハタと考えた。
「・・・急げば夕方発のシャダプティエクスプレスに間に合うのでは?」
今、振り切ったばかりのタクシードライバーに向き直り、値段交渉をしてみる。
「ねえ、アムリトサル駅までいくら?」
「350ルピー」
「高い!200ルピーだったら乗る。」
「それは、安すぎ。300!」
アムリトサル-国境間は基本的に350から始まるらしい。行きにアムリトサルの駅で提示された価格と全く同じである。
そして、ドライバーの譲らない態度を見ていると、さほどふっかけてはいない様子にとれる。
最終的に「17時00分までにアムリトサルの駅に着けたら250ルピー払う!」という条件で交渉成立!
着かなかったら200ルピーしか払わない。今日中にデリーに着く列車に間に合わなければタクシーを使う意味がない。
バスに乗ればいいんだもん。
ドライバーは真剣な面持ちでハンドルを握り、クラクションをならしっぱなしでタクシーを走らせていった。
ほんのわずかの差で50ルピーの損がでるとなれば必死になる。 結果、列車の出発5分前に見事にアムリトサル駅に到着!!
タクシーを飛び降り一目散に切符売り場に駆け込み「17:05発のシャタブディでデリーにいきたーい!」と訴えた。
窓口の向こうの係員は、「出発間際だから切符の販売は終了。」とあっさり拒絶。
しかし、続く言葉を聞き逃さず。「シャタブディは1番ホームから出るよ。行ってみたら?」と言うのである。
そーね、そうよね。あなた、車掌に何とかしてもらえって言ってるのね。なんとかしてもらいますとも!
「わかった!ありがと!!」とお礼もそこそこ、一目散にプラットホームに向かってダッシュした。
デリー行きのシャタブディエクスプレスは目の前のプラットホームで既に出発準備が完了していた。
あとは定刻通りに出発するだけという感じで、乗り込む客もあまりいないようだ。
車掌は紺地に金色のエンブレムのパリっとした制服を着ているし、出発間際までホームにいるのですぐに探し出せる。
「どうしてもこの列車でデリーまで行きたいんです。でも切符を買ってません。乗せてもらえませんか?」
下手に出つつ、丁寧に丁寧にお願いするも、「切符を買ってないならだめだよ」とあっさりと断られる。
「いえ、だって、窓口のにーちゃんがホームにいけって言ってたんですよ。」
「でも、無理なものは無理なんだよ。」
とあからさまにめんどくさそうだ。
ここで怯んだり、怒ったりしてはこちらの負けである。
目的はこの列車に乗り、今日中にデリーに帰ること。車掌のご機嫌を損ねては元も子もない。
2人いるこの列車の車掌に交互にお願いをしつつ、拒否される度に「困ったなぁ」という落胆の表情で立ちつくす。
そんな態度を繰り返していると、まさに列車の出発直前に1人の車掌がこっそり近づきこう言った。
「1350ルピーかかってもいいか?」
そうですかエグゼクティブクラスに空きがありましたか。 アッパークラスだろうと何だろうと乗りますとも!
「勿論です!デリーに帰れるなら、払います!」
「じゃあ、C3コーチの13番に行って」
・・・あれ?C3ってチェアカー(エアコンの1等普通座席)じゃないの? でも、立場上、文句は言えん。
C3の車両に乗り込むと、やっぱり通路を挟んで計5列の座席が並んでいて、これはどう考えても普通席のチェアカー。
乗客は私を含めせいぜい10名ほどである。
この座席は700ルピー弱のはずだ。いくら何でも1350ルピーは高すぎるのだが、了承したのは自分である。
ちょっとは交渉してみるかなぁ?なんて思ったところで車掌が検札に現れたのだが、私の前だけ素通り。
「お金は?」と目で合図する私に、向こうも向こうで「もうちょっと待って。」とアイコンタクトを飛ばす。
その後、途中駅で新たな客が乗り込むたびに車掌は現れるけど、やっぱり私のことはほったらかし。
・・・さては忘れてるのか?イヤ、やたらに目は合うし、お金を払ってないのはわかっている。
つまり切符を切らず、1350ルピーをそのままポケットに入れるってことかもしれない。
元々不正に乗り込んだのはこちらなので座席の値段が高いのはしょうがないが、問題は切符を切ってくれないことである。
・・・ニューデリー駅の出口で引っかかったら「・・・なくしちゃった!ごめんなさい」と泣くしかあるまい。
車窓にのぞく風景が田園から徐々に住居に変わり、そろそろ終点ニューデリー駅という段になると、
ようやく車掌は周りの乗客の様子を伺いながら、こそこそとやってきた。
私の横に身をかがめぼそっと一言、「600ルピー」。え?1350でなくて、600??
それってシャタブディの正規料金より安いんですけど・・・。もちろんしっかりサービス受けたのに。
車掌の気が変わっては困るので、「OK.OK」と二つ返事でお金を渡した。
当たり前だが、ここで「チケット(切符)をくれ。」なんて、言ってはいけない。
彼は小遣いがほしい。私はデリーに帰りたい。お互いの利害が一致した結果だし、リスクを負ってるのは車掌も同じ。
ばれたら怒られるのは向こうも一緒ってこと。
それに、誰も損をしてないと思うのだ。(※インド国鉄以外は)
車内サービスのウェイターだって月給をもらってるのだし、もしかしたら乗客が増えたらチップが増えるかも。
車内食の数だって余分に準備してあるのだから、余らせたら捨てるだけだ。(途中駅で乗り込む客もいるし。)
損と言えば、車内食を1人分よけいに配ったウェイターの労力と私の体重の分だけ増えた列車の燃料費くらいか?
「よし、あとは泣く準備だな・・・。」
下車後、気合いを入れて出口に向かうも、押し寄せる人並みのすごさに立っている駅員も全くやる気を見せず、
切符の回収なんてしちゃいない。よし、このまま人混みに紛れて逃げるべし!!
なんだか、私もだんだんインドの旅に慣れてきたよなぁ。行く度に・・・厚かましくなる。
朝7時半にラホールを出たのに、インド側の国境駅を脱出したのは16時過ぎである。
ちなみに往路はサイクルリキシャとバスを使って国境を越えたが、バス、事務手続きなどを全て足しても トータルで3時間程度だろうか。いかに列車の国境越えが効率悪いかがよくわかる。
私設両替商を振りきり、さらに数人のタクシードライバーをやり過ごしたところでハタと考えた。
「・・・急げば夕方発のシャダプティエクスプレスに間に合うのでは?」
今、振り切ったばかりのタクシードライバーに向き直り、値段交渉をしてみる。
「ねえ、アムリトサル駅までいくら?」
「350ルピー」
「高い!200ルピーだったら乗る。」
「それは、安すぎ。300!」
アムリトサル-国境間は基本的に350から始まるらしい。行きにアムリトサルの駅で提示された価格と全く同じである。
そして、ドライバーの譲らない態度を見ていると、さほどふっかけてはいない様子にとれる。
最終的に「17時00分までにアムリトサルの駅に着けたら250ルピー払う!」という条件で交渉成立!
着かなかったら200ルピーしか払わない。今日中にデリーに着く列車に間に合わなければタクシーを使う意味がない。
バスに乗ればいいんだもん。
ドライバーは真剣な面持ちでハンドルを握り、クラクションをならしっぱなしでタクシーを走らせていった。
ほんのわずかの差で50ルピーの損がでるとなれば必死になる。 結果、列車の出発5分前に見事にアムリトサル駅に到着!!
タクシーを飛び降り一目散に切符売り場に駆け込み「17:05発のシャタブディでデリーにいきたーい!」と訴えた。
窓口の向こうの係員は、「出発間際だから切符の販売は終了。」とあっさり拒絶。
しかし、続く言葉を聞き逃さず。「シャタブディは1番ホームから出るよ。行ってみたら?」と言うのである。
そーね、そうよね。あなた、車掌に何とかしてもらえって言ってるのね。なんとかしてもらいますとも!
「わかった!ありがと!!」とお礼もそこそこ、一目散にプラットホームに向かってダッシュした。
デリー行きのシャタブディエクスプレスは目の前のプラットホームで既に出発準備が完了していた。
あとは定刻通りに出発するだけという感じで、乗り込む客もあまりいないようだ。
車掌は紺地に金色のエンブレムのパリっとした制服を着ているし、出発間際までホームにいるのですぐに探し出せる。
「どうしてもこの列車でデリーまで行きたいんです。でも切符を買ってません。乗せてもらえませんか?」
下手に出つつ、丁寧に丁寧にお願いするも、「切符を買ってないならだめだよ」とあっさりと断られる。
「いえ、だって、窓口のにーちゃんがホームにいけって言ってたんですよ。」
「でも、無理なものは無理なんだよ。」
とあからさまにめんどくさそうだ。
ここで怯んだり、怒ったりしてはこちらの負けである。
目的はこの列車に乗り、今日中にデリーに帰ること。車掌のご機嫌を損ねては元も子もない。
2人いるこの列車の車掌に交互にお願いをしつつ、拒否される度に「困ったなぁ」という落胆の表情で立ちつくす。
そんな態度を繰り返していると、まさに列車の出発直前に1人の車掌がこっそり近づきこう言った。
「1350ルピーかかってもいいか?」
そうですかエグゼクティブクラスに空きがありましたか。 アッパークラスだろうと何だろうと乗りますとも!
「勿論です!デリーに帰れるなら、払います!」
「じゃあ、C3コーチの13番に行って」
・・・あれ?C3ってチェアカー(エアコンの1等普通座席)じゃないの? でも、立場上、文句は言えん。
C3の車両に乗り込むと、やっぱり通路を挟んで計5列の座席が並んでいて、これはどう考えても普通席のチェアカー。
乗客は私を含めせいぜい10名ほどである。
この座席は700ルピー弱のはずだ。いくら何でも1350ルピーは高すぎるのだが、了承したのは自分である。
ちょっとは交渉してみるかなぁ?なんて思ったところで車掌が検札に現れたのだが、私の前だけ素通り。
「お金は?」と目で合図する私に、向こうも向こうで「もうちょっと待って。」とアイコンタクトを飛ばす。
その後、途中駅で新たな客が乗り込むたびに車掌は現れるけど、やっぱり私のことはほったらかし。
・・・さては忘れてるのか?イヤ、やたらに目は合うし、お金を払ってないのはわかっている。
つまり切符を切らず、1350ルピーをそのままポケットに入れるってことかもしれない。
元々不正に乗り込んだのはこちらなので座席の値段が高いのはしょうがないが、問題は切符を切ってくれないことである。
・・・ニューデリー駅の出口で引っかかったら「・・・なくしちゃった!ごめんなさい」と泣くしかあるまい。
車窓にのぞく風景が田園から徐々に住居に変わり、そろそろ終点ニューデリー駅という段になると、
ようやく車掌は周りの乗客の様子を伺いながら、こそこそとやってきた。
私の横に身をかがめぼそっと一言、「600ルピー」。え?1350でなくて、600??
それってシャタブディの正規料金より安いんですけど・・・。もちろんしっかりサービス受けたのに。
車掌の気が変わっては困るので、「OK.OK」と二つ返事でお金を渡した。
当たり前だが、ここで「チケット(切符)をくれ。」なんて、言ってはいけない。
彼は小遣いがほしい。私はデリーに帰りたい。お互いの利害が一致した結果だし、リスクを負ってるのは車掌も同じ。
ばれたら怒られるのは向こうも一緒ってこと。
それに、誰も損をしてないと思うのだ。(※インド国鉄以外は)
車内サービスのウェイターだって月給をもらってるのだし、もしかしたら乗客が増えたらチップが増えるかも。
車内食の数だって余分に準備してあるのだから、余らせたら捨てるだけだ。(途中駅で乗り込む客もいるし。)
損と言えば、車内食を1人分よけいに配ったウェイターの労力と私の体重の分だけ増えた列車の燃料費くらいか?
「よし、あとは泣く準備だな・・・。」
下車後、気合いを入れて出口に向かうも、押し寄せる人並みのすごさに立っている駅員も全くやる気を見せず、
切符の回収なんてしちゃいない。よし、このまま人混みに紛れて逃げるべし!!
なんだか、私もだんだんインドの旅に慣れてきたよなぁ。行く度に・・・厚かましくなる。