ナメてんのか!エアインディア!エンジントラブルで飛行不能。
3週間ほどの旅を終え日本に帰る。空港にたどり着くとチェックインカウンターへ向かった。
エアインディアの地上スタッフは「機内に持ち込める荷物はひとつだけ!」と原則に厳しく、ビニール袋に入れた土産物まで無理矢理にザックに押し込み、ザックを預け荷物にすることになった。
この当時は水の持ち込み制限などがなかったため、ザックなどもすべて手荷物にしていたのだ。
もう一回り大きなザックを使っていたらサブバッグも含め、持ち込み荷物を一つ出来たのだが、それだけが悔やまれてならない。(理由は後述。)
搭乗ゲートには何人か日本人がいる。ちょうどお盆休みの最後の土曜なので、家族連れやサラリーマン風の人が多い。
日本企業で働いていて、お盆休みに帰郷したインド人も結構いるようだった。
搭乗時間になり、ゲートを通り、何事もなく飛行機に乗り込んだ。
搭乗機はムンバイが始発。ムンバイからデリーを経由して成田空港に直行する便で、ムンバイからの搭乗客が1/3くらいいた。
多分、この中には行きの飛行機で隣だったケダールもいるはずである。
しばらくしてデリーからの乗客の搭乗は完了したが、例によってなかなか飛行機は離陸しなかった。
エアインディアは搭乗直後にジュースをくれるのだが、いつものようにスチュワーデスもジュースを配り始める。
今回は日本人のスチュワーデスもいるようで、一人、忙しそうに走り回っていた。
搭乗してから30分以上が経過しても飛行機は飛ぶ気配がない。
さすがに乗客も異変に気づき、ざわつき始めた頃、ようやく「遅れてすいません。」と一言だけ謝罪のアナウンスが入った。
状況説明もないまま謝罪だけされてもね。「ま、エアインディアだし。」と理由もなく納得してそのまま待機。
そしてさらに30分。搭乗から1時間が経ち、再び機内アナウンスが入った。
「機体のエンジン部分に故障が発見されました。只今、損傷箇所が修理可能かどうか調べております。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください」
ちょ、ちょっとまて!あっさり言うけど、エンジンですよ?エンジン。
そもそも飛ぶんかい!?っていうか、飛ばして大丈夫なの?
そして、搭乗してから二時間後。(飛ばないまま2時間機内で待たされるってすごいですよね。)
飛んでもいないのに機内食が出てきた。30分くらい前からカレーのにおいが立ちこめて来ていたんである。
「只今、機体を修理中ですが、みなさまには機内食をお楽しみ戴きます。 地上乗務員が精一杯作業しておりますので、ご了承ください」
お楽しみくださいってアナタ。エコノミーはエンジンの真上なのでヒュイーィィィィインと電動工具の音がやけに響く。
ヒュイーィィィィイン、ヒュイーィィィィイン、ヒュイーィィィィインって、
ここまで来ると笑うしかない。
機内食も食べ終わり、とりあえずお腹は満たされた。餌を与えて黙らせようって腹だったかもしれないが、そうは行かない。周りの人々の顔もだんだん怒りや恐怖でこわばってきているのがわかる。
ポーン
緊迫したこの状況に似つかわしくない軽い音のアナウンスの合図音が鳴り響く。
「機体の損傷はかなり深刻な状況であることがわかりました。デリー空港では修理が不可能です。
只今、ムンバイより部品を取り寄せていますので、離陸はもうしばらく後に・・・」
もう、勝手にしてくれ。
部品取り寄せ云々の話からさらに1時間。搭乗してから既に4時間。ポーンと、機内アナウンスが入ることを告げるあの音がまた鳴る。ふっ、今更飛ぶとは思ってないよ、私は。
「先ほど申し上げましたとおり、故障は非常に深刻な状況であることがわかりました。
ムンバイから部品を取り寄せておりますが、修理に非常に時間がかかると予想されます。
只今エアインディアの地上スタッフがみなさまがオヤスミなるホテルをご用意いたしております。
準備が整い次第係員がご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。」
あー、くそ。だったら最初から案内してよ~。4時間も機内に閉じ込めって苦痛ですわ。
と、こんないきさつで、再び出国ゲートに戻された搭乗客。
全員が出国印を押して貰ったイミグレーションカウンターの前に集められ、デリーから搭乗した人とムンバイから搭乗した人と別々に並ばされた。
デリー出国組の列に並び、カウンターにパスポートを提出すると、搭乗券とパスポートの出国印にキャンセル印をぽんっと押された。
「出国取り消しかー。初めてだなぁこんなの。」と気楽に考えていたが、なんと、ムンバイから出国した人々はパスポートを取り上げられていた。ムンバイのイミグレで押した出国スタンプはデリーで取り消すことは出来ないんだそうである。
ムンバイ出国組は本来ならばインドに入国してはいけないわけで、書類の上では不法入国?みたいなものか。
一時的にホテルのみ特別な滞在許可が降りたような状況のようだ。
「マジかよ~。俺のパスポート帰って来るのかなぁ?」
なかなか無い状況に、ムンバイ入国の方々は大変とまどっておられた。
空港からホテルまではバスがピストン輸送で次々に乗客を運ぶ。行き先はファイブスターのアショカホテル!
こんな事がないと泊まることなんかあり得ないホテルである。
空港でもたもたしていた私は運悪く旧館泊になってしまったが、早々とバスに乗った人はぴっかぴかの新館に泊まれたそうだ。
ちなみにこのホテル。エアインディアが連れてきた時点でもわかると思うが、政府の息がかかっているのでサービスは悪かったです。
粗を探せばきりがない。お金払って泊まるとムカツクかもしれません。(ただで泊まれる私は文句はございません)
ホテルの電話コード表
記載順がよくわからない。
厚木が一番上にあるのも謎。
機体のトラブルでインドに再入国。航空会社が用意したアショカホテルに着いたのは真夜中の3時だった。
宿泊料が無料なのは当然として、食事も無料で、国際電話も1分以内で1回分だけはエアインディアが払うという。
午前9時、日本時間で日曜のお昼過ぎに自宅へ電話をかけてみた。
日本からの電話と思ったであろうウチの親は「まだインドにいる」の言葉に絶句した。
とりあえず仕事には間に合わないことが確定していたので、月曜の10時過ぎに職場へ連絡するよう頼んでおいた。
夏休みシーズンはみんな休んでいるので余り忙しくないのだが、ここまで長々と休暇をつなげるのは私くらいなので、ちょっとは心苦しいところがある。単なる遊びで来てるんだし。
さて高級ホテルに泊まったところで、何の問題もなく快適に過ごしているとお思いでしょう。実はそうでもなかった。
先に言ったように、飛行機に搭乗する際に手荷物は一つに制限され、残りは預けさせられた。
つまり、荷物は全て機体の中で、今持っているのはショルダーバッグひとつ。着替えも歯ブラシもシャンプーも何もない。
このホテル、飛行機の乗客全てを受け入れられたことでもわかるように、通常はあまり部屋が埋まらないのでしょう。部屋の管理がずさんで、タオルすら部屋においてない。
歯ブラシがない宿はあってもタオルはあるでしょ。安宿じゃあるまいし。(あったのは石けんだけ。)
食事はブッフェ形式だったそうだが、気が付いたら朝食の時間は終わっており食べられなかった。
ロビーには「エアインディアのお客様へ 12:00~○×レストランで昼食」などと書かれた案内板があり、まだまだ飛行機が飛ぶ気配はない。
ホテルの高いお店を見て回っても時間の無駄。朝食を食べそびれてお腹が空いたのでホテルの外で食事をとることにした。
オートリキシャで南デリーの高級ショッピング街まで出ると、マクドナルドでマハラジャミールを注文。
マハラジャミールとはマハラジャマックとポテトとコーラのセットメニューのこと。
日本で言うバリューセットで、マハラジャマックは日本のビッグマックに当たる一番ボリュームのあるバーガーである。
この国の大半を占めるヒンズー教徒は、シヴァ神の乗り物である牛を食べる事ができない。 マクドナルドが得意げに主張する牛肉100%のハンバーガーなんて出せないわけで、だからこの国のハンバーガーは牛肉は0%である。
肉は羊を使っており、中身が違うのにビッグマックと言うわけにもいかないから、その名もマハラジャマック!
「なに、ハンバーガーくらいで気取ってるの?」と言うなかれ。ハンバーガーはかなり高級な部類に当たる。
確かミールが90ルピーくらいでしたが、肉入りの山盛りチョーメンなんかその半額で食べられる。
そのマハラジャは、三枚のバンズの間にミートパテとレタスとチーズを挟み特製ソースをかけてあり、 お味は牛よりあっさりといったところでしょうか。まずまずでした。
「こんな状態でのんきにマックにいるのはきっと私だけなんだろうなぁ」
余裕かましていたが、さすがにインドに置き去りにされても悲しいので早々にホテルに戻った。
ホテルに戻ると、昼食の表示がティータイムに変わっていた。・・・やっぱり全く飛ぶ気配がない。
食事だけは十分に準備されているようだが、それより飛行機は一体どうなってるのよ!
とりあえず、フロントに「タオルとかなくてシャワーも浴びれないじゃないか!」と文句を言うと、 「すぐに用意させます。」と口調が事務的なだった割には、わりと早く部屋係がタオルと歯ブラシとシャンプーを持ってきた。やれば出来るんじゃないか!最初からそうしてよ。
「さーて、シャワーっ。」と思ったら、今度は停電で、真っ暗闇でシャワーを浴びる。
・・・私、何かした?
十数分経っても一向に停電は直る気配がなく、部屋にいてもどうにもならないので再びロビーに降りてみた。
案内板の表示は「エアインディアのお客様20時よりレストラン○×で夕食。」となっており、 夕食が出るからには今日はもう飛ばなそうだ。
夕食の時間にレストランに行くと、お盆を利用して来た二人のサラリーマンのお兄さんと相席させて頂いた。
1人は会社の人に嫌みを言われながらやっとの思いで1週間の休みを貰ってインドに来たそうで、 帰れないことにとてもショックを受けていた。
もう1人は、専門学校かなにかのお仕事の方で、「上司は別にいいんですよ。でも生徒に示しが付かない(笑)」と明るく笑っていた。
日本ってたったの1週間の休みをとるのでさえ苦労するからなぁ。こういうの困りますよね。
自由旅行で来た人も多いが、勿論、パックツアーのお客も結構いたらしい。
日本旅行の添乗員など下手に英語ができるものだから、自分のお客以外の人からも質問責めにあって気の毒であった。
「今日はもう飛ばないのかしら?」
「多分、今日は飛ばないと思う。でも、エアインディアさんの部屋が○○号室なので、そこに行ってみてください。詳しいことは直接聞いた方がいいと思います」
「でも、部屋にいないんだよなー」
そんなこと彼に聞いても困るだろうに。あまり邪険に扱うと日本旅行の評判が落ちるし、大変だろうな。
私は人ごとのようにこの状況を静観していたが、遊びで来ている人はともかくビジネスで来ていた人も勿論いるわけで、そんな人達はこの状況で黙っているわけがなかった。
ツアーの添乗員も含め、ガンガンに文句を言ってくれた人がいたお陰で、国際電話は2回まで無料になり、
さらに滞在中の軍資金として1人500ルピーが貰えることになった。
私はまたインドに来ることがあると思ったので、余ったインドルピーを両替せずにそのまま持っていたが、当然、空港や町で使い切った人の方が多いだろう。今更両替するのも何だし、かといってインドルピーがなければ外の電話屋に行って電話をかけることも出来ない。(ホテルの電話など高すぎてお話にならない。)
そして、トラベラーズチェックはパスポートがないと両替出来ない。パスポートが空港預かりになっているムンバイ搭乗の人たちは全く為す術がない。
そりゃ、「なんとかしろ!」って文句言うわな。
最終的に食事だけでなくお酒も無料になったため、仲良くなった兄さんと一緒にビールを飲みに再び食堂へ行った。
「いやぁ、面白い状況になりましたねぇ。」
浮かれていたのは私だけか?
エアインディアの地上スタッフは「機内に持ち込める荷物はひとつだけ!」と原則に厳しく、ビニール袋に入れた土産物まで無理矢理にザックに押し込み、ザックを預け荷物にすることになった。
この当時は水の持ち込み制限などがなかったため、ザックなどもすべて手荷物にしていたのだ。
もう一回り大きなザックを使っていたらサブバッグも含め、持ち込み荷物を一つ出来たのだが、それだけが悔やまれてならない。(理由は後述。)
搭乗ゲートには何人か日本人がいる。ちょうどお盆休みの最後の土曜なので、家族連れやサラリーマン風の人が多い。
日本企業で働いていて、お盆休みに帰郷したインド人も結構いるようだった。
搭乗時間になり、ゲートを通り、何事もなく飛行機に乗り込んだ。
搭乗機はムンバイが始発。ムンバイからデリーを経由して成田空港に直行する便で、ムンバイからの搭乗客が1/3くらいいた。
多分、この中には行きの飛行機で隣だったケダールもいるはずである。
しばらくしてデリーからの乗客の搭乗は完了したが、例によってなかなか飛行機は離陸しなかった。
エアインディアは搭乗直後にジュースをくれるのだが、いつものようにスチュワーデスもジュースを配り始める。
今回は日本人のスチュワーデスもいるようで、一人、忙しそうに走り回っていた。
搭乗してから30分以上が経過しても飛行機は飛ぶ気配がない。
さすがに乗客も異変に気づき、ざわつき始めた頃、ようやく「遅れてすいません。」と一言だけ謝罪のアナウンスが入った。
状況説明もないまま謝罪だけされてもね。「ま、エアインディアだし。」と理由もなく納得してそのまま待機。
そしてさらに30分。搭乗から1時間が経ち、再び機内アナウンスが入った。
「機体のエンジン部分に故障が発見されました。只今、損傷箇所が修理可能かどうか調べております。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください」
ちょ、ちょっとまて!あっさり言うけど、エンジンですよ?エンジン。
そもそも飛ぶんかい!?っていうか、飛ばして大丈夫なの?
そして、搭乗してから二時間後。(飛ばないまま2時間機内で待たされるってすごいですよね。)
飛んでもいないのに機内食が出てきた。30分くらい前からカレーのにおいが立ちこめて来ていたんである。
「只今、機体を修理中ですが、みなさまには機内食をお楽しみ戴きます。 地上乗務員が精一杯作業しておりますので、ご了承ください」
お楽しみくださいってアナタ。エコノミーはエンジンの真上なのでヒュイーィィィィインと電動工具の音がやけに響く。
ヒュイーィィィィイン、ヒュイーィィィィイン、ヒュイーィィィィインって、
ここまで来ると笑うしかない。
機内食も食べ終わり、とりあえずお腹は満たされた。餌を与えて黙らせようって腹だったかもしれないが、そうは行かない。周りの人々の顔もだんだん怒りや恐怖でこわばってきているのがわかる。
ポーン
緊迫したこの状況に似つかわしくない軽い音のアナウンスの合図音が鳴り響く。
「機体の損傷はかなり深刻な状況であることがわかりました。デリー空港では修理が不可能です。
只今、ムンバイより部品を取り寄せていますので、離陸はもうしばらく後に・・・」
もう、勝手にしてくれ。
部品取り寄せ云々の話からさらに1時間。搭乗してから既に4時間。ポーンと、機内アナウンスが入ることを告げるあの音がまた鳴る。ふっ、今更飛ぶとは思ってないよ、私は。
「先ほど申し上げましたとおり、故障は非常に深刻な状況であることがわかりました。
ムンバイから部品を取り寄せておりますが、修理に非常に時間がかかると予想されます。
只今エアインディアの地上スタッフがみなさまがオヤスミなるホテルをご用意いたしております。
準備が整い次第係員がご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。」
あー、くそ。だったら最初から案内してよ~。4時間も機内に閉じ込めって苦痛ですわ。
と、こんないきさつで、再び出国ゲートに戻された搭乗客。
全員が出国印を押して貰ったイミグレーションカウンターの前に集められ、デリーから搭乗した人とムンバイから搭乗した人と別々に並ばされた。
デリー出国組の列に並び、カウンターにパスポートを提出すると、搭乗券とパスポートの出国印にキャンセル印をぽんっと押された。
「出国取り消しかー。初めてだなぁこんなの。」と気楽に考えていたが、なんと、ムンバイから出国した人々はパスポートを取り上げられていた。ムンバイのイミグレで押した出国スタンプはデリーで取り消すことは出来ないんだそうである。
ムンバイ出国組は本来ならばインドに入国してはいけないわけで、書類の上では不法入国?みたいなものか。
一時的にホテルのみ特別な滞在許可が降りたような状況のようだ。
「マジかよ~。俺のパスポート帰って来るのかなぁ?」
なかなか無い状況に、ムンバイ入国の方々は大変とまどっておられた。
空港からホテルまではバスがピストン輸送で次々に乗客を運ぶ。行き先はファイブスターのアショカホテル!
こんな事がないと泊まることなんかあり得ないホテルである。
空港でもたもたしていた私は運悪く旧館泊になってしまったが、早々とバスに乗った人はぴっかぴかの新館に泊まれたそうだ。
ちなみにこのホテル。エアインディアが連れてきた時点でもわかると思うが、政府の息がかかっているのでサービスは悪かったです。
粗を探せばきりがない。お金払って泊まるとムカツクかもしれません。(ただで泊まれる私は文句はございません)
ホテルの電話コード表
記載順がよくわからない。
厚木が一番上にあるのも謎。
宿泊料が無料なのは当然として、食事も無料で、国際電話も1分以内で1回分だけはエアインディアが払うという。
午前9時、日本時間で日曜のお昼過ぎに自宅へ電話をかけてみた。
日本からの電話と思ったであろうウチの親は「まだインドにいる」の言葉に絶句した。
とりあえず仕事には間に合わないことが確定していたので、月曜の10時過ぎに職場へ連絡するよう頼んでおいた。
夏休みシーズンはみんな休んでいるので余り忙しくないのだが、ここまで長々と休暇をつなげるのは私くらいなので、ちょっとは心苦しいところがある。単なる遊びで来てるんだし。
さて高級ホテルに泊まったところで、何の問題もなく快適に過ごしているとお思いでしょう。実はそうでもなかった。
先に言ったように、飛行機に搭乗する際に手荷物は一つに制限され、残りは預けさせられた。
つまり、荷物は全て機体の中で、今持っているのはショルダーバッグひとつ。着替えも歯ブラシもシャンプーも何もない。
このホテル、飛行機の乗客全てを受け入れられたことでもわかるように、通常はあまり部屋が埋まらないのでしょう。部屋の管理がずさんで、タオルすら部屋においてない。
歯ブラシがない宿はあってもタオルはあるでしょ。安宿じゃあるまいし。(あったのは石けんだけ。)
食事はブッフェ形式だったそうだが、気が付いたら朝食の時間は終わっており食べられなかった。
ロビーには「エアインディアのお客様へ 12:00~○×レストランで昼食」などと書かれた案内板があり、まだまだ飛行機が飛ぶ気配はない。
ホテルの高いお店を見て回っても時間の無駄。朝食を食べそびれてお腹が空いたのでホテルの外で食事をとることにした。
オートリキシャで南デリーの高級ショッピング街まで出ると、マクドナルドでマハラジャミールを注文。
マハラジャミールとはマハラジャマックとポテトとコーラのセットメニューのこと。
日本で言うバリューセットで、マハラジャマックは日本のビッグマックに当たる一番ボリュームのあるバーガーである。
この国の大半を占めるヒンズー教徒は、シヴァ神の乗り物である牛を食べる事ができない。 マクドナルドが得意げに主張する牛肉100%のハンバーガーなんて出せないわけで、だからこの国のハンバーガーは牛肉は0%である。
肉は羊を使っており、中身が違うのにビッグマックと言うわけにもいかないから、その名もマハラジャマック!
「なに、ハンバーガーくらいで気取ってるの?」と言うなかれ。ハンバーガーはかなり高級な部類に当たる。
確かミールが90ルピーくらいでしたが、肉入りの山盛りチョーメンなんかその半額で食べられる。
そのマハラジャは、三枚のバンズの間にミートパテとレタスとチーズを挟み特製ソースをかけてあり、 お味は牛よりあっさりといったところでしょうか。まずまずでした。
「こんな状態でのんきにマックにいるのはきっと私だけなんだろうなぁ」
余裕かましていたが、さすがにインドに置き去りにされても悲しいので早々にホテルに戻った。
ホテルに戻ると、昼食の表示がティータイムに変わっていた。・・・やっぱり全く飛ぶ気配がない。
食事だけは十分に準備されているようだが、それより飛行機は一体どうなってるのよ!
とりあえず、フロントに「タオルとかなくてシャワーも浴びれないじゃないか!」と文句を言うと、 「すぐに用意させます。」と口調が事務的なだった割には、わりと早く部屋係がタオルと歯ブラシとシャンプーを持ってきた。やれば出来るんじゃないか!最初からそうしてよ。
「さーて、シャワーっ。」と思ったら、今度は停電で、真っ暗闇でシャワーを浴びる。
・・・私、何かした?
十数分経っても一向に停電は直る気配がなく、部屋にいてもどうにもならないので再びロビーに降りてみた。
案内板の表示は「エアインディアのお客様20時よりレストラン○×で夕食。」となっており、 夕食が出るからには今日はもう飛ばなそうだ。
夕食の時間にレストランに行くと、お盆を利用して来た二人のサラリーマンのお兄さんと相席させて頂いた。
1人は会社の人に嫌みを言われながらやっとの思いで1週間の休みを貰ってインドに来たそうで、 帰れないことにとてもショックを受けていた。
もう1人は、専門学校かなにかのお仕事の方で、「上司は別にいいんですよ。でも生徒に示しが付かない(笑)」と明るく笑っていた。
日本ってたったの1週間の休みをとるのでさえ苦労するからなぁ。こういうの困りますよね。
自由旅行で来た人も多いが、勿論、パックツアーのお客も結構いたらしい。
日本旅行の添乗員など下手に英語ができるものだから、自分のお客以外の人からも質問責めにあって気の毒であった。
「今日はもう飛ばないのかしら?」
「多分、今日は飛ばないと思う。でも、エアインディアさんの部屋が○○号室なので、そこに行ってみてください。詳しいことは直接聞いた方がいいと思います」
「でも、部屋にいないんだよなー」
そんなこと彼に聞いても困るだろうに。あまり邪険に扱うと日本旅行の評判が落ちるし、大変だろうな。
私は人ごとのようにこの状況を静観していたが、遊びで来ている人はともかくビジネスで来ていた人も勿論いるわけで、そんな人達はこの状況で黙っているわけがなかった。
ツアーの添乗員も含め、ガンガンに文句を言ってくれた人がいたお陰で、国際電話は2回まで無料になり、
さらに滞在中の軍資金として1人500ルピーが貰えることになった。
私はまたインドに来ることがあると思ったので、余ったインドルピーを両替せずにそのまま持っていたが、当然、空港や町で使い切った人の方が多いだろう。今更両替するのも何だし、かといってインドルピーがなければ外の電話屋に行って電話をかけることも出来ない。(ホテルの電話など高すぎてお話にならない。)
そして、トラベラーズチェックはパスポートがないと両替出来ない。パスポートが空港預かりになっているムンバイ搭乗の人たちは全く為す術がない。
そりゃ、「なんとかしろ!」って文句言うわな。
最終的に食事だけでなくお酒も無料になったため、仲良くなった兄さんと一緒にビールを飲みに再び食堂へ行った。
「いやぁ、面白い状況になりましたねぇ。」
浮かれていたのは私だけか?