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ナメてんのか!エアインディア!そしてエピローグへ。

アショカホテルからの夕焼け
アショカホテルから見た夕焼け
エアインディアがエンジントラブルで飛行不能となり、5星ホテルアショカホテルに宿泊したのだが、ゆっくり眠ることもできない。 まだ夜も明けていない朝4時に電話でたたき起こされた。

結局、飛行機の損傷は部品交換すればよい状況ではなく、直りはしなかったらしいのだが、粘り強く文句を言い続けた人がいたお陰で、今日バリに飛ぶはずだった飛行機が成田行きに回されたという。(バリに行く人はどうなるんでしょうかね。)

正規航空券を買っていた人やとにかく急いでいる人はJALやANAで早々に帰国したのが幸いし、 一回り小さな機体でなんとか対応出来ることになったことがその理由らしい。

朝の8時過ぎ、その代替飛行機はインディラガンディー国際空港を飛び立った。

「この飛行機はデリーを経った後、バラナシ、カルカッタ、バングラディッシュのダッカ、中国の昆明・・・・を上空を通りまして成田に向かう予定です・・・。」

離陸してから5時間くらい経った頃。睡眠不足でうとうととしかかったそのときポーンとあの忌まわしきアナウンスの合図音が鳴り響いた。一昨日はこの音が鳴るたびにどんどん状況が悪くなっていくので、いい加減うんざりしたものだが、飛行機は壊れてないし、5時間も経ってるんだから今回は大丈夫だろう。そう思ったのだが・・・。

「只今中国政府より、中国の昆明上空の飛行を拒否されました
 他の飛行ルートを探してみましたが見つからず、当機は再びデリーに戻ります


なんだそれ。機体の故障の次は飛行ルートの選定ミス?っていうかなんすかそれ。今更飛行拒否って。

機内のあちこちから失笑が漏れる。
特にインド人が「けっ。どうせこんな事だろうと思ったぜ!」とかなんとか言っている。

そして、機内アナウンスが終わるなり、スッチーはビールを配布に回りはじめた。笑うしかない(笑)

「あのー。インドに戻るってどういうことですか?日本には戻れないの?」

「機長が日本大使館に連絡を入れて、みなさんを日本に迅速に輸送するようにインド側と交渉しています。
 最善の処置をしておりますので、すみませんが連絡が入るまでお待ちください」


「あなたねぇ、それをみんなに説明しなさいよ!ただデリーに戻りますじゃなくて、ちゃんと機内にいる全員が納得するようにアナウンスしなさい!」

堪忍袋は切れたのか怒り出すおじさんもいた。

「そうですね、すみません。」

注意を受け、唯一の日本人スッチーは再びアナウンスを入れていが、直後にインド人スッチーから英語で業務連絡。

「日本人スチュワーデス、日本人スチュワーデス。大至急ファーストクラスまで来なさい。」

ああ、かわいそうに。日本語が出来る彼女は、この飛行機の苦情を1人で引き受けなければならないのだ。
ファーストクラスなんて、乗っているのお偉いさんだろうし、こっぴどくしかられるんだろうなぁ。
つーか、ファーストなんて正規料金でしょ。他の航空会社に乗り換えられなかったんだろうか・・・。

デリーの空港に戻って来た私は、速攻で仕事中の上司に電話を入れた。

「・・・それでですねぇ、さらに中国上空の飛行を拒否されたそうでして、またデリーに戻っちゃったんです。」

おとといからの顛末をひとしきり説明すると、受話器の向こうからは聞こえたのは笑い声とこの台詞。

「でも、飛ばなくて良かったじゃない。飛んでたら落ちたかもよ(笑)」

つくづく、自分は職場に恵まれていると思う。
(ちなみに昨晩食事を共にしたお兄さんは上司に冷たく「ふーん」と言われ電話を切られたそうだ・・・(T-T))

次の問題は機械的問題ではなく、飛行ルートと飛行時間である。

デリーで給油を済ませればすぐに飛べるハズだが、今飛ぶと日本到着時間が夜間になるため成田に着陸ができない。
だから、今度は日本に早朝に到着できるようにデリーで時間を調整をしなければならないのだ。

そして、スチュワーデスさんの言葉通り、空港には日本大使館の職員が来ており、状況を説明していった。

「今日の夜9時くらいに先ほどの飛行機で日本に向けて飛びます。
 機内食はもう出せないそうですので食べたい人は空港のレストランで食べてください。勿論、無料です。」

「ちなみに、機長以下乗務員はここでみんな交代しますが、日本人のスチュワーデスさんだけは残ります。
 インド人クルーは"時間外勤務はしない"って帰って行きました。」


・・・そりゃー、飛行機の整備不良はクルーのせいじゃないですよー。
でも、その理由があんまりだ。せめてバカ正直に理由を告げずに、「疲労が溜まると危険だから」とか嘘つけばいいのに。

代わりがいない日本人スチュワーデスはさらに残ってサービスせねばならない。
せめて彼女に時間外手当が出ていることを祈る。


そして、エピローグ。2日遅れて、職場復帰。日本に帰ってからの顛末。

半日遅れで飛び立った飛行機は、中国上空を避け、無事日本へと飛び立った。
仕事へは一日遅れで出勤。私と入れ替えに休みを取った上司からの伝言メモと書類の山にため息をつきつつも、 3週間分のつけを一つ一つ片づけていく。

休暇を終えて仕事に復帰すると、仕事が旅行前に比べて格段とはかどる。
のんびり好き勝手に過ごしていた休暇気分からぴりっと仕事モードに変換されて、実に働くことが楽しい。

でも、今回に限っては気が付くと手は止まっており、旅の出来事がぐるぐるぐるぐると頭を駆けめぐっていた。
いつにも増してハプニングの連続で、沢山の人に出会って・・・気が付くと旅の思い出に逆戻りしている自分がいる。

一番頭に引っかかっていたのは行きの飛行機で仲良くなった、ケダールくんである。

実は、彼は帰りも同じ便に乗っていた。
最終的に成田まで連れてきてくれた飛行機の機内で、お互いに「あれ?あれはきっとケダールだよなぁ」「あの子がF(私)だよなぁ」と何となく気づいていたモノの、3週間前の記憶なだけに、確信が持てず声をかけるタイミングを失っていた。(性格似てる。)
それ以前に、自分のこと忘れられていたらどうしようっていう気持ちが大きかったのもある。

「あぁ、エアインディアはやっぱり良くないね。なーんかばたばたしてる!」
「だいたいスチュワーデスがおばさんばっかりだ!」
 ちなみにスチュワードはおじさんばかりである。

行きの飛行機でエアインディアをけちょんけちょんにけなしていた彼は、今回の遅延のこともえらい怒っていた(笑)

そんな彼から「インドに帰ることになりました。」という連絡を貰ったときには、「飛行機の遅延が原因で会社の上司と喧嘩でもしたのか?だからエアインディアを許せないのか?そこまで融通利かないか日本の会社!」と勝手に妄想していたが、そういうことではなくて、インドのIT企業に就職を決めたと言うことであった。

「これからITの分野は伸びて行くからね。インドでがんばるよ。」

9月も終わる頃、そう言い残して彼はインドに帰っていった。

「インド好きなんだけどさ。なーんか毎回騙されちゃうのよねぇ(笑)リキシャとかさ。」
「インド人も騙されるよ!自分の知らない土地に行ったらいつもリキシャーワーラーと戦いだよ。
 僕の友人は日本でもぼったくられた!鳥取砂丘でラクダに乗ったら3000円も取られたって。絶対ボッタクリだ!」


 「もともとラクダは鳥取にいないんだししょうがないんじゃないか」と鳥取の観光業のためにフォローを入れたくなってしまったが、それより何よりインド人もやっぱりぼられるっていう台詞に吹き出しそうになった。やっぱおぼっちゃまって事はばればれなんだなぁ(笑)

「8月にインドに戻ってもね。友達みんな仕事だから誰も遊んでくれないの。それに梅雨で雨もふってるしさ。」

そんな事を言っていたくせに、あくせく就職活動していたわけだ。

今頃はムンバイのIT企業でキーボードを叩いているのだろうか?ムンバイに行った時には遊んでね。

今回の旅はホントにいろんな人に出会ったと思う。
月給60万円も取る大企業の幹部から小さな屋台を経営する親父。インドの将来を担うであろうハイテク産業に従事する若者。
ネタにならないような小さな出来事もまだまだある。

そしてまた意外な事に、旅の2/3は日本語でしゃべり通しだった。インド人も実によく日本語をしゃべる。

「これはインドの器。紙で出来てます」
「知ってるー。」(←前に見たことがあるカシミールの手工芸品。)
「シッテル??それはどういう意味?」
「I know!」
「シッテル I know  シッテル I know  シッテル I know ・・・」

ああ、こうやって言葉を憶えるんだなぁ。
旅に出るとあまりに当たり前すぎて忘れていたことを再発見する事がとても多いと思う。

インドで女が一人旅をすると、男では体験しない不都合な出来事も多いけど、終わりよければすべてよしというか、 それ以上に、日本では経験しないようなことを見聞きできて、人間の幅は広がると思う。
ただし、日本では全くモテなくてもインドでは日本人と言うだけでしつこくつきまとわれるので、痴漢やナンパの類いは充分気をつけたい。

ちなみに、年をとるにつれて結構いろんなことがめんどくさくなってくるので、
女一人旅はできれば若くて好奇心もパワーも有り余っているときに行くのがおすすめです。
気をつけて行ってらっしゃい!

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